【優秀なフランスの狩猟犬、ブリタニー・スパニエル】

ブリタニー・スパニエルの基本情報(性格・しつけ・病気など)

 
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ブリタニー・スパニエル
[英記]:Brittany Spaniel

    ◇基本データ
  • ・サイズ: 中型犬
  • ・体高:44cm~54cm
  • ・体重:12kg~18kg

  • ◇起源・歴史・沿革・系統:
  • ブリタニー・スパニエルは原産国をフランスとする犬種です。

    17世紀にフランスのブルターニュ半島に前身となる犬種が暮らしており、 もともとは、鳥(主にはヤマシギという鳥など)の猟において、優れた嗅覚を生かして獲物を探し当てることと、 猟師が撃ち落とした獲物を回収してくる役目を持った鳥猟犬として活躍していました。
    現在でも一部では、引き続き鳥猟犬として活躍しています。

    19世紀には、イングリッシュ・セッターやイングリッシュ・ポインターと配合され、現在の形になりました。

    1931年にはアメリカに輸出されました。
    その後、アメリカでも人気が一気に広がり、1982年には犬種名が正式に『ブリタニー・スパニエル』とされました。

    なお、犬種名の「ブリタニー」は、原産地のフランス・ブルターニュから由来しています。


    ◇こんなスタイルで犬を飼いたい方・こんな状況の方との相性Good!!
    ・しつけがしやすい、性格的にも一緒に生活しやすい(飼いやすい)犬種が良い
    ・日本国内において数少ない、珍しい犬種に興味がある
    ・高い体力で運動量が多いのは歓迎する
    ・小さい子供とも一緒に生活していくことへの相性が心配
ブリタニー・スパニエルのメイン写真 ブリタニー・スパニエルの特徴評価グラフ

しつけのしやすさ

ブリタニー・スパニエルは、フランス原産の鳥猟犬であり、特に鳥を追い立て、銃猟をサポートするために育種されてきた歴史を持ちます。そのため、高い学習能力と人間に対する協調性を備えており、しつけの面でも比較的スムーズに進められる犬種として知られています。しかし、単に「覚えが早い」だけでなく、この犬種ならではの気質やエネルギーを理解した上でトレーニングを行うことが重要です。

まずブリタニーは、非常に人懐こく、飼い主と一緒に行動することに強い喜びを感じる傾向があります。この性質は、トレーニングにおいて大きな利点となります。例えば「おすわり」や「まて」といった基本的なコマンドは、短期間で覚えることが多く、また繰り返し練習をしても飽きにくい特性を持っています。さらに、報酬を用いたポジティブなトレーニング手法に非常に反応が良いため、食べ物やおやつを使ったしつけが効果的です。褒められることに敏感であるため、適切なタイミングでの言葉かけや撫でる行為は、学習意欲を一層引き出すことにつながります。

ただし、ブリタニー・スパニエルには狩猟犬としての本能が強く残っており、動くものに対して瞬時に反応する傾向があります。鳥や小動物を見つけると、一瞬で追いかけてしまうこともあり、その点はしつけ上の大きな課題となります。特に「呼び戻し(リコール)」のトレーニングは非常に重要であり、屋外で自由にさせる前に徹底して習得させる必要があります。信頼関係を築きつつ、繰り返し練習を行い、呼ばれたら必ず戻るという習慣を身につけることが、飼い主と犬の安全のためにも欠かせません。

また、この犬種は非常にエネルギッシュで活動量が多いため、しつけの一環として日々の運動を十分に取り入れることが求められます。体力を持て余していると、集中力が散漫になり、いたずらや破壊行動につながることがあります。そのため、朝夕の散歩に加えて、ボール遊びやアジリティなど、頭と体を同時に使う活動を取り入れると、トレーニングの効果がより発揮されます。

もう一つ注意すべき点は、ブリタニーの敏感さです。飼い主の感情を読み取る能力が高いため、怒鳴ったり厳しく叱責する方法は逆効果となりやすく、不安を与えてしまうこともあります。繊細さを理解し、失敗したときには冷静に対応し、成功を大きく褒めるというメリハリのある態度が望ましいのです。こうした関わり方を続けることで、ブリタニーは自ら学び、喜んで従おうとする姿勢を示すようになります。

さらに、幼犬期からの社会化も欠かせません。新しい環境や他の犬、人間、物音などに慣れる経験を積ませることで、将来的に落ち着いて行動できる成犬に育ちやすくなります。社会化不足のまま成長すると、神経質になったり、見知らぬ人や犬に対して過剰に反応することがあるため、できるだけ早い段階で多くの刺激に触れさせることが大切です。

まとめると、ブリタニー・スパニエルは学習意欲が高く、飼い主との関係を大切にするため、しつけ自体は比較的容易な犬種です。ただし、猟犬としての本能の強さや運動欲求の高さ、繊細な気質を考慮し、忍耐強く一貫したトレーニングを行うことが求められます。ポジティブな方法で信頼関係を深めながら取り組むことで、家庭犬としても理想的なパートナーに育つでしょう。

気性の穏やかさ・性格

ブリタニー・スパニエルは、狩猟犬としての能力を維持しながらも、家庭犬としての愛らしさを兼ね備えた犬種です。その性格を一言で表すならば「活発で愛情深く、人に寄り添う存在」と言えるでしょう。基本的には明るく朗らかで、攻撃的な面はほとんど見られず、むしろ人と関わることを強く好むため、家庭に迎え入れやすい犬種のひとつです。

まずブリタニーの特徴的な性格として挙げられるのは、人懐っこさと社交性の高さです。飼い主はもちろん、初対面の人や来客に対しても比較的友好的で、すぐに心を開く傾向があります。これは長年、狩猟の現場で人間と密接に協力して作業してきた背景によるもので、常に人の指示を待ち、共に行動することに喜びを感じる気質が今も色濃く残っているのです。こうした性格は家庭犬として非常に魅力的であり、飼い主にとって「常にそばにいたい」と感じさせる温かさを持っています。

一方で、この強い愛着心が裏返しとなり、留守番に弱い面が出ることもあります。ブリタニーは孤独に耐えることがあまり得意ではなく、長時間一人で過ごすと不安から吠えやいたずらをすることがあるのです。つまり「人と一緒にいることが前提の犬種」であるため、日常的に時間を共にできる家庭での生活が向いていると言えるでしょう。

次に、気性の穏やかさという点では、ブリタニーは基本的に優しく温和です。感情表現は豊かですが、攻撃的な行動を見せることは少なく、むしろ甘えん坊で従順な印象を与えます。幼児や高齢者に対しても配慮ができるケースが多く、過度に力を加えたり威嚇したりすることはほとんどありません。ただし、猟犬としての敏感さを持つため、環境の変化や大きな物音に敏感に反応する場合があります。新しい刺激に慣れるまでは落ち着かない様子を見せることもありますが、慣れてしまえば適応力は高い部類に入ります。

また、ブリタニーは「遊び心が旺盛で常に活動的」であることも性格の大きな特徴です。穏やかである一方、じっとしていることが苦手で、常に動き回ったり何かに興味を示したりする姿が見られます。特に外では探究心が強く、匂いを嗅ぎながらフィールドを駆け回ることを好みます。これは狩猟犬として培われた本能であり、日常生活においても「探検好き」「遊び好き」という形で現れます。飼い主にとっては、散歩や遊びを通じて犬と一緒にアクティブな時間を過ごせる大きな魅力となるでしょう。

さらに、知能の高さも性格の一部として触れておくべき要素です。ブリタニーは非常に聡明で、状況を読む力に長けています。飼い主の声色や表情から感情を敏感に察知するため、優しく接することでさらに信頼を深めることができます。その一方で、頭が良いがゆえに退屈を嫌い、刺激の少ない環境ではストレスを感じてしまうこともあります。つまり、ブリタニーは「心身ともに充実感を得ることで安定する犬種」であると言えます。

ただし、ブリタニーは敏感で繊細な一面も持っており、強い叱責や荒々しい接し方には適しません。声を荒げると不安になり、飼い主との信頼関係に影響が出ることもあります。ポジティブな言葉かけやスキンシップを通じて安心感を与えることで、本来の朗らかな性格がさらに発揮されます。

総合的に見ると、ブリタニー・スパニエルは「人を心から信頼し、常に一緒にいることを望む、愛情豊かな伴侶」としての性格を持ち、活動的で明るい気質と、優しく穏やかな面を兼ね備えた理想的な家庭犬です。ただし、留守番の多い環境や、精神的なケアをおろそかにしてしまう家庭では、不安や問題行動が出やすくなるため、その点を理解した上で迎えることが大切です。

病気・けがへの強さ・寿命

ブリタニー・スパニエルは、狩猟犬としての歴史の中で厳しい自然環境に適応しながら進化してきた犬種であり、全体的に健康で丈夫な体質を持っています。犬種全体としての平均寿命は12〜14年ほどとされており、中型犬としては標準的かやや長めの寿命を期待できます。適切な飼育環境と日常的な健康管理を行うことで、15歳前後まで元気に過ごす個体も少なくありません。

まず、ブリタニーは運動能力が高く、筋肉質でバランスの取れた体をしているため、関節や骨格のトラブルに比較的強い傾向があります。しかし完全に無縁というわけではなく、代表的な疾患のひとつに股関節形成不全が挙げられます。これは中型犬〜大型犬に広く見られる遺伝性の疾患で、股関節が正しく形成されずに痛みや歩行異常を引き起こすものです。遺伝的素因に加えて、子犬期の過度な運動や肥満が発症リスクを高めるため、成長期の管理には特に注意が必要です。

また、ブリタニーではてんかんの発症も報告されています。これは遺伝的な要素が関与していると考えられており、突発的なけいれんや発作が見られる病気です。軽度の場合は薬でコントロールできるケースも多いですが、飼い主が発作時の対応方法を理解しておく必要があります。ブリーダーの段階でてんかんの発症歴がある血統を避けることも、予防の観点からは重要です。

次に注意すべき疾患として、耳の病気が挙げられます。ブリタニーは垂れ耳の犬種であり、耳の通気性が悪いため外耳炎を起こしやすい傾向にあります。特に狩猟犬として草むらや水辺を駆け回る習性が残っているため、耳の中に汚れや湿気がたまりやすく、炎症や細菌感染を起こしやすいのです。定期的な耳掃除と、シャンプーや水遊びの後に耳をしっかり乾かす習慣を持つことで、外耳炎のリスクを大幅に減らすことができます。

さらに、皮膚疾患も比較的多く報告されています。特にアレルギー性皮膚炎やホットスポット(急性湿疹)などが代表的です。食物や環境アレルゲン(花粉やハウスダストなど)が原因になることもあれば、ノミやダニといった外部寄生虫がトリガーとなることもあります。ブリタニーは被毛が密で、皮膚の通気性が悪くなることがあるため、換気やブラッシングをこまめに行い、清潔な状態を保つことが予防につながります。

目の疾患としては、進行性網膜萎縮(PRA)や白内障が知られています。進行性網膜萎縮は遺伝性の疾患で、徐々に視力が低下し、最終的に失明に至る可能性があります。発症を完全に防ぐことは難しいため、遺伝子検査や血統管理の段階での予防が重要です。一方で白内障は加齢や外傷などが原因となり、シニア期に発症しやすいため、定期的な眼科検診で早期発見を心がけるとよいでしょう。

体質的には丈夫な部類に入るブリタニーですが、もうひとつ大きなリスクとして「誤食」に注意が必要です。好奇心旺盛で活動的なため、散歩中や室内で不適切なものを口にしてしまう事故が起こりやすいのです。小物やおもちゃの破片を飲み込むと腸閉塞の原因となり、最悪の場合は手術が必要になることもあります。そのため、室内の安全対策を徹底し、噛んでよいものといけないものを明確に分けて管理することが大切です。

寿命についてまとめると、ブリタニー・スパニエルは健康管理さえ怠らなければ比較的長生きしやすい犬種です。遺伝性疾患のリスクは一定程度あるものの、獣医師との定期的な健康診断や適度な運動、バランスのとれた食事によって十分にコントロールできます。また、心身ともに活発で愛情深い犬種であるため、精神的な満足度も健康寿命を延ばす大きな要素となります。飼い主と豊かな時間を過ごすことこそが、この犬種を健やかに長生きさせる秘訣と言えるでしょう。

他の犬や子どもとの同居しやすさ

ブリタニー・スパニエルは、長年人と共に猟を行ってきた歴史を持つ犬種であり、その気質は非常に社交的で協調性に富んでいます。そのため、他の犬や子どもとの同居にも比較的適している犬種といえるでしょう。ただし、ブリタニー特有の活発さや猟犬としての本能を理解した上で適切に対応することが、良好な共生を実現するためには欠かせません。

まず、他の犬との関係性について考えてみましょう。ブリタニーは基本的に攻撃的な性格を持たず、他の犬に対しても友好的な態度を示すことが多いです。特に幼犬期から社会化をしっかり行っていれば、多頭飼育にも十分対応できる犬種です。遊び好きで明るいため、相性の良い犬がいれば毎日のように一緒に走り回り、良い遊び相手となります。これは飼い主にとっても犬にとってもメリットであり、互いにエネルギーを発散させ、精神的な満足感を得ることができます。

ただし、注意点もあります。ブリタニーは狩猟犬としての本能が強いため、小型犬や体の小さな動物に対して「獲物」としての意識を刺激される可能性があるのです。特に動きが速い小型犬や猫などには興奮して追いかけてしまうことがあり、相手に恐怖を与える場合があります。もちろん、必ずしも攻撃に発展するわけではありませんが、同居する相手が小型動物の場合には慎重な導入が求められます。徐々に慣らす過程を踏み、お互いの距離感を尊重することが不可欠です。

次に子どもとの相性についてですが、ブリタニーは非常に愛情深く、温厚で優しい気質を持つため、家庭に子どもがいる場合にも良い伴侶となりやすい犬種です。基本的に人間が大好きで、特に子どもの無邪気なエネルギーや遊び心に共鳴し、一緒に遊ぶことを楽しむ傾向があります。活発な犬種であるため、走ったりボールを投げてもらったりする遊びを子どもと共に楽しめるのは大きな魅力です。

しかし同時に、ブリタニーの活発さが裏目に出る場合もあります。体格は中型犬で筋肉質なため、遊んでいる最中に勢い余って子どもを押し倒してしまうことがあるのです。悪意は全くなくても、力加減を理解していない子犬や若い個体の場合、思わぬ怪我につながるリスクがあります。そのため、小さな子どもと一緒に過ごすときには必ず大人がそばで見守り、犬と子どもの双方に安心感を与えることが大切です。

また、子ども側にも犬との接し方を教える必要があります。耳や尻尾を引っ張る、食事中に不用意に近づくなどの行為は、犬にとって強いストレスとなり、トラブルの原因となります。ブリタニーは基本的に我慢強い犬種ですが、度重なるストレスがかかれば不快感を示すこともあります。そのため、家庭全体で「犬との正しい関わり方」を学び、ルールを共有することが重要です。

さらに、多頭飼育や子どもとの共生を円滑に進めるためには、幼犬期からの社会化トレーニングが不可欠です。新しい犬や人、子ども、さまざまな環境に早い段階で触れさせることで、過剰な警戒心を持たず、フレンドリーな態度を維持できるようになります。社会化不足のまま成犬になると、他犬に対して強い興奮や不安を示す可能性があり、共生が難しくなることがあります。

総合的に見ると、ブリタニー・スパニエルは他の犬や子どもとの同居に非常に向いている犬種です。愛情深く温厚な性格は家庭環境に適応しやすく、特に活発な家庭では子どもや他の犬と共にエネルギッシュに過ごすことで相乗効果が生まれます。ただし、小さな動物との同居には注意が必要であり、また子どもと犬の双方に正しい接し方を教えることが不可欠です。飼い主が仲介役となり、双方の安全を守る環境を整えることで、ブリタニーは家族全員にとってかけがえのない存在となるでしょう。

運動量の多さ

ブリタニー・スパニエルは、フランスにおける伝統的な鳥猟犬として活躍してきた歴史を持ち、そのエネルギー量は非常に豊富です。もともと広大な野原を駆け回り、獲物を見つけてハンターに知らせる役割を担っていたため、持久力・瞬発力ともに優れ、現代においても家庭犬としては「運動欲求が非常に高い犬種」に分類されます。そのため、飼い主がどの程度運動の時間や環境を確保できるかが、ブリタニーと健やかに暮らせるかどうかの分かれ目となります。

まず、ブリタニーに必要とされる運動量について具体的に見てみましょう。散歩だけで満足する犬種ではなく、最低でも1日2回、合計で1時間以上の運動が必要です。しかし「歩くだけの散歩」では十分ではなく、走る・追う・考えるといった行動を組み合わせた運動が求められます。例えば、ボールやフリスビーを使った取ってこい遊び、アジリティやフライボールといったドッグスポーツ、ドッグランでの自由運動などは特に適しています。

ブリタニーは知能が高く、単調な運動だけではすぐに物足りなくなります。体を動かすと同時に頭を使う活動を取り入れることで、精神的にも満足度が高まり、落ち着きを保ちやすくなります。例えば「物を探す遊び」や「コマンドを組み合わせたゲーム」、ノーズワーク(嗅覚を使ったトレーニング)などは、ブリタニーの本能を満たしつつ、飼い主との関係性を深める良い方法です。

十分な運動を与えない場合、ブリタニーは持て余したエネルギーを発散させようとします。その結果、家具をかじる、穴を掘る、無駄吠えをするなどの問題行動につながることがあります。特に若い個体はエネルギーが爆発的に強いため、運動不足の状態が続くと家庭内でのトラブルが増える傾向があります。逆に言えば、運動をしっかり確保してあげれば、家庭内では驚くほど落ち着いたパートナーとなり得るのです。

もう一つの特徴は、持久力の高さです。ブリタニーは単に短距離を全力で走るだけでなく、長時間走り続ける能力にも優れています。ハイキングやトレッキングなどのアウトドア活動に同行させると、その適性を存分に発揮します。山道や草原を長時間歩いても疲れにくいため、アウトドア好きの飼い主にとっては理想的なパートナーとなるでしょう。また、泳ぎも得意とする個体が多く、水辺での活動も喜んでこなします。

ただし、都市部や限られたスペースで生活する場合には注意が必要です。ブリタニーは庭や広いフィールドを自由に駆け回ることが理想ですが、都市部ではそうした環境を確保するのが難しい場合があります。その場合、工夫次第で運動欲求を満たす必要があります。例えば、自転車に合わせて走らせる(ジョギングも可)、週末にドッグランへ連れていく、日常的に知育玩具を用いて脳を刺激するなどです。単に散歩時間を増やすだけでなく、質の高い運動を提供することが求められます。

また、年齢による運動量の変化にも触れておきましょう。子犬期は骨や関節がまだ発達途中であるため、過度な運動は避けるべきですが、それでも短時間の遊びや散歩を頻繁に取り入れることが必要です。成犬期は最もエネルギッシュで、十分な運動を提供しないと問題行動につながりやすい時期です。シニア期になると体力は徐々に落ちてきますが、それでも完全に運動をやめてしまうのは逆効果であり、関節や心肺機能を維持するために適度な運動を継続することが健康寿命の延伸につながります。

総合的に見ると、ブリタニー・スパニエルは「運動量の多さが最大の特徴であり、最大の課題」ともいえる犬種です。エネルギーを適切に発散させてあげれば、家庭内では非常に落ち着いた性格を見せる一方、運動不足のまま放置するとストレスから問題行動を引き起こす可能性があります。飼い主にとっては運動時間の確保が不可欠であり、ブリタニーを迎える家庭は「犬と共にアクティブな生活を楽しむ姿勢」が求められるといえるでしょう。

体の特徴・被毛・毛色の特徴

ブリタニー・スパニエルは、中型犬の中でも特にバランスの取れた体格を持つ犬種です。その外見は機能美にあふれ、狩猟犬としての能力を最大限に発揮できるよう進化してきました。見た目は優雅でありながら、実際には非常に実用的な体型をしており、俊敏さと持久力を兼ね備えています。

まず体の大きさについてですが、一般的な体高は46〜52cm前後、体重は約14〜18kgほどで、雌雄による差は多少ありますが、中型犬としては軽快でコンパクトな部類に入ります。体格は筋肉質で引き締まっており、無駄な脂肪が少なく、まさに「運動するための体」といえる構造をしています。胸は深く広がり、心肺機能を支える構造を備えているため、長時間の運動にも耐えることができます。四肢はスラリと伸びており、特に後肢の筋肉は発達していて、瞬発的なダッシュや方向転換に優れています。

顔つきにも特徴があります。頭部は比較的丸みを帯び、額から鼻にかけてはなだらかなストップ(額のくぼみ)が見られます。目はアーモンド型で、表情豊かかつ温和な印象を与え、人懐こい性格がそのまま外見に表れているようです。耳は中くらいの長さで垂れ下がり、わずかに波打つ被毛が生えています。耳の位置は高すぎず低すぎず、顔全体のバランスを整える役割を果たしています。

尾に関しては、ブリタニー独特の特徴があります。生まれつき尾が非常に短い「短尾(ナチュラルボブテイル)」の個体が多く存在します。これは遺伝的な特徴で、狩猟の際に尾を引っ掛けたり怪我をしたりするリスクを避けるために好まれてきました。中には長い尾を持って生まれる個体もいますが、伝統的に尾は短い方がスタンダードとして重視されます。

次に被毛の特徴ですが、ブリタニーの毛は中程度の長さを持ち、滑らかで柔らかく、わずかにウェーブがかかることがあります。被毛はシングルコートに近い性質を持ち、アンダーコートは薄めですが、寒さにある程度耐えることができます。毛量は多すぎず、日常的な手入れがしやすいのも特徴のひとつです。抜け毛は季節の変わり目にやや増えるものの、一般的なダブルコート犬種に比べれば少なめで、家庭での管理は比較的容易です。定期的なブラッシングを行うことで、毛のもつれや皮膚トラブルを防ぎ、健康的な被毛を維持できます。

毛色のバリエーションもブリタニーの魅力のひとつです。最も一般的なのは「オレンジ&ホワイト」や「レバー(茶色)&ホワイト」の二色パターンで、斑点模様や大きなパッチ模様として現れます。毛色の分布は個体ごとに大きく異なり、左右対称の美しい模様を持つ個体もいれば、体の大部分が白で小さな斑点が散っている個体もいます。また「トライカラー(レバー、オレンジ、ホワイトの三色)」の個体も存在し、これも公認されています。こうした毛色のバリエーションは、ブリタニーならではの個性を際立たせ、同じ犬種であっても一頭一頭がユニークな魅力を持っています。

被毛の手入れに関しては、猟犬として屋外で活動する性質が残っているため、泥や草の種子などが毛に絡まりやすい点に注意が必要です。特に耳や胸、脚の飾り毛部分には汚れがつきやすいため、散歩や運動後にはブラッシングで整えてあげることが望ましいです。月に1回程度のシャンプーで十分ですが、耳の中や足裏の毛はこまめに確認して清潔に保つことが、健康管理の一環となります。

まとめると、ブリタニー・スパニエルは中型犬らしい引き締まった体格と、愛らしい顔立ち、そして特徴的な毛色や短い尾によって独自の魅力を放っています。被毛の手入れは比較的簡単で、毛色のバリエーションが豊かであるため、外見的な個性も強く感じられる犬種です。狩猟犬としての実用性と、家庭犬としての美しさを兼ね備えた姿は、多くの愛犬家を惹きつけてやみません。

里親・ブリーダー・値段

ブリタニー・スパニエルは、ヨーロッパやアメリカでは非常に人気のある鳥猟犬ですが、日本国内においては知名度がそれほど高くなく、飼育頭数も多いとはいえません。そのため、柴犬やトイプードルのようにペットショップで見かけることは稀であり、入手を希望する場合は主にブリーダーや里親制度を通じて迎えるのが一般的です。

まずブリーダーからの入手についてですが、ブリタニーを専門的に繁殖しているブリーダーは日本では限られています。鳥猟犬を扱うハンターや狩猟愛好家のネットワーク内で育てられている場合も多く、一般の愛犬家が出会う機会はやや少ないのが現状です。そのため、本格的に探す場合には全国規模で情報収集する必要があります。インターネットのブリーダー検索サイトや、猟犬を専門に扱う団体を通じて紹介を受ける方法が有効です。ブリーダーから迎える場合の子犬価格は、おおよそ20万円から40万円程度が相場です。血統や両親の狩猟実績、ショードッグとしての評価によって値段が大きく変動することもあります。

値段に加えて注目すべき点は「ブリーダーの質」です。ブリタニーは健康的に見えても、遺伝性疾患(股関節形成不全、てんかん、進行性網膜萎縮など)のリスクを抱えている犬種でもあります。そのため、信頼できるブリーダーは繁殖の際に遺伝子検査や健康診断を行い、疾患リスクをできる限り排除する努力をしています。一方、利益だけを重視するブリーダーでは、こうした配慮が不足し、病気を抱えた子犬が生まれてしまうケースもあります。購入の際には、ブリーダーがどのような飼育環境で犬を育てているのか、両親犬の健康状態や性格を直接確認することが非常に重要です。

次に里親制度についてですが、ブリタニー・スパニエルは他の人気犬種に比べれば保護犬として出回る数は少ないものの、ゼロではありません。特に猟犬として飼われていた個体が、狩猟を行わなくなった飼い主の事情で手放されるケースや、運動量の多さについていけず家庭で飼いきれなくなったケースで保護されることがあります。こうした犬は成犬である場合が多いですが、すでに基本的なしつけが入っていることもあり、初心者でも比較的迎えやすい場合もあります。ただし、猟犬出身の場合は強い狩猟本能を持っていることもあるため、散歩や運動に十分に時間を割ける家庭でなければ難しい面もあります。

里親として迎える場合の費用は、基本的に犬そのものの価格はかかりませんが、譲渡に伴う医療費(ワクチン接種、避妊去勢手術、マイクロチップ代など)として数万円程度が必要になることが多いです。ブリーダーから購入するのと比べて初期費用を抑えられる一方で、保護犬を迎えるには家族全員の同意や生活環境の確認などが必須条件とされます。譲渡団体によっては飼育経験や住宅環境(庭付きかどうか、散歩環境が整っているか)を重視することもあり、審査を経る必要があります。

さらに、輸入という選択肢もあります。ブリタニーはフランスやアメリカでは非常に人気が高く、専門のブリーダーも多いため、現地から輸入することで血統的に優れた個体を迎えることが可能です。ただし輸入には数十万円単位の費用がかかり、輸送のストレスや検疫の問題もあるため、慎重な検討が必要です。

総合的に見ると、ブリタニー・スパニエルは日本国内では希少性が高いため、入手にはある程度の労力と計画性が求められます。価格の面では他の中型犬種と比べて極端に高いわけではありませんが、健康面に配慮した信頼できるブリーダーを見極めることが重要です。また、里親制度を通じて迎える場合には、運動量や性格的な特徴を理解した上で家族全体で受け入れる覚悟が必要となります。いずれにしても、この犬種を迎える際には「ただ飼う」のではなく「一緒に暮らすパートナー」としての姿勢が欠かせません。ブリタニーはそれに応えるだけの豊かな愛情と能力を持つ犬種であり、適切な環境を整えれば、必ずや家族にとってかけがえのない存在となるでしょう。

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