バーニーズ・マウンテン・ドッグは、スイスの牧畜文化と深く結びついた犬種であり、その起源は数百年、あるいはそれ以上遡ると考えられています。名前にある「バーニーズ(Bernese)」は、スイスのベルン州に由来し、この地方で古くから農家の生活を支えてきた犬であることを示しています。原産国スイスでは「ベルナー・ゼネンフント(Berner Sennenhund)」と呼ばれ、「Sennen」はアルプスの牧畜民を意味します。つまり「ベルン地方の牧畜民の犬」というのが直訳になります。
歴史をたどると、バーニーズ・マウンテン・ドッグの祖先は、古代ローマ帝国がアルプスに持ち込んだマスティフ系の犬に遡るとされます。これらの犬が土着の山岳犬と交配し、耐寒性や作業能力に優れた犬として定着していったのです。彼らは家畜を追い立てる牧畜犬として、また乳製品や農作物を市場へ運ぶ荷車犬として活躍しました。その力強さと忍耐力から「農夫の頼れる相棒」として絶大な信頼を得ていたのです。
バーニーズは、スイスに存在する4種類の「ゼネンフント(セントラルスイス・マウンテンドッグ)」のひとつに数えられます。他にはアッペンツェラー、エントレブッハー、グレート・スイス・マウンテン・ドッグが存在し、いずれも作業犬としての系統を持っています。その中でバーニーズだけが長毛を持ち、特に寒冷地での作業に適応していました。
19世紀末になると、産業革命や農業の近代化によって、荷車犬や牧畜犬としての役割は急速に減少しました。農村での需要が減った結果、バーニーズは絶滅の危機に瀕します。しかしこの頃、スイス国内の愛犬家たちが立ち上がり、犬種保存の活動が始まりました。特に1907年、ブルグドルフという町で「バーニーズ・マウンテン・ドッグ愛好会」が設立され、犬種の基準が定められたことは大きな転機となりました。ここで初めて「ベルナー・ゼネンフント」という名称が公式に採用され、犬種として確立されていきます。
その後、20世紀初頭にはドイツをはじめとするヨーロッパ各国に広がり、第一次世界大戦を経てもなお愛玩犬・家庭犬として人気を高めていきました。アメリカ合衆国には1920年代に持ち込まれ、1937年にはアメリカンケネルクラブ(AKC)に公認されるに至ります。現在では、スイス原産犬種の中でも最も国際的に知られる存在となり、家庭犬やショードッグとして高い人気を誇っています。
系統的には、モロシアン系のマスティフに起源を持つ「作業犬グループ」に属し、特にグレート・スイス・マウンテン・ドッグと密接な血縁関係を持っています。両者は骨格や体格において共通点が多く、毛の長さによって区別されたと考えられています。現代のバーニーズは、牧畜犬や護衛犬としての資質を残しつつも、家庭犬としての温厚さが強調されるよう繁殖が進められています。
まとめると、バーニーズ・マウンテン・ドッグは「ローマ時代に起源を持ち、スイスの農村文化の中で磨かれ、20世紀に保存運動によって確立された犬種」といえます。その歴史は単に犬の系統の話にとどまらず、人と犬との共生のあり方を象徴する物語でもあります。現代においては愛情深い家庭犬として世界中で愛され続けていますが、その背後には厳しいアルプスの自然と農村の人々の暮らしを支えてきた逞しい歴史が息づいているのです。
バーニーズ・マウンテン・ドッグは、もともとスイスの農村地帯で牛の追い立てや荷車を引く作業犬として活躍してきた歴史を持ちます。そのため、人と協力して動くことを得意とし、飼い主の指示に耳を傾ける傾向が強い犬種です。しかし「しつけがしやすい犬」と言い切るにはいくつかの注意点があります。
まず、この犬種は非常に賢く学習能力が高い反面、繊細な感受性を持っています。厳しく叱責したり、力で従わせるような方法はかえって不安や頑なさを招き、学習意欲を失わせてしまう危険があります。むしろ褒めて伸ばす「ポジティブトレーニング」が最も効果的で、特に子犬期から一貫して明るく楽しい雰囲気で教えることが重要です。おやつや声掛け、遊びを使った報酬型のしつけが、この犬種には非常に適しています。
また、バーニーズは成犬になるまでに時間がかかり、精神的に落ち着くのは2~3歳を過ぎてからと言われます。そのため、子犬期から青年期にかけては少々落ち着きがなく、指示に集中しにくい場面もあります。この期間は飼い主が根気よく、短いセッションを繰り返していくことが大切です。特に「待て」「おいで」「座れ」といった基本指示は、生活の安全に直結しますので、遊びを交えながら確実に身につけさせる必要があります。
もう一つの特徴として、この犬種は家族との絆を非常に大切にする点があります。孤独や放置に弱く、長時間の留守番が続くとストレスから問題行動を起こすこともあります。したがって、しつけのしやすさは「飼い主との関係性の深さ」にも大きく影響を受けます。信頼関係が築けていれば、指示を理解する速度や従順さが増し、逆に関係が希薄であれば学習の定着も遅れがちになります。
さらに、バーニーズは大型犬で力が強いため、若齢期にしっかりとリードコントロールを教えることが不可欠です。体重が40kgを超える個体も珍しくなく、引っ張り癖を放置すると飼い主の体に大きな負担をかけるだけでなく、事故の原因にもなります。特に散歩時のリーダーウォークを根気強く練習することは、生活の質を大きく左右します。
また、作業犬としての本能から「動くものを追いかける習性」が時折見られます。これは自転車や小動物、走る子どもに対しても発揮されることがあるため、子犬の頃から「追いかけない」「呼び戻しに応じる」といった制御のしつけが必要です。これを怠ると、力の強さも相まって大きなトラブルにつながる可能性があります。
総じて言えるのは、バーニーズ・マウンテン・ドッグは「従順で学びやすいが、繊細さと力強さを併せ持つため、適切な方法を選ばなければならない」という点です。厳しすぎず甘やかしすぎず、家族と一緒にいる喜びを感じながらルールを学んでいくと、この犬種は驚くほど素直で協力的なパートナーへと成長します。しつけのしやすさを引き出すのは、結局のところ飼い主の姿勢と関わり方にかかっているのです。
バーニーズ・マウンテン・ドッグの最大の魅力の一つは、その温厚で親しみやすい性格にあります。この犬種は、スイスの農村地帯で人間と密接に暮らし、家畜の管理や荷車を引くなど「人と協力する作業犬」として活躍してきた歴史を持ちます。そのため、他の多くの作業犬に比べても人懐っこさと家庭的な性格が際立っており、「家族の一員としての存在感」を強く放つ犬種です。
まず、バーニーズは非常に愛情深く、人との絆を大切にします。飼い主や家族と一緒にいることを心から喜び、特に子どもや高齢者に対しても優しい態度をとる傾向があります。人間の感情をよく読み取る敏感さを持ち、飼い主が落ち込んでいると寄り添ったり、楽しそうにしていると一緒に喜んだりと、まるで共感しているかのような行動を見せることがあります。こうした性質は、家庭犬として非常に魅力的な要素といえるでしょう。
また、バーニーズは大型犬でありながら、攻撃性は低い傾向にあります。他者に対して警戒心を見せることはあっても、無闇に吠えたり噛みついたりすることはほとんどありません。むしろ初対面の人にもフレンドリーに接することが多く、来客に対しても大らかに迎える姿勢を見せる場合が多いです。ただし、個体差はあり、中には少し内向的で慎重な性格を持つバーニーズも存在します。その場合、無理に人に慣れさせようとするのではなく、時間をかけて安心感を与えることが大切です。
一方で、この犬種は非常に繊細な面を持ち合わせています。厳しい叱責や家庭内の不安定な環境に敏感に反応し、ストレスを抱えやすい傾向があります。強い孤独感や緊張を与えると、自信を失って臆病になったり、逆に問題行動につながることもあります。したがって、安定した家庭環境のもとで、愛情を持って接することが欠かせません。
加えて、バーニーズは遊び好きで、特に子犬期から青年期にかけては非常に陽気な面を見せます。家族と一緒に庭で遊んだり、雪の中で転げ回ったりするのが大好きで、その様子は見ている人の心を和ませてくれます。成犬になると落ち着きが出てきますが、それでも基本的にユーモアのある明るい性格を持ち続けます。
ただし、大型犬であるがゆえに感情表現も大きく、嬉しさのあまり飛びついたり、はしゃぎすぎたりすることがあります。これを放置すると、体格の大きさが災いして思わぬ事故につながるため、しつけとの両立が重要です。「優しくて陽気」という長所を安全に引き出すためには、若いうちから「落ち着くこと」を学ばせるとよいでしょう。
総合的に言えば、バーニーズ・マウンテン・ドッグは「温和で人懐っこい家庭向きの性格」を持つ犬種ですが、その魅力を引き出すには「安心できる環境」「十分な愛情」「穏やかな接し方」の3つが欠かせません。彼らは決して支配的な性格ではなく、むしろ家族とともに喜びを分かち合い、日常に温かみをもたらしてくれる存在です。大型犬でありながらも「優しい巨人」と呼ばれることが多いのは、この性格的な特徴に由来しているのです。
バーニーズ・マウンテン・ドッグは、その堂々とした体格と力強い見た目から「頑健そう」という印象を持たれることが多いですが、実際には健康面でいくつかの弱点を抱える犬種として知られています。特に寿命が比較的短いことは、この犬種を飼う上で最もよく語られる特徴のひとつです。平均寿命は6年から8年程度とされ、他の大型犬種と比べても短めである点は、多くの飼い主が覚悟しておく必要があります。
まず、バーニーズで特に注意すべき病気のひとつが「がん」です。統計的に見ても腫瘍性疾患の発症率が高く、リンパ腫や悪性組織球腫、骨肉腫などが代表的です。これらは進行が速く、発見されたときには治療が難しいケースも少なくありません。そのため、定期的な健康診断や体に異常な腫れやしこりがないかを日常的にチェックすることが欠かせません。
次に多いのが「股関節形成不全」や「肘関節形成不全」といった関節系の病気です。バーニーズは急速に成長する大型犬であるため、骨格や関節に負担がかかりやすく、特に成長期に無理な運動や体重過多になると、将来的に関節炎や歩行困難を招くことがあります。予防のためには、子犬の頃から体重管理を徹底し、関節に優しい床環境を整え、適度な運動を心がけることが重要です。
また、胃拡張・胃捻転症候群もこの犬種で注意すべき病気のひとつです。大型で胸の深い犬に多い病気で、大量の空気や食物が胃にたまり、ねじれることで命に関わる緊急事態を引き起こします。発症すると数時間以内に処置をしなければならない危険な病気ですので、食事を一度に大量に与えない、食後すぐに激しい運動をさせないなどの生活管理が予防につながります。
さらに皮膚疾患にも比較的かかりやすく、特に被毛が厚いために湿気がこもりやすい季節には皮膚炎が起きやすい傾向があります。耳の中も蒸れやすいため外耳炎を起こしやすく、定期的な清潔管理が必要です。
けがについて言えば、バーニーズは力が強いため、自ら無理をして関節や筋肉を痛めることがあります。特に雪の中で走り回ったり、段差のある場所でジャンプを繰り返したりすると、膝や腰に負担がかかります。骨格的な弱点を考えると「無理をさせないこと」が最良の予防策といえるでしょう。
寿命が短めである点は、多くの飼い主にとって心苦しい現実です。しかしその分、バーニーズは人との時間を大切にし、濃密な絆を築く傾向が強い犬種でもあります。健康面でのリスクを理解し、定期的な動物病院でのチェックやバランスの取れた食事、無理のない運動を徹底すれば、平均より長く健やかに過ごすことも十分に可能です。
まとめると、バーニーズ・マウンテン・ドッグは「健康的に長生きする犬種」というよりも、「健康管理に細心の注意が必要な犬種」といえます。しかしその短い生涯の中で見せてくれる愛情の深さや温厚な性格は、飼い主にとって何物にも代えがたい宝物になるでしょう。飼う上では「少しでも健やかに、少しでも長く共に過ごす」ことを念頭に置き、日々のケアを欠かさないことが大切です。
バーニーズ・マウンテン・ドッグは、その温厚で包容力のある性格から「家庭犬」として非常に人気の高い犬種です。特に他の犬や子どもとの同居に関しては、多くの点で優れた適性を持っています。ただし、体格の大きさや力強さ、そして感受性の高さを考慮すると、安全に快適な共生を実現するためにいくつか注意すべき点があります。
まず子どもとの関係についてですが、バーニーズは子どもに対して非常に寛容で優しい態度を見せることが多い犬種です。子どもの声や動きに敏感でありながらも、過剰に反応することは少なく、むしろ忍耐強く付き合う傾向があります。そのため、子どもが少し乱暴に抱きついたり、遊びに誘ったりしても、バーニーズは穏やかに受け入れるケースが多く「優しい巨人」と呼ばれる所以となっています。雪の中で子どもと遊んだり、庭でボールを追いかけたりする姿は、まさに理想的な家庭犬のイメージを体現しています。
しかし一方で、その体格の大きさは注意点でもあります。成犬になれば40kgを超える個体も珍しくなく、遊んでいる最中に不意に体がぶつかるだけでも小さな子どもにとっては大きな衝撃となる可能性があります。また、嬉しさのあまり飛びついたり尻尾を振ったりする動作も、小さな子どもにとっては転倒や怪我の原因になりかねません。そのため、子どもと一緒に遊ばせる際は必ず大人が見守り、犬が落ち着いて過ごせる環境を整えることが重要です。
次に、他の犬との同居についてです。バーニーズはもともと群れでの作業や人との共同作業をこなしてきた歴史を持つため、基本的には他の犬に対して友好的な傾向があります。特に子犬の頃から社会化を十分に行い、さまざまな犬と交流する経験を積ませれば、多頭飼育に適応しやすい犬種といえます。優しい性格から、他犬と争うよりも譲ることを選ぶ場合も多いです。
ただし、大型犬としての存在感は小型犬にとって脅威になり得るため、相手の犬の性格や体格によっては注意が必要です。特に活発で小さな犬種と一緒に暮らす場合、遊びの中で体重差から事故が起こることがあります。安全な共生のためには、最初の出会いを慎重に行い、無理なく距離を縮めていく工夫が必要です。また、オス同士で縄張り意識が強く出る個体もまれにいますので、その場合は適切な距離感を保ちながら飼うことが求められます。
さらに、猫や小動物との同居についても触れておく必要があります。バーニーズは牧畜犬としての本能を持つため、動くものを追いかける習性が出ることがあります。そのため、猫やウサギなどの小動物を家族に迎えている場合、子犬のうちから「追いかけない」「落ち着いて接する」というしつけを徹底することが欠かせません。ただし、基本的には攻撃性が低く、正しい導入を行えば小動物とも平和に共存できる可能性が高い犬種です。
まとめると、バーニーズ・マウンテン・ドッグは「子どもや他の犬と一緒に暮らすのに非常に適した犬種」であり、家庭内での安心感や調和をもたらしてくれる存在です。しかしその大きな体格と力強さを過小評価せず、常に安全面に配慮しながら関係を築いていくことが欠かせません。適切な社会化とルール作りを行えば、子どもにとって最高の遊び相手となり、他の犬にとっても頼もしい仲間となり得るでしょう。
バーニーズ・マウンテン・ドッグは、その大きく力強い体格から「とても運動量が多い犬種」と思われがちですが、実際のところは少し異なります。確かに牧畜や荷車を引くといった作業犬として発展してきた歴史を持つため、体力的には非常に優れています。しかし現代の家庭犬として暮らす場合、過度な運動を必要とする犬種ではなく、むしろ「適度でバランスの取れた運動」が求められる犬種といえます。
まず、日常的に必要とされる運動量について考えてみましょう。成犬のバーニーズは、1日に合計で1時間から2時間程度の散歩や軽い運動を目安にすると良いとされています。これは必ずしも連続して行う必要はなく、朝と夕方に30〜60分ずつ歩かせるとちょうどよいリズムになります。散歩の内容も単なる歩行だけでなく、少し速歩や坂道、芝生での自由運動などを組み合わせることで心身の健康に役立ちます。
注意すべきは「激しい運動を控える」という点です。バーニーズは関節や骨に負担がかかりやすい犬種であり、特に子犬期から成長期にかけての無理なジャンプや長距離走は、股関節形成不全や関節炎のリスクを高めてしまいます。したがって、成長が安定する2歳前後までは「短時間で質の良い運動」を心がけることが推奨されます。
また、バーニーズは寒冷な気候に適応した犬種であるため、夏場の暑さには非常に弱い特徴を持ちます。気温が高い時期には、長時間の散歩や激しい運動は避け、早朝や夜など涼しい時間帯を選んで運動させることが大切です。暑さによる熱中症のリスクは命に関わるため、運動量の多さよりも「運動の質」と「環境への配慮」が重要になります。
精神的な満足感も運動の一環として欠かせません。バーニーズは人と一緒に何かをすることに喜びを感じる犬種です。単に庭で自由にさせるよりも、飼い主と共に歩いたり遊んだりすることで、運動量以上の満足感を得ることができます。特に服従訓練を兼ねた散歩や、簡単な引っ張り遊び、知育玩具を使った頭を使う活動は、バーニーズの精神を健やかに保ちます。
加えて、この犬種は雪遊びが大好きです。もともと寒冷地で活躍してきたため、雪の中で体を動かすことは自然な喜びであり、適度な運動量を確保できる理想的な環境となります。雪の上で遊ぶことで関節への負担も和らぎ、安全に体力を発散できます。
総合的に見れば、バーニーズ・マウンテン・ドッグの運動量は「大型犬としては中程度」といえます。毎日しっかりとした散歩と適度な遊びを取り入れれば、心身ともに健康に暮らすことができます。一方で、過度な運動や暑さの中での活動は大きなリスクとなるため注意が必要です。重要なのは「量」よりも「質」と「環境」に気を配り、家族と一緒に楽しみながら体を動かすことなのです。
バーニーズ・マウンテン・ドッグは、その堂々とした体格と美しい被毛、そして独特の毛色によって「一度見たら忘れられない犬種」と言われることが多いです。人々を惹きつけるのは単なる大型犬としての迫力だけではなく、落ち着きと優雅さを兼ね備えた外見的な魅力にあります。
まず体格についてですが、バーニーズは大型犬に分類され、雄では体高64〜70cm、体重40〜50kgほど、雌でも体高58〜66cm、体重35〜45kg程度とされています。骨太で筋肉質な体を持ち、しっかりとした胸郭と強靭な四肢は、もともと荷車を引いたり牧畜作業に従事してきた歴史を反映しています。外見は力強さに満ちていますが、動きは比較的ゆったりしており、落ち着いた威厳を感じさせます。
次に被毛の特徴です。バーニーズの毛は「ダブルコート」と呼ばれる二重構造を持っています。外側は光沢のあるやや長めの直毛またはわずかにウェーブがかった毛で、内側には柔らかく密集した下毛が生えています。この二重被毛は寒冷なスイスの山岳地帯で過ごすために発達したもので、冬の寒さや雪から体を守る役割を果たしてきました。そのため寒さには強い一方で、暑さには弱く、日本の夏など高温多湿の環境では特に注意が必要です。
被毛の手入れについても触れておきましょう。バーニーズの毛は抜けやすく、特に換毛期には大量の毛が抜け落ちます。定期的なブラッシングは欠かせず、週に数回から毎日のケアが理想的です。ブラッシングによって毛並みの美しさを保つだけでなく、皮膚の健康を守り、抜け毛による家の中の汚れを軽減する効果もあります。また、毛玉ができやすい耳の裏や足の付け根、胸元などは念入りにケアする必要があります。
バーニーズの外見を語る上で欠かせないのが、独特の毛色パターンです。公認されている毛色は「トライカラー(三色)」のみで、黒を基調とした体に、赤褐色(タン)のマーキング、そして白の模様が組み合わさっています。黒い被毛は全体を引き締め、赤褐色は眉の上や頬、脚に配置され、温かみを与えます。そして白は胸、足先、鼻筋から額にかけてのブレーズとして入り、清潔感と気品を際立たせています。この配色のバランスは非常に厳格に決められており、犬種のアイデンティティを象徴する要素となっています。
また、表情も特徴的です。丸みを帯びた頭部と優しい瞳、垂れた耳が組み合わさり、穏やかで親しみやすい印象を与えます。その姿は威厳と温厚さを同時に感じさせ、多くの人を安心させる雰囲気を持っています。
さらに、大型犬としては動作が比較的ゆったりしている点も見逃せません。俊敏さを競う犬種ではありませんが、落ち着いた歩様と堂々とした姿勢は、まさに「山の王者」の風格を漂わせます。
まとめると、バーニーズ・マウンテン・ドッグは「力強さ」と「優雅さ」を兼ね備えた体格を持ち、厚い被毛と独特のトライカラーによって世界中で愛されている犬種です。その美しい見た目は家庭に迎える上で大きな魅力ですが、同時に暑さへの弱さや手入れの大変さという面も併せ持っています。外見的な美しさは、日々のケアと適切な飼育環境によってこそ保たれるものなのです。
バーニーズ・マウンテン・ドッグは、日本でも人気のある大型犬種ですが、入手方法や価格には特徴があります。また、寿命が比較的短く健康上のリスクも高い犬種であるため、迎える際にはブリーダー選びや飼育環境への準備が特に重要になります。
まず、ブリーダーから迎える場合についてです。バーニーズは日本国内においても一定数のブリーダーが存在しますが、他の小型犬に比べると数は少なく、信頼できるブリーダーを見つけることは容易ではありません。繁殖には十分な知識と経験、そして遺伝性疾患に対する検査体制が必要であり、特に股関節形成不全やがんのリスクを考慮して、健康な系統から計画的に繁殖を行っているかどうかが大きなポイントになります。優良なブリーダーは、親犬の健康診断や遺伝病検査の結果を提示できるほか、子犬の社会化にも力を入れています。そのため、迎える際には必ず見学を行い、飼育環境や親犬の様子を直接確認することが望まれます。
価格帯については、バーニーズの子犬は一般的に30万円から50万円程度が相場とされています。ただし、血統や両親のショーでの実績、繁殖の質によっては60万円以上になることも珍しくありません。一方で、あまりに安価に販売されている場合は、健康管理が十分でない可能性もあり注意が必要です。
次に、里親として迎える方法についてです。大型犬であるバーニーズは、飼育環境の問題や寿命の短さ、医療費の高さなどから、やむを得ず手放されるケースも少なくありません。そのため、動物保護団体や里親募集サイトでバーニーズを見かけることがあります。ただし、成犬として引き取る場合は、すでに持っている性格や健康状態を十分に理解し、無理のない範囲でケアしていくことが求められます。特に大型犬であるため、飼育スペースや運動環境、医療費負担などがネックとなり、譲渡条件が厳しめに設定されていることもあります。しかし、その分、新しい家族を得たバーニーズは強い愛情で応えてくれるため、保護犬を迎える選択肢は大変意義深いものです。
さらに、輸入による入手という方法もあります。バーニーズはスイス原産の犬種であり、ヨーロッパやアメリカでは繁殖頭数が多く、日本に比べて血統的な多様性が確保されています。そのため、海外のブリーダーから輸入されるケースもありますが、輸送費や手続きが加わることで価格は高額になり、数十万円以上の負担がかかることが一般的です。
迎え入れる際には、値段だけで判断するのではなく「信頼できるブリーダーか」「犬の健康状態はどうか」「自分の家庭環境に合っているか」を総合的に考えることが何よりも大切です。特にバーニーズは寿命が短く、がんや関節疾患などのリスクが高いため、将来的にかかる医療費や介護の負担を覚悟しておく必要があります。
まとめると、バーニーズ・マウンテン・ドッグを迎える方法は主に「ブリーダー」「里親」「輸入」の3つですが、いずれにせよ信頼性と犬の健康状態を最優先に考えることが不可欠です。価格の相場はあるものの、その背景にある健康や飼育環境の質を見極めなければなりません。そして、出会った1頭との縁を大切にし、最後まで責任を持って育てる覚悟こそが、バーニーズを家庭に迎える上で最も大切な条件といえるでしょう。
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現在、バーニーズ・マウンテン・ドッグの記事はありません。
はじめまして。現在バーニーズマウンテンドッグを飼っているのですが、最近ドーベルマンに興味を持ち始めました。
実は先日、ドッグランでドーベルマンを見かけたんです。映画とかで見る怖いイメージと全然違って、飼い主さんと楽しそうに遊んでいて。それで、ちょっと気になり始めました。
うちのバーニーズも大型犬なので、犬のサイズ的には問題ないん
.......(続きはここをクリック)みなさん、おうちの子にお留守番はどれぐらいさせてますか?
うちは長いと8〜10時間とかもあります。
長いお留守番は寂しくないかなととか、何かあったらどうしようとか、
心配になります。
特に、職場と自宅の距離があって、何かあってもすぐには帰れないので😭
寂しく無いように何か対策だったり、安全面など?何か工夫していることあれば
.......(続きはここをクリック)こんにちは。これまで犬を飼った経験は何度かあるのですが、すべて中型犬までしか飼ったことがありません。最近、家庭の環境も整ってきて、ついに「大型犬」を家族に迎えたいという気持ちが強くなり、いろいろな犬種の情報をネットで見ています。そんな中で目を引いたのが、バーニーズ・マウンテン・ドッグです。その穏やかな表情やもふもふの毛並み、堂々とした体格が
.......(続きはここをクリック)私は今は小学生の子どもが2人いる家庭です。以前から犬と一緒に暮らすことに憧れていて、最近になってようやく真剣に考え始めました。色々な犬種を見ている中で、特に気になっているのがバーニーズ・マウンテン・ドッグです。
見た目がとても立派で優しい雰囲気があり、大型犬なのに穏やかそうな印象があるので、家族で「いいなあ」と話題になることが増えてきまし
みなさんこんにちは!👋
最近、バーニーズマウンテンドッグの魅力にどハマりしちゃって...😍 大きな体に、ふわふわの毛並み、そしてあの優しそうな瞳...完全に虜になってしまいました❤️
実は今、実家暮らしなんですが、そろそろ一人暮らしを始めようと考えていて、その時にバーニーズを迎えたいなって思っているんです!でも、大型犬を飼うのは初め
.......(続きはここをクリック)こんにちは。タイトルにも書いた通りなんですが、ここ数年、散歩のときやドッグランでバーニーズ・マウンテン・ドッグを見かける機会が増えて、「いつかはあんな大きくて毛並みも立派な子と暮らすのもいいなぁ」なんてぼんやり思っています。ですが、日本の気候、特に夏の蒸し暑さの中で、バーニーズ・マウンテン・ドッグみたいな寒い地方原産の大型犬がどれくらい快適
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