【最強の用心棒!?ドーベルマン】

ドーベルマンの基本情報(性格・しつけ・病気など)

 
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ドーベルマン
[英記]:Doberman

    ◇基本データ
  • ・サイズ: 大型犬
  • ・体高:60cm~70cm
  • ・体重:30kg~40kg

  • ◇起源・歴史・沿革・系統:
  • ドーベルマンは、ドイツのチューリンゲン地方を原産とする犬種です。

    起源は、19世紀初頭にルイス・ドーベルマンによって、 ジャーマン・シェパード・ドッグ、 ロットワイラー、ジャーマンピンシャー、 ワイマラナー、マンチェスターテリア等のかけ合わせが行われた結果、誕生しました。

    その後、軍用犬や警察犬などとして使われてきました。

    日本国内では、警察犬のイメージでとても有名です。
    普段見かけるドーベルマンのほとんどが断耳(立ち耳にするため)、断尾されているものになります。


    ◇こんなスタイルで犬を飼いたい方・こんな状況の方との相性Good!!
    ・番犬や守ってくれる強い犬を求めている
    ・自身でのしつけもきちんとできる。トレーナーにも依頼できる
    ・運動量は多く、一緒に走ったり遊んだり、体力的にも付き合ってあげられる
    ・他の犬や子供との同居が必須ではない状況
ドーベルマンのメイン写真 ドーベルマンの特徴評価グラフ

しつけのしやすさ

ドーベルマンは、警備犬や軍用犬、さらには家庭での番犬として長く活躍してきた犬種であり、しつけのしやすさという点では非常に優秀な資質を備えています。ただし、その「しつけやすさ」は単純に初心者でも簡単という意味ではなく、正しい方法で導いていくことで高い成果を得られる、という意味で理解する必要があります。ドーベルマンは非常に高い知能を持ち、飼い主の指示やニュアンスを素早く理解できる能力を備えているため、適切にトレーニングを行えば習得のスピードは他犬種と比べても群を抜きます。警察犬や災害救助犬としても選ばれることが多いのは、この高い理解力と集中力があってこそです。

しかし一方で、知能の高さは「良くも悪くも」作用します。もし一貫性のない指示や曖昧な態度で接してしまうと、犬は混乱するだけでなく、「この人は頼れるリーダーではない」と判断し、独自の行動を取るようになってしまうことがあります。特にドーベルマンのように自立心が強い犬は、飼い主をリーダーと認めなければ、自分で判断して行動してしまい、その結果、吠え癖や警戒心の強さが制御できなくなるケースもあります。この点は、ゴールデン・レトリーバーやラブラドールのような「人に従うことが喜び」というタイプの犬種とは大きく異なります。

また、ドーベルマンは警戒心が強いことから、見知らぬ人や音に敏感に反応します。この特性は番犬として非常に頼もしいものですが、家庭犬として生活する際には、過剰な警戒心を抑えるために幼少期からの社会化トレーニングが不可欠です。子犬の頃に人間や他の犬、日常生活で出会うさまざまな音や環境に慣れさせることによって、無駄に攻撃性を発揮することなく、落ち着いた性格に育てることができます。社会化を怠ると、散歩中に他の犬や人に過剰に反応して吠えたり飛びかかったりするようになるため、飼い主にとっても犬にとってもストレスになります。

しつけの方法としては、罰を与えるようなやり方はドーベルマンには不向きです。非常に感受性が高いため、強い口調や体罰は恐怖心や不信感を植え付けるだけで逆効果となり、攻撃性の助長や心の不安定さにつながる危険があります。むしろ、褒めて伸ばす「ポジティブトレーニング」が効果的で、特にご褒美や遊びを活用すると、ドーベルマンは喜んで学び続けます。こうした方法を取り入れることで、飼い主との信頼関係も深まり、強固な絆を築けるのです。

さらに、しつけに取り組む際には「短く、わかりやすく、一貫した指示」を徹底することが重要です。ドーベルマンは学習能力が高い分、余計な情報が多いと混乱しやすくなります。例えば「お座り」なら「お座り」で統一し、「シット」や「座って」など複数の言葉を使うと理解が遅れたり混乱を招いたりします。家族全員が同じ指示で統一することも欠かせません。

総じて、ドーベルマンは「正しい方法でしつけをすれば非常に優秀に育つ犬種」と言えます。ただし、そのためには飼い主自身が犬に対してリーダーシップを持ち、愛情と一貫性をもって接する姿勢が必要不可欠です。初心者がいきなりドーベルマンを迎えて、独力でしつけを行うのはやや難易度が高く、犬の行動学に関する知識やトレーナーの指導を受けながら取り組むことが望ましいでしょう。経験豊富な飼い主や、犬との関わりに慣れている人にとっては、これほど頼りがいがあり、教え甲斐のある犬種はなかなかいません。ドーベルマンのしつけは、単なる命令の習得ではなく、互いに信頼を深めていく共同作業なのです。

気性の穏やかさ・性格

ドーベルマンという犬種に対して、多くの人が抱くイメージは「精悍で強そう」「気性が荒いのではないか」「攻撃的」といったものかもしれません。鋭い顔立ちや引き締まった体格がその印象を強めているのは確かですが、実際のドーベルマンの性格は、外見から受ける印象とは必ずしも一致しません。むしろ本来のドーベルマンは、非常に忠実で家族を深く愛する、優しい心を持った犬種なのです。

まず特徴的なのは「強い忠誠心」です。ドーベルマンは飼い主に対して極めて深い愛情を注ぎ、その信頼関係は揺るぎません。家族と認めた相手には温和で従順な態度を示し、常に寄り添うように過ごします。家の中でも、飼い主がどこに行くにもついてくる「影のような存在」になることも多く、この姿から「ベルクロ・ドッグ(マジックテープのようにくっつく犬)」と呼ばれることもあるほどです。孤独を嫌い、飼い主と一緒にいることで安心感を得る性格のため、留守番が長すぎる環境はストレスとなり、問題行動につながる可能性があります。

一方で、警戒心の強さも顕著です。もともと護衛犬として改良された歴史があるため、不審な物音や見知らぬ人物に対しては敏感に反応します。ただし、これは「無差別に攻撃する」という意味ではありません。しっかりと社会化され、飼い主にリーダーシップを発揮されているドーベルマンは、冷静な判断力を持ち、必要なときだけ勇敢に立ち向かいます。むしろ無駄に吠えたり噛んだりすることを嫌う、理性的でコントロールの効いた性格だといえます。

性格のもう一つの大きな特徴は「非常に活発でエネルギッシュ」である点です。運動能力が高く、知的好奇心も強いため、日常生活では遊びや学びを通じてエネルギーを発散させてあげる必要があります。十分に運動をさせないとストレスが溜まり、落ち着きがなくなったり、家具をかじるといった問題行動が現れることもあります。逆にいえば、運動やトレーニングを通じて心身を満たしてあげれば、家庭内では驚くほど穏やかに過ごすことができます。まるで「外では精悍な警備員、家では穏やかな家族」という二面性を持ち合わせているのです。

また、ドーベルマンは感受性が豊かで、人間の感情を敏感に察知します。飼い主が楽しそうにしていれば一緒に喜び、落ち込んでいれば寄り添って励ますような仕草を見せることがあります。この共感性の高さは、単に護衛犬としてだけでなく、家庭犬としての魅力を大いに引き立てています。飼い主に対しては甘えん坊な一面もあり、見た目の凛々しさに反して、実際にはとても家庭的で優しい犬なのです。

ただし、気性が穏やかかどうかは、育て方によって大きく左右されることも忘れてはなりません。ドーベルマンは頭が良く、感情の起伏も人間に似て複雑なため、子犬期に適切な社会化を経験しないと、過剰な警戒心や攻撃性として表れてしまうことがあります。愛情を持って一貫性のあるしつけを行い、安心して過ごせる家庭環境を整えてあげれば、穏やかで信頼できる性格が育まれます。逆に不安定な飼育環境や虐待的な扱いを受けると、警戒心が先鋭化し、本来の穏やかさを失うこともあるのです。

総合すると、ドーベルマンの性格は「強い忠誠心と温厚さ、勇敢さを兼ね備えたバランス型」と表現できます。外見から「攻撃的」と誤解されやすい一方で、実際には非常に家庭的で、信頼できるパートナーとなります。気性の穏やかさは飼い主の接し方次第で大きく引き出せるため、飼う側の責任は決して小さくありません。しっかりとした愛情とリーダーシップを持つ飼い主のもとでは、ドーベルマンは驚くほど優しく、落ち着いた伴侶となるのです。

病気・けがへの強さ・寿命

ドーベルマンは引き締まった筋肉質の体を持ち、走る・跳ぶ・守るといった動作に非常に優れた犬種です。そのため外見から「健康で丈夫そう」という印象を受けやすいですが、実際には遺伝的に注意すべき病気や体質上の弱点がいくつか存在します。特に大型犬としての特有のリスクと、ドーベルマン特有の遺伝疾患の両面を理解しておくことが、健康管理の鍵となります。

まずドーベルマンに多く見られる病気の代表格は「拡張型心筋症(DCM)」です。これは心臓の筋肉が薄くなり、十分に血液を送り出せなくなる病気で、ドーベルマンにとって最も深刻な健康問題のひとつとされています。症状が進行するまで目立った変化が見られないことも多く、気づいたときには突然倒れたり、失神、呼吸困難といった症状が出るケースもあります。このため、定期的な心臓検査(心エコーや心電図)を受けることが、寿命を延ばすうえで不可欠です。特に5歳を超えた頃からは注意が必要とされます。

次に多いのが「胃拡張・胃捻転症候群」です。これは大型犬や胸の深い犬種に起こりやすい病気で、胃が急激にガスで膨張し、さらに捻れてしまうことで血流が途絶え、命に関わる危険があります。発症は急激で、数時間のうちに死亡に至ることもあるため、予防と早期発見が重要です。食後すぐの激しい運動を避けることや、一度に大量の食事を与えず小分けにすることが対策として推奨されます。

また、ドーベルマンは「頸椎不安定症(ウッブルラー症候群)」にもかかりやすいとされています。これは首の骨に異常が生じ、神経を圧迫して後ろ足がふらついたり、歩行に支障をきたす病気です。遺伝的な要因が大きいため、信頼できるブリーダーから迎えることが予防の第一歩となります。

皮膚に関しても注意が必要で、短毛で被毛が薄いため外傷に弱く、ちょっとした擦り傷や虫刺されでも炎症を起こしやすい傾向があります。加えてアレルギー性皮膚炎を発症するケースも少なくなく、痒みや脱毛に悩まされる個体もいます。こまめなシャンプーやブラッシング、環境整備で皮膚を清潔に保つことが予防につながります。

寿命については、一般的にドーベルマンは10〜13年程度とされています。大型犬としては標準的ですが、拡張型心筋症や胃捻転などの病気を発症した場合、寿命が短くなる可能性もあります。逆にいえば、遺伝的疾患に注意しながら適切なケアを行えば、12年以上健やかに暮らす個体も珍しくありません。

ドーベルマンの健康を守るためには、以下のような生活管理が大切です。

1. 定期的な健康診断(特に心臓検査を重点的に行う)
2. バランスのとれた食事と体重管理
3. 激しい運動前後の食事を避けるなど胃捻転の予防
4. 日常的な皮膚・被毛のケア
5. 関節や首への負担を減らす適切な運動

これらを習慣化することで、病気の早期発見や予防につながります。

総じて、ドーベルマンは体力的には非常にタフですが、特定の疾患リスクを抱えやすい犬種です。そのため「健康そうに見えるから安心」と思わず、計画的なケアを続けることが長寿への鍵となります。飼い主が犬の小さな変化を敏感に感じ取り、定期的な診察を怠らないことで、ドーベルマンはその持ち前の力強さと優雅さを長く保つことができるのです。

他の犬や子どもとの同居しやすさ

ドーベルマンは、忠実で愛情深い性格を持つため、家族に対しては非常に優しい一面を見せます。しかし「他の犬や子どもと一緒に暮らす」となると、注意すべき点がいくつも存在します。これは、もともと護衛犬として改良されてきた歴史と、強い警戒心、そしてエネルギッシュな気質が影響しています。

まず、子どもとの関係について見てみましょう。ドーベルマンは家族に深い愛情を注ぐため、家庭の一員として受け入れられた子どもには非常に優しく接します。大人に対してだけでなく、小さな子どもを守ろうとする意識を見せることもあり、しっかりとした信頼関係が築かれていれば、よき遊び相手、そして頼れる保護者のような存在になるでしょう。実際に、海外では「子守犬」と呼ばれるほど、子どもに寄り添う姿が見られることもあります。

しかし、注意点もあります。ドーベルマンは大型で筋肉質な体格を持つため、無邪気にじゃれつく際でも体重や力が強く、小さな子どもにとっては転倒やケガの原因となる可能性があります。さらに、子どもが不意に耳を引っ張ったり、しっぽを掴んだりしたときに、犬が驚いて反応してしまうこともあり得ます。したがって、子どもとドーベルマンを一緒に遊ばせるときは、必ず大人が見守り、適切な距離感を教えていくことが欠かせません。

次に、他の犬との同居について考えます。ドーベルマンはもともと番犬や護衛犬としての役割を担ってきたため、強い縄張り意識を持つ個体が少なくありません。そのため、見知らぬ犬に対して攻撃的な態度を取ることもあり、散歩中にトラブルになるケースも報告されています。特に同じ性別の犬や、自分と同じくらいの体格を持つ犬に対してはライバル意識を抱きやすい傾向があり、注意が必要です。

とはいえ、必ずしも他の犬と共存できないわけではありません。子犬のうちから積極的に社会化を行い、さまざまな犬と触れ合う機会を設ければ、他犬との協調性を育むことが可能です。家庭内で複数の犬を飼う場合も、年齢や性格の相性を考慮すれば、むしろ遊び相手として良い関係を築くことがあります。ただし、同じく気の強い犬種や、縄張り意識の強い犬種との組み合わせは慎重に考えるべきでしょう。

他の小動物との関係についても触れておきます。ドーベルマンは本来狩猟犬ではありませんが、体力や俊敏さを持つため、素早く動く小動物を本能的に追いかけてしまうことがあります。猫や小型のウサギ、鳥などと同居させる場合は、十分な慣らしやトレーニングが必要です。

総じて、ドーベルマンが他の犬や子どもと上手に共存できるかどうかは、社会化の程度と飼い主のリーダーシップに大きく左右されます。飼い主が安心できる環境を整え、秩序を保ちながら生活させることで、ドーベルマンは驚くほど穏やかに周囲と調和して暮らすことができます。逆に、社会化不足や放任的な飼育をしてしまうと、警戒心や力強さが悪い方向に働き、他の犬や子どもにとって危険になりかねません。

ドーベルマンを家族に迎える際には「必ず人間が仲介役となって安全を確保する」という意識を持つことが重要です。そのうえで、子どもや他の犬にとっても安心できる存在へと育てていけば、ドーベルマンはまさに「家族を守り、支える頼れる仲間」として大きな力を発揮するでしょう。

運動量の多さ

ドーベルマンは、全犬種の中でも特に高い運動能力と持久力を持つ犬種です。その精悍な体つきからも分かるように、日常的に多くの運動を必要とし、精神的にも肉体的にも充実した活動が欠かせません。十分な運動が与えられているドーベルマンは、家庭では穏やかに過ごすことができますが、逆に運動不足になると落ち着きがなくなり、破壊行動や過剰な吠えといった問題行動につながりやすいのが特徴です。

ドーベルマンに必要な運動量は、一般的な家庭犬と比べるとかなり多いと考えてよいでしょう。毎日の散歩は1回15〜20分程度では足りず、最低でも1日2回、合計で1時間以上の運動が求められます。しかも、ただ歩くだけでなく、ジョギングや自転車に並走させる、ボール遊びやフリスビーなど全力疾走できる活動を取り入れることで、初めて満足感を得られるのです。体を思い切り動かすことで余分なエネルギーを発散し、心身のバランスが保たれます。

加えて、ドーベルマンは非常に知能が高いため、単なる体力消費だけでは不十分です。頭を使うトレーニングや遊びを組み合わせることが不可欠です。例えば、服従訓練の反復、アジリティ(障害物競走)、トリックの学習、あるいは知育玩具を使った遊びなどは、心を満たす良い刺激となります。こうした活動は「働くことが好き」なドーベルマンの本能に合っており、犬自身も楽しみながら達成感を味わえます。

運動に関しては年齢によって配慮も必要です。子犬期は関節や骨格がまだ成長途中のため、過度なジャンプや長距離走は避け、短い散歩や軽い遊びを中心にして徐々に体を作ることが望まれます。成犬期に入れば本領を発揮し、毎日のハードな運動をこなせるようになりますが、高齢期には関節炎や心臓への負担を考慮し、運動の内容を穏やかに調整していく必要があります。

運動不足はドーベルマンにとって深刻な問題を引き起こします。エネルギーが発散できないと、家具や壁を噛む、庭を掘る、無駄吠えを繰り返すといった行動が見られることがあります。これらは犬の「困った行動」として扱われがちですが、実際には「必要な運動が足りていない」というサインです。逆に、十分な運動をして心身が満たされていれば、家庭では驚くほど落ち着いた振る舞いを見せるのもドーベルマンの特徴です。

さらに、ドーベルマンは飼い主と一緒に活動することを強く好みます。単独で庭に放しておくだけでは、運動としては不十分であり、かえって退屈や孤独感を増幅させてしまいます。散歩や運動は「飼い主と一緒に楽しむ時間」として取り入れることが、犬の精神的な満足につながります。この点も、ドーベルマンが「家庭に深く結びつく犬」であることを物語っています。

総じて、ドーベルマンは運動量が非常に多く、単なるペットというより「アクティブなパートナー」としての側面が強い犬種です。ジョギングやアウトドアが好きな家庭には理想的な伴侶となりますが、忙しくて運動の時間が取れない環境ではストレスが溜まり、犬も人間も負担を感じることになります。ドーベルマンを迎える際には「毎日の十分な運動と遊びを欠かさない」ことを大前提に考えることが重要です。

体の特徴・被毛・毛色の特徴

ドーベルマンは、犬種の中でも特に優雅さと力強さを兼ね備えた姿を持つ犬です。その体つきや被毛の特徴は、護衛犬や作業犬として活躍してきた歴史を色濃く反映しており、単なる外見の美しさにとどまらず、機能的にも優れています。

まず体格についてですが、ドーベルマンは中型から大型犬に分類され、雄の体高は約68〜72cm、雌は63〜68cmほどで、体重はおおよそ30〜40kgに達します。全体的に引き締まった筋肉質の体型をしており、脚が長く、胸は深く広がり、腰は引き締まっています。このバランスのとれた体は、瞬発力・持久力・俊敏性のいずれにも優れ、護衛犬として求められる「素早く、しなやかに動ける能力」を体現しています。実際、走れば非常に速く、方向転換の敏捷さも高いため、運動能力は全犬種の中でもトップクラスです。

頭部は長く、鼻筋が通っていて、表情には知性と精悍さが漂います。耳は本来垂れ耳ですが、ドーベルマンといえば立ち耳のイメージが強いでしょう。これは「断耳」と呼ばれる人為的な処置によるもので、もともとは作業犬として活動する際に耳を掴まれたり怪我をしたりしないようにする目的がありました。同様に尻尾も「断尾」されることが多く、短く切り揃えられるのが一般的でした。しかし近年では動物福祉の観点から、ヨーロッパを中心に断耳・断尾は禁止されており、自然な垂れ耳と長い尻尾を持つドーベルマンも増えています。

被毛については、非常に短く滑らかなシングルコート(下毛がほとんどないタイプ)です。毛が密に生えており、光沢のある質感を持つため、太陽光を浴びると艶やかに輝きます。短毛のため手入れは比較的容易で、週に1〜2回のブラッシングで十分に美しさを保つことができます。ただし下毛が少ない分、寒さに弱く、冬場は洋服や防寒対策が必要になることがあります。

毛色のバリエーションは限られており、主に以下の4種類が公認されています。

1. ブラック&タン(黒と赤褐色)
2. チョコレート(ブラウン)&タン
3. ブルー(灰青色)&タン
4. フォーン(イザベラ)&タン

いずれの毛色も、目の上、口周り、胸、足、しっぽの付け根などに赤褐色のマーキングが入るのが特徴です。もっとも一般的で広く知られているのは「ブラック&タン」で、ドーベルマンの典型的なイメージを形作っています。

体の特徴として忘れてはならないのは、ドーベルマンが「実用美」を追求して作られた犬種であるという点です。無駄のない筋肉、俊敏さを生む脚、警戒心を表す鋭い目つきなど、すべてが機能と美を兼ね備えています。まさに「機能美の象徴」と呼ぶにふさわしい存在です。

総合すると、ドーベルマンは外見的にも非常に魅力的な犬種であり、その姿は力強さと優雅さを兼ね備えています。ただし、断耳・断尾については賛否があり、自然な姿を尊重する飼育が今後さらに広がっていくでしょう。短毛でお手入れは比較的簡単ですが、寒さには弱いため、室内飼育や季節に応じたケアが必須となります。美しさと実用性を両立したその体は、まさにドーベルマンが「理想の護衛犬」として長年評価され続けてきた理由を物語っているのです。

里親・ブリーダー・値段

ドーベルマンは日本ではそれほど数の多い犬種ではありませんが、その精悍な外見と賢さから根強い人気を持っています。迎える方法としては大きく分けて「ブリーダーから購入する」「ペットショップで探す」「里親として迎える」という3つのルートがあります。それぞれにメリットと注意点があるため、よく理解して選択することが大切です。

まず、最も一般的なのはブリーダーから迎える方法です。ドーベルマンは遺伝的な病気のリスクが比較的高い犬種であるため、信頼できるブリーダーを選ぶことが健康面で非常に重要です。前述のように、拡張型心筋症や頸椎不安定症などの遺伝性疾患があるため、繁殖にあたって健康検査をきちんと行っているブリーダーであるかどうかがポイントになります。また、性格の安定や社会化の基礎ができているかどうかも確認すべき点です。適切に飼育されている子犬は、人懐っこく落ち着いた態度を見せますが、不適切な環境で育った犬は過剰に怯えたり、逆に攻撃的になったりすることがあります。

値段については、日本国内でブリーダーから購入する場合、子犬の価格はおおよそ20万〜50万円程度が相場とされています。特に血統が優れている個体やショードッグ向けの犬は、50万円以上になることもあります。一方、家庭犬として迎える場合は比較的安価なこともありますが、それでも医療費やトレーニング費用、日々の生活費を含めると決して安い選択肢ではありません。

ペットショップでの取り扱いも一部ありますが、ドーベルマンは流通量が少ないため、見かける機会は多くありません。また、ペットショップでは親犬の健康状態や繁殖環境が確認しにくいため、後々の健康リスクを考えると、やはり専門ブリーダーからの迎え入れが推奨されます。

もう一つの選択肢が「里親制度」を利用することです。保護団体や動物愛護センターなどで、飼育放棄や事情によって手放されたドーベルマンが新しい家庭を探していることがあります。特に大型犬は飼育が難しいと感じて手放されるケースもあり、子犬だけでなく成犬のドーベルマンが里親募集に出ることも少なくありません。里親として迎える場合は、譲渡費用はワクチン代や医療費などの実費程度で、数万円程度に収まることが多いです。ただし、保護犬は過去の環境によって心身にトラウマを抱えていることもあり、より丁寧なケアやしつけが必要となる可能性があります。ドーベルマンは賢く順応性があるため、適切な愛情と時間を注げば、新しい家庭にしっかりと馴染むことができます。

総合すると、ドーベルマンを迎える際に最も大切なのは「信頼できる入手先を選ぶ」ことです。健康面のチェックを怠らず、性格の傾向をよく見極め、自分のライフスタイルに合っているかを慎重に判断する必要があります。価格だけで選ぶのではなく、その犬の将来にわたるケアをしっかりと考えたうえで決断すべきです。

ドーベルマンは外見のカッコよさだけでなく、家族に対する強い愛情や忠誠心を持つ魅力的な犬種です。迎える過程においても、きちんと準備を整え、責任を持った飼育を行うことで、その本来の魅力を最大限に引き出すことができるでしょう。

ドーベルマンの動画集

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ドーベルマンの動画 その1

ドーベルマンの動画 その2

ドーベルマンの動画 その3

ドーベルマンの人気インスタグラマーご紹介


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