【ベルギー王室にも愛されたブリュッセル・グリフォン】

ブリュッセル・グリフォンの基本情報(性格・しつけ・病気など)

 
    このエントリーをはてなブックマークに追加
   

ブリュッセル・グリフォン
[英記]:Brussels Griffon

    ◇基本データ
  • ・サイズ:  小型犬
  • ・体高:18cm~22cm
  • ・体重:3kg~5kg

  • ◇起源・歴史・沿革・系統:
  • ブリュッセル・グリフォンの原産国はベルギーです。

    もともとは、農場でネズミなどの害獣を駆除するための役目で使われていましたが、 15世紀~19世紀後半にかけて、アーフェンピンシャー、パグ、 ヨークシャテリア、 キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル などとの交配がされていったことで、さらに改良され小型化が進んでいきました。
    19世紀に入ってから、上流階級の人々に飼われるようになり、 ベルギー王室でも飼われていたことも追い風として働き、人気が出ました。

    また、口周りをぐるっと覆う髭のような硬い毛と赤く長めな被毛が特徴的なブリュッセル・グリフォンですが、 並列の同系統の犬種には、ベルジアン・グリフォンと プチ・ブラバンソンの2種類が存在します。
    それぞれ、被毛のタイプによって特色が別れており、ベルジアン・グリフォンは、 ラフな毛並みにブラックの毛色、プチ・ブラバンソン は短い被毛(スムースタイプ)が特徴となります。

    ちなみに、映画「スターウォーズ」の人気キャラクターの一人、 「チューバッカ」のモデルになった犬とも言われています。

    そして、犬種名の由来については、原産国ベルギーの首都名『ブリュッセル』と、 『グリフォン』という言葉をかけ合わせていますが、グリフォンの出所にはいくつか説があります。
    一つは、その被毛の硬さからフランス語で「針金のような」という意味の『グリフォン』からきている説。 もう一つは、ブリュッセル・グリフォンがネズミ狩りをしていた時代に、主に馬小屋が持ち場でしたが、 その働きぶりから「馬小屋のグリフォン(※グリフォン=頭部と上半身が鷲で下半身がライオンの空想上の生き物)」 という異名をもっていたことから来ている説です。


    ◇こんなスタイルで犬を飼いたい方・こんな状況の方との相性Good!!
    ・ちょっと気難しい点もあるけど、根気強くしつけができる
    ・活発で遊び好きだけど運動量は多くない犬種が良い
    ・病気リスクは極力抑えたい。比較的、健康的な犬種の希望を優先
ブリュッセル・グリフォンのメイン写真 ブリュッセル・グリフォンの特徴評価グラフ

しつけのしやすさ

ブリュッセル・グリフォンは、ベルギー原産の小型犬で、その愛らしい顔立ちや人懐っこい性格から愛好家が多い犬種です。しつけのしやすさという観点で見ると、一言で「簡単」と言い切れる犬種ではありません。知能が高く、人間の感情をよく察する能力を持っていますが、それゆえに気分屋な一面や、やや頑固な気質を見せることがあるため、飼い主の対応力が試される場面が多いのです。

まず、ブリュッセル・グリフォンは非常に飼い主志向が強く、家族とのつながりを深く求めます。そのため「褒められたい」「認められたい」という欲求が強く、ポジティブな強化を用いたしつけはとても効果的です。おやつや言葉、撫でるなどのご褒美を上手に使うと学習速度は早く、コツをつかめば楽しくトレーニングを進めることができます。一方で、叱責や強制的な方法は大きなストレスを与えてしまい、不安感や反抗的な行動につながる恐れがあるため避けるべきです。

この犬種は感受性が鋭いので、飼い主の機嫌や声のトーンにも敏感に反応します。例えば、緊張感のある声で「ダメ」と言われればすぐに気づきますが、その場限りで終わってしまうこともあり、持続的な行動改善には一貫性のある指導が必要です。日常生活の中で「こうしてほしい」というルールを決めたら、家族全員が同じ基準で接することが大切です。誰かが甘やかし、誰かが厳しく接すると、混乱して落ち着かない性格になってしまう可能性があります。

また、グリフォンは小型犬であるがゆえに、「吠えやすさ」のしつけも課題の一つです。見知らぬ人や物音に対して吠える傾向があり、無駄吠えにつながることがあります。ただし、この吠えは攻撃的というより、警戒心や好奇心の表れである場合が多いため、早い段階で「落ち着いて確認できれば安心できる」という学習をさせることが望まれます。社会化期にいろいろな音や人、犬に慣れさせることで、この傾向を和らげることができます。

トイレトレーニングに関しては、成功体験を重ねると早く覚えますが、失敗した際に強く叱ると逆に隠れて排泄する癖がついてしまうことがあります。成功したときに大げさなくらい褒めて、失敗時は冷静に片づける、という態度が望ましいです。特に子犬期の根気強いトレーニングが、その後の生活の快適さを大きく左右します。

もう一つ重要なのは、ブリュッセル・グリフォンは「退屈に弱い」犬種であることです。知能が高いため、単調な練習や放置状態が続くと、いたずらや自己主張の強い行動で注意を引こうとします。短い時間で構わないので、日常的に新しいコマンドやトリックを教えたり、知育玩具を使って頭を使わせたりすると、満足感を得られて問題行動も減少します。

さらに、体が小さい割には活発さを持っているため、適度な運動を取り入れながらしつけをするのが効果的です。散歩の途中で「お座り」や「待て」を練習したり、呼び戻しの練習を遊び感覚で行ったりすることで、楽しみながら服従心と信頼関係を築くことができます。

総じて言えるのは、ブリュッセル・グリフォンのしつけのしやすさは「飼い主次第」で大きく変わるということです。知的で人間の感情をよく理解するため、信頼関係を築けばスムーズに学習していきますが、甘やかしすぎると自己主張が強まり、わがままな性格が前面に出てしまうこともあります。小型犬だからといって油断せず、きちんとルールを作り、根気強く丁寧に育てることが、しつけ成功の鍵となります。

気性の穏やかさ・性格

ブリュッセル・グリフォンは、その独特な表情と小さな体から「おもちゃのような犬」と思われることもありますが、実際の性格は非常に奥深く、個性的です。全体的に人懐っこく、飼い主に強い愛着を示す傾向があります。その一方で、自立心の強い犬とは違い「常に家族と一緒にいたい」と思う甘えん坊な気質を持っており、愛情深い伴侶犬としての性質が色濃く出ています。

まず気性の面ですが、ブリュッセル・グリフォンは小型犬の中では比較的落ち着いているといわれます。ただし、これは「普段の生活が安定している場合」に限られます。環境が安心できるものであれば、家の中ではおとなしく寄り添い、まるで猫のようにソファやベッドでくつろいで過ごします。しかし、周囲に不安要素があると警戒心が強く出て、物音や来客に対して敏感に反応して吠えることもあります。つまり「穏やかさ」と「神経質さ」が表裏一体のように共存しているのです。

性格的にはとても知能が高く、観察力も優れています。人の表情や声色を読み取るのが得意で、飼い主が喜んでいると自分も一緒にテンションを上げ、落ち込んでいると寄り添って慰めるような行動を見せることもあります。この共感的な性格は、家庭犬として大きな魅力であり、愛犬との絆を深める大きな要素となります。

一方で、強い独占欲を持つ個体も少なくありません。特に飼い主の注意を他の犬や人に奪われると嫉妬を示すことがあり、拗ねたり吠えたりする場合があります。これを「わがまま」と受け止める人もいますが、本質的には「大好きな存在を独り占めしたい」という強い愛情の裏返しです。この点を理解して接すれば、過度に叱ることなく上手に対応できます。

また、ブリュッセル・グリフォンは好奇心旺盛で冒険心もあります。散歩中に新しい匂いや環境に触れると、とても楽しそうに探検する姿を見せます。ただし体が小さいため、環境によっては怖がりな一面が出ることもあります。例えば、大型犬に急に近づかれると怯えて固まったり吠えて距離を取ろうとしたりすることがあります。こうした反応も「恐怖心を隠すための自己防衛行動」であり、根っから攻撃的というわけではありません。

社交性に関しては、子犬期からの社会化が十分であれば、人や他の犬とも良好な関係を築きやすい犬種です。家族に対しては強い忠誠心を示しますが、見知らぬ人には慎重な態度をとることが多く、慣れるまでは距離を置いて観察します。ただし一度信頼を置くと、とてもフレンドリーで愛嬌たっぷりに接してくれるようになります。このような「信頼関係を築けば心を開く」性格は、長く付き合うほどに深い魅力を感じさせる要素です。

穏やかさを保つうえで重要なのは、安心できる日常リズムを整えることです。孤独感に弱い犬種なので、長時間の留守番は精神的な不安を招きやすく、分離不安のような行動につながることがあります。長いお留守番を繰り返すと、吠え癖やいたずらが増えたり、ストレスで体調を崩すこともあります。そのため、留守番の練習を少しずつ行い、落ち着いて待てるようにする工夫が求められます。

総じて、ブリュッセル・グリフォンの性格は「愛情深く、人懐っこく、少し神経質」という特徴で表せます。攻撃性は低く、むしろ臆病さから吠えることの方が多いので、飼い主が安心感を与えれば穏やかに暮らせるでしょう。信頼関係を築けば築くほど、その奥ゆかしくも人間味あふれる性格に触れられる、非常に魅力的な伴侶犬です。

病気・けがへの強さ・寿命

ブリュッセル・グリフォンは小型犬でありながら、頑丈さと繊細さが同居する犬種です。見た目は可愛らしく、飼い主に寄り添う伴侶犬としての歴史を持っていますが、その体質や健康面にはいくつか特有の注意点があります。まず寿命についてですが、平均寿命は12〜15年ほどといわれ、小型犬としては標準的からやや長めです。適切なケアと環境が整えば、15年以上生きる個体も珍しくなく、長寿を楽しめる犬種のひとつです。

ただし、健康を守るためにはいくつかの遺伝的リスクや身体的特徴を理解しておくことが欠かせません。特にブリュッセル・グリフォンは短頭種(鼻が短い犬種)の一員であり、「短頭種気道症候群」に関連する呼吸器のトラブルが生じやすいとされています。鼻腔が狭く、気管も細い場合が多いため、激しい運動や暑さに弱く、呼吸がゼーゼーと荒くなることがあります。夏場の高温多湿な環境は特に危険で、熱中症のリスクも高まるため、涼しい環境の確保や無理のない運動管理が必須です。

目の病気も注意が必要です。グリフォンは顔が平らで目が大きく前に出ているため、角膜が傷つきやすく、角膜潰瘍やドライアイなどのトラブルが起きやすい傾向があります。ちょっとした衝突や枝、ほこりでも目を痛めることがあるため、散歩中の環境には気を配る必要があります。また、涙や目やにが頻繁に見られる場合は、早めに動物病院で診てもらうことが大切です。

関節や骨格のトラブルも小型犬に共通して見られる問題です。特に「膝蓋骨脱臼(パテラ)」は小型犬で発生率が高く、ブリュッセル・グリフォンでも注意が必要です。滑りやすい床や過度なジャンプは膝への負担となり、脱臼や関節炎を引き起こす要因となります。家庭ではフローリングにカーペットを敷く、ソファやベッドの昇り降りにはステップを用意するなどの工夫が効果的です。

さらに、心臓疾患への注意も欠かせません。特に「僧帽弁閉鎖不全症」は中高齢期に発症しやすく、咳や呼吸の乱れ、運動不耐性といった症状を示すことがあります。小型犬全般に多い病気であり、グリフォンも例外ではありません。定期的な健康診断や心臓のチェックを怠らず、早期発見・早期治療を心がけることが寿命を延ばす鍵となります。

遺伝的な要因としては、グリフォンは比較的希少な犬種であるため、繁殖の際に血統が限られてしまい、遺伝病が固定化されやすい傾向があります。そのため、ブリーダーの選択は非常に重要です。きちんと健康検査を行っているか、無理な交配をしていないかを確認することが、迎え入れる際の大きなポイントとなります。

日常生活におけるケガについては、活発で好奇心旺盛な性格から小さな事故につながることがあります。特に体が小さいため、高い場所から飛び降りたり、大型犬と無理に遊んだりすると大きなダメージを受けやすいです。飼い主が「小さな体を守る意識」を持って行動環境を整えることが重要です。

健康維持のための基本的なポイントは以下の通りです。

1. 呼吸器系への配慮:暑さを避け、無理な運動をさせない。
2. 目の保護:散歩時は危険物に近づけず、日常的に清潔に保つ。
3. 関節ケア:滑りにくい床、段差への配慮。
4. 定期健診:心臓や歯科のチェックを忘れない。
5. 栄養管理:肥満はあらゆる病気を悪化させるため、体重コントロールが必須。

総じて、ブリュッセル・グリフォンは極端に弱い犬種ではありませんが、体の構造的特徴から特定の病気や怪我に注意が必要です。飼い主が「小型犬特有のリスク」と「短頭種特有のリスク」を理解し、予防的にケアを行えば、健やかで長い犬生を送ることが可能です。健康面の管理は愛犬の穏やかな性格を保つ基盤ともなるため、日々の観察と適切なケアが欠かせません。

他の犬や子どもとの同居しやすさ

ブリュッセル・グリフォンは、人との深いつながりを求める犬種であり、飼い主や家族に強く依存する傾向があります。このため、同居する相手が犬であれ子どもであれ、その関係性が「安心できるもの」である限り、比較的柔軟に適応できる犬種です。しかし、一方で体が非常に小さく繊細であることや、嫉妬心や神経質な面を持つことから、同居の際には注意点が多く存在します。

まず、他の犬との同居について考えてみましょう。ブリュッセル・グリフォンは社交的な性格を持ち合わせており、子犬期からしっかり社会化を行えば、他の犬との生活に慣れやすい犬種です。ただし、飼い主への愛着が非常に強いため、もう一匹の犬に飼い主の関心が向くと嫉妬心を抱き、拗ねたり吠えたりすることがあります。これを放置すると、関係がぎくしゃくしやすいため、飼い主が意識的に「両方の犬を平等に扱う」姿勢を見せることが大切です。

また、グリフォンは小型で骨格が華奢なため、大型犬との同居には注意が必要です。大型犬が悪気なく遊びに誘ったとしても、体格差が大きすぎて怪我のリスクが高まります。同じ小型犬や中型犬であれば比較的安全に共存しやすいですが、その場合も相性を慎重に見極めることが必要です。特に活発すぎる犬種や遊び方が粗い犬種と組み合わせると、グリフォンがストレスを感じたり、怪我をしたりする可能性があります。

次に、子どもとの関係についてです。ブリュッセル・グリフォンは基本的に人懐っこく、愛情深い犬種なので、子どもに対しても比較的友好的に接することができます。ただし、問題は「子ども側の接し方」にあります。体が小さく、少し強く抱きしめただけでも骨や関節を痛めることがあるため、幼い子どもに任せて世話をさせるのは危険です。また、グリフォンは神経質な一面もあり、乱暴な扱いや大声に敏感に反応してストレスを感じることがあります。そのため、子どもと同居させる場合は、必ず大人が間に入り、子どもに正しい接し方を教える必要があります。

具体的には、「犬を無理に抱っこしない」「食事中や休んでいるときに邪魔しない」「犬が嫌がっているサインを見逃さない」といったルールを、家庭内で徹底することが大切です。こうした配慮をすることで、ブリュッセル・グリフォンは子どもに対しても優しく接し、良き遊び相手となってくれるでしょう。

もう一つ重要なのは、分離不安に関連する問題です。グリフォンは家族との絆を非常に重視するため、同居相手(他の犬や子ども)が「安心できる存在」であれば心の支えとなりやすいのですが、逆に「ストレスを与える存在」であれば不安が強まり、攻撃的ではないにせよ回避行動や過剰な吠えにつながる可能性があります。そのため、同居を考える際には「どのように相性を合わせるか」という点に細心の注意を払わねばなりません。

他の犬との共存を成功させるポイントは、最初の顔合わせを慎重に行い、短い時間から徐々に慣らしていくことです。お互いの匂いを確認させ、落ち着いた状態で接触させることで安心感を得られます。また、飼い主がどちらか一方をひいきしないことも大切です。どちらの犬にも同じだけ愛情を注ぎ、安心できる環境を整えることで、対立ではなく共生の方向へ導けます。

子どもとの関係を良好に保つためには、子どもの年齢や性格も考慮しなければなりません。落ち着きがあり、動物への思いやりを持てる年齢であれば、ブリュッセル・グリフォンとの相性は非常に良く、強い絆を築くことができます。しかし、まだ感情のコントロールが未熟な幼児期の子どもとの同居は、犬にとって大きなストレスとなる可能性が高いため、慎重な判断が求められます。

総じて、ブリュッセル・グリフォンは「他者との関係を築く力」に優れた犬種ですが、その体の小ささと繊細さから、環境次第で大きな差が生まれます。他の犬や子どもと同居させる場合、飼い主が橋渡し役となり、安心感と公平性を保つことが不可欠です。その配慮ができれば、グリフォンは愛情深く穏やかに同居相手を受け入れ、家庭全体を明るくする存在となるでしょう。

運動量の多さ

ブリュッセル・グリフォンは小型犬でありながら、とても活発で好奇心旺盛な性格を持っています。しかしその運動欲求は、ジャック・ラッセル・テリアやボーダー・コリーといった「高い作業能力を持つ犬種」と比べると控えめであり、家庭犬として無理なく付き合える程度に収まっています。つまり「そこそこ運動が好きだが、過度な要求はしない」タイプの犬種だといえるでしょう。

まず日常的な運動量についてですが、ブリュッセル・グリフォンには1日に30分から1時間程度の散歩を2回行うのが理想的です。距離としては2〜3km程度でも十分ですが、ただ歩くだけでなく、匂いを嗅いだり、人や他の犬と触れ合ったりすることで心の満足度が大きく上がります。この犬種は好奇心が強いため、同じ道を毎日歩くよりも、時々コースを変えて新しい刺激を与えることが大切です。

また、グリフォンは遊びが大好きです。室内でもボール遊びや引っ張りっこ、知育玩具を使った遊びを取り入れることで、運動と知的刺激の両方を満たすことができます。特に短頭種であるため、夏場の炎天下での激しい運動は避け、室内での遊びでエネルギーを発散させるのが安全です。エアコンの効いた部屋で短時間の遊びを数回行うだけでも、十分な運動効果を得られます。

ただし注意が必要なのは、ブリュッセル・グリフォンは体が小さいにもかかわらず自分を「小さな犬」とは思っていない節がある点です。散歩中に大きな犬を見ても臆せず近づいていこうとすることがあり、無理に遊ぼうとすると怪我のリスクが高まります。飼い主が適切にコントロールし、安全な範囲で運動を楽しませることが重要です。

運動と健康の関係についても触れておきましょう。ブリュッセル・グリフォンは膝蓋骨脱臼などの関節トラブルを起こしやすいため、過度なジャンプや急激な方向転換を伴う遊びは避けた方が無難です。フローリングなどの滑りやすい床は関節への負担を大きくするため、マットやカーペットを敷いた上で遊ばせることが推奨されます。運動不足は肥満や心臓病のリスクを高めますが、逆に過剰な運動は関節や呼吸器に負担をかけるため、「適度」を守ることが最も大切です。

精神的な面でも、運動は大きな役割を果たします。ブリュッセル・グリフォンは飼い主にべったりする甘えん坊な性格から、留守番中に不安を感じやすい傾向があります。この不安を軽減するには、日中にしっかりと遊びや散歩を取り入れて心身を満たし、留守番前にエネルギーを発散させることが有効です。十分に満足した犬は、飼い主が不在でも落ち着いて休むことができます。

また、散歩や運動は単なる体力づくりにとどまらず、社会化にも直結します。ブリュッセル・グリフォンは見知らぬ人や犬に対して慎重な態度をとることがあり、適切に慣らしていないと警戒吠えにつながることがあります。散歩の時間を使って多様な環境に触れさせ、落ち着いて他者と接する経験を積むことで、精神的に安定した犬に育てることができます。

家庭での運動不足を防ぐ工夫としては、階段を使った軽い上り下りや、短い距離での呼び戻し練習なども効果的です。ただし関節に負担をかけないよう、無理をしないことが大前提です。知育玩具やおやつ探しゲームも良い刺激となり、身体と頭の両方を満たす「質の高い運動」となります。

まとめると、ブリュッセル・グリフォンの運動量は「中程度」であり、小型犬としてはそれなりのアクティブさを持っていますが、過剰にエネルギッシュな犬種ではありません。日常的な散歩と室内遊びを組み合わせることで十分満たされます。大切なのは、身体的な負担をかけないように工夫しつつ、心の刺激も忘れずに与えることです。そのバランスを守れば、グリフォンは満足そうに穏やかに暮らし、飼い主にとって理想的な伴侶となるでしょう。

体の特徴・被毛・毛色の特徴

ブリュッセル・グリフォンは、非常に個性的な外見を持つ小型犬で、その愛嬌たっぷりの表情から「小さな猿のような顔」と形容されることもあります。特に大きく突き出した目、短い鼻、そして豊かな口ひげや顎ひげが印象的で、一度見たら忘れられない独特の魅力を放っています。体重は約3.5〜6kg、体高は18〜28cm程度と非常にコンパクトで、家庭犬として扱いやすいサイズ感を持ちます。しかしその小さな体には筋肉がしっかりとついており、華奢に見えて意外にたくましさを兼ね備えているのも特徴です。

顔のつくりに注目すると、鼻が短くつぶれた「短頭種」の特徴が強く出ています。特にマズルがほとんど平らに見えるほど短く、これが愛嬌のある表情を形づくっています。また、顎はやや突出していてアンダーショット気味になることが多く、下の歯が少し見える顔立ちが標準とされています。口周りには長いひげがあり、これが猿のような顔に見える理由の一つです。大きな黒い瞳は生き生きとした輝きを放ち、人間の感情を映し出すような表情豊かさを見せます。

耳は断耳されることもありますが、自然のままでは小さめで先端が垂れ気味、または半立ち耳になります。尾についても断尾されてきた歴史がありますが、近年では自然な長い尾を持つ個体も増えており、国や地域によってスタンダードに違いがあります。

被毛については大きく分けて「ラフコート(剛毛)」と「スムースコート(短毛)」の2種類があります。ラフコートのブリュッセル・グリフォンは、硬くてざらついた質感の毛が全身を覆い、顔まわりの髭や眉毛が特に豊かに伸びます。このラフな毛並みは独特の風貌を強調し、より猿に似た愛嬌のある表情を際立たせます。一方でスムースコートは、滑らかで短い毛が体を覆い、ラフタイプに比べて顔の飾り毛が少なく、よりすっきりとした印象になります。スムースは「プチ・ブラバンソン」と呼ばれることもあり、同じ犬種グループ内で扱われる場合があります。

毛色のバリエーションも豊富です。代表的なのは「レッド(赤みのある茶色)」で、これは最もポピュラーなカラーです。他には「ブラック」「ブラック&タン(黒地に茶のポイント)」「ベリジウム(黒と赤が混ざったような色合い)」などが認められています。特にブラック&タンは眉や口元、脚の一部に茶色が入るため、非常に表情豊かに見えます。これらの毛色は国際的な犬種標準で認められており、それぞれに独特の魅力があります。

被毛の手入れについては、ラフコートとスムースコートで大きく異なります。ラフコートは定期的なトリミング(特に「プラッキング」と呼ばれる手作業での抜き毛)が必要です。これにより毛並みを整え、皮膚の健康を保ちます。ブラッシングも週に数回は行い、毛玉やもつれを防ぐ必要があります。一方、スムースコートは短毛で抜け毛が少なく、日常の手入れは比較的簡単です。柔らかいブラシで週に1〜2回撫でるだけで十分に美しい状態を保てます。

体格的には非常に小さいため「抱き犬」としてのイメージが強いですが、骨格はしっかりしており、決して壊れやすいおもちゃのような存在ではありません。それでも体重が軽い分、落下や踏まれるといった事故には弱いため、家庭内での扱いには注意が必要です。また、短頭種のために口吻が短く、食べ物を丸呑みしやすい点や、呼吸がしづらくなりやすい点も身体的な特徴に含まれます。

まとめると、ブリュッセル・グリフォンは「小型ながら筋肉質で頑丈な体」と「個性的な顔立ち」を持つ犬種です。ラフとスムースという毛質の違いがあり、それぞれにお手入れ方法が異なります。毛色も多彩で、同じ犬種でも外見的なバリエーションを楽しめるのが魅力です。そのユニークな姿は、一緒に暮らす人にとって飽きのこない存在感を放ち続けるでしょう。

里親・ブリーダー・値段

ブリュッセル・グリフォンは、国内ではまだ知名度の高い犬種とはいえず、ペットショップで頻繁に見かけるような犬ではありません。日本においては非常に希少な存在であり、そのため入手方法や価格帯も一般的な小型犬とは異なる特徴を持っています。

まず入手方法についてですが、最も現実的なのは「ブリーダーからの直接購入」です。ペットショップで見かけることもゼロではありませんが、数は極めて少なく、また質の高い個体に出会える確率も低いのが現状です。ブリュッセル・グリフォンは血統管理が重要な犬種であり、健康面・性格面において信頼できるブリーダーから迎えることが強く推奨されます。特に短頭種特有の呼吸器トラブルや、小型犬に多い膝蓋骨脱臼などは、繁殖の段階で適切に選別が行われていないと、後々大きな負担になることがあります。そのため、両親犬の健康状態を公開しているか、繁殖環境が清潔であるかを確認することは不可欠です。

日本国内では、ブリュッセル・グリフォン専門のブリーダーは数が限られており、予約待ちとなることも珍しくありません。子犬が生まれる頻度も年に数回程度で、需要に対して供給が追いつかないケースが多いため、希望する毛質(ラフまたはスムース)や毛色がある場合は、数カ月から一年単位で待つ覚悟が必要となるでしょう。

次に値段についてです。ブリュッセル・グリフォンの子犬の価格は、日本では一般的に40万円〜70万円程度が相場とされています。特に顔立ちが整っている個体、血統的にショータイプに適した個体はさらに高額になり、80万円以上となることもあります。希少性が高い毛色や、海外から輸入された場合には100万円を超えるケースも存在します。他の小型犬(チワワやトイ・プードルなど)に比べると価格が高めに感じられますが、それは希少性と繁殖の難しさを反映したものといえます。

一方で、里親として迎える可能性についても考えてみましょう。ブリュッセル・グリフォンは日本で飼育頭数が少ないため、保護犬として里親募集に出るケースは極めてまれです。里親募集サイトや愛護団体で名前を見ることはほとんどなく、もし掲載された場合は希少な機会といえます。里親として迎える場合、基本的に譲渡費用は数万円程度(医療費やワクチン代)にとどまりますが、その代わりに「性格がすでにある程度固まっている」「健康上の不安を抱えていることがある」などの条件を受け入れる覚悟が必要です。子犬から迎えたい場合や、血統を重視する場合は、やはりブリーダーからの購入が現実的です。

ブリーダー選びにおいて重視すべきポイントは、価格よりも「犬の質」と「飼育環境」です。信頼できるブリーダーは、親犬を無理に繁殖させず、健康診断やワクチン接種、遺伝疾患の検査を行った上で子犬を譲渡します。また、子犬が社会化期に十分な経験を積めるよう、人間や他の犬との触れ合いを大切にしているブリーダーも優良といえます。価格が相場より安すぎる場合は、適切な管理がされていない「パピーミル(繁殖工場)」の可能性もあるため、慎重な判断が必要です。

さらに費用面で考慮すべきは「購入時の値段」だけではなく、その後の維持費です。ブリュッセル・グリフォンは短頭種特有の体質から、呼吸器や目、関節の病気にかかりやすく、動物病院での診察が増える傾向があります。万が一に備えてペット保険への加入を検討することは強くおすすめされます。また、ラフコートの場合はトリミングの手入れが必要となるため、月に数千円から一万円程度の費用が継続的にかかります。こうしたランニングコストを含めて計画を立てることが大切です。

総合的に見ると、ブリュッセル・グリフォンは「入手の難しさ」「価格の高さ」がネックとなる犬種ですが、その代わりに非常に個性的で愛嬌のあるパートナーを得られる魅力があります。迎え入れる際にはブリーダーや譲渡先を慎重に選び、信頼できる情報源から健康で健全な個体を迎えることが、幸せな共生への第一歩となるでしょう。

ブリュッセル・グリフォンの動画集

[再生は画像をクリック]

ブリュッセル・グリフォンの動画 その1

ブリュッセル・グリフォンの動画 その2

ブリュッセル・グリフォンの動画 その3

ブリュッセル・グリフォンの人気インスタグラマーご紹介


関連ページ一覧

ブリュッセル・グリフォン(Brussels Griffon)に関する記事一覧

現在、ブリュッセル・グリフォンの記事はありません。


ブリュッセル・グリフォン(Brussels Griffon)に関する相談投稿

現在、ブリュッセル・グリフォンに関する相談はありません。


ブリュッセル・グリフォンと行ったドッグラン口コミ投稿

現在、ブリュッセル・グリフォンとのドッグラン口コミ投稿はありません。

当サイトの内容・テキスト・画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。