【実は飼いやすい、防衛のスペシャリスト。ブル・マスティフ】

ブル・マスティフの基本情報(性格・しつけ・病気など)

 
    このエントリーをはてなブックマークに追加
   

ブル・マスティフ
[英記]:Bull Mastiff

    ◇基本データ
  • ・サイズ: 大型犬
  • ・体高:60cm~70cm
  • ・体重:40kg~60kg

  • ◇起源・歴史・沿革・系統:
  • ブル・マスティフは、原産国はイギリスとなります。
    ブルドッグ(オールド・イングリッシュ・ブルドッグ)とマスティフ(イングリッシュ・マスティフ)の交配により誕生しています。

    もともとは19世紀頃のイギリスにて、密猟者を撃退する役目として使われていました。
    密猟者に対して、暗闇の中で主人の指示があるまでじっと待ち伏せ、指示のもとに襲い掛かり抑えておくという、 かなり強い戦闘能力を発揮していました。
    軍用犬や番犬、護衛犬としても活躍していました。

    その後、現代に近づくにつれて、そういった戦闘能力を全開に生かした役目も終わり、穏やかな性格へと改良されていきました。


    ◇こんなスタイルで犬を飼いたい方・こんな状況の方との相性Good!!
    ・番犬向きで守ってくれる、強くて頼れる犬種が良い
    ・性格は温厚で飼いやすいことが非常に重要
    ・子犬のうちに基本的なしつけはできる
    ・必要運動量が比較的に少ない犬種のほうが良い
ブル・マスティフのメイン写真 ブル・マスティフの特徴評価グラフ

しつけのしやすさ

ブル・マスティフは、イギリスで番犬や護衛犬として発展してきた大型犬で、その背景から非常に忠誠心が強く、飼い主に対して従順な傾向があります。しかし、その一方で独立心も持ち合わせており、しつけを行う際には「ただ命令を押し付ける」のではなく、犬との信頼関係を築くことが欠かせません。特にブル・マスティフは、自分が信頼を寄せる人の言葉や態度には強く反応しますが、乱暴な叱責や強制的な訓練方法には反発したり無視したりすることが多い犬種です。したがって、しつけにおいては一貫性のある態度とポジティブな強化(褒める、報酬を与えるなど)が非常に効果的になります。

この犬種の特筆すべき点は、「学習能力は高いが頑固さを持っている」というところです。たとえば、基本的なコマンドである「おすわり」「まて」「ふせ」といったものは比較的スムーズに覚える一方で、同じ練習を繰り返すと退屈してしまい、集中力が続かなくなることがあります。したがって、しつけやトレーニングは短時間で区切り、日常生活の中で自然に織り交ぜることが望ましいでしょう。朝の散歩の途中で一度「まて」をさせてみる、食事の前に「おすわり」をさせるなど、生活と一体化させたしつけが特に有効です。

また、ブル・マスティフは護衛犬としての本能を強く持っているため、幼少期から社会化トレーニングをしっかり行うことが欠かせません。社会化とは、他の犬や人間、環境音、交通、動物病院など、あらゆる状況に慣れさせることを意味します。もし社会化を怠ると、成犬になってから警戒心が過度に強くなり、来客や知らない人に対して攻撃的な態度を取ってしまう可能性があります。逆に、子犬期から計画的に社会化を進めれば、落ち着いた大人の犬に成長し、家庭内でも安心して過ごすことができるでしょう。

さらに、ブル・マスティフは大型犬で力も強いため、服従訓練は必須です。飼い主がコントロールできない状況が起きると非常に危険ですから、基本的なしつけは早期から行うべきです。特にリードを引っ張らずに歩く「ヒールウォーク」や、衝動的に飛びつかないようにする訓練は、子犬期から徹底しておくと安心です。しつけを怠ると、体の大きさと力が裏目に出てしまい、飼い主自身が散歩に苦労したり、周囲に危険を及ぼすこともあります。

一方で、ブル・マスティフは本来非常に飼い主に寄り添う性格をしているため、しつけが難しい犬種というわけではありません。むしろ飼い主との関係性がしっかり築けていれば、素直に応じてくれることが多く、初めて大型犬を迎える人でも努力次第で十分に扱えます。ただし、甘やかしすぎてルールをあいまいにしてしまうと、犬が自分を上位に感じてしまい、指示を無視する行動が増える可能性があります。そのため「優しく、しかし一貫した態度」を取ることが重要です。

しつけのしやすさという観点からまとめると、ブル・マスティフは学習能力は高く、飼い主への忠誠心も強いため、正しい方法を用いればしつけやすい犬種です。ただし、その頑固さや護衛本能を考えると、放任したり誤った方法を取った場合には問題行動が出やすいという点に注意が必要です。子犬期からの一貫した教育、社会化、基本的な服従訓練を徹底することで、落ち着いた頼れるパートナーに育てることができるでしょう。

気性の穏やかさ・性格

ブル・マスティフは、その迫力ある体格から「強面で怖い犬」という印象を持たれることも多いですが、実際に一緒に暮らしてみると、非常に穏やかで落ち着きのある性格をしていることに驚かされる犬種です。護衛犬として人間と共に暮らしてきた歴史から、家族に対しては深い愛情を持ち、常にそばで安心感を与えてくれる存在となります。特に信頼した飼い主には従順で、家庭内では物静かに過ごすことが多い犬です。

性格面で特徴的なのは、ブル・マスティフは「必要なときにだけ行動する」タイプだということです。多くの護衛犬に共通する性質ですが、無闇に吠えたり暴れたりすることはなく、基本的には静かに状況を観察し、危険を察知したときのみ行動に移ります。このため、家庭内では落ち着いた伴侶としてふるまい、来客や見知らぬ人が訪ねてきた場合には警戒心を示す、といったバランスの取れた行動を見せることが多いのです。必要以上に吠えないことから、集合住宅などでも飼いやすい大型犬として評価されることもあります。

また、この犬種は飼い主に対して非常に忠実で、家庭内では優しい一面を見せます。特に子どもや高齢者に対しては自然と加減をし、相手を守ろうとするような態度を取ることが多いです。ただし、これは適切にしつけや社会化が行われている場合に限ります。訓練不足のブル・マスティフは、護衛本能が過剰に働き、知らない人に過敏に反応したり、他の犬に対して攻撃的な態度を示すこともあるため注意が必要です。つまり、本来は穏やかな性格を持っている犬ですが、それを引き出すためには飼い主の努力が欠かせないのです。

気性の穏やかさという点で言えば、ブル・マスティフは成犬になるにつれて落ち着きが増し、家庭内でのトラブルは少なくなる傾向があります。子犬や若犬の時期はエネルギーがあり、多少やんちゃな一面も見せますが、成熟すると「落ち着いた家庭犬」としての魅力が強く表れてきます。特に大型犬にありがちな過剰な活発さは少なく、日常生活ではソファのそばで静かに横たわっていることが多いでしょう。

ただし、ブル・マスティフの性格には「頑固さ」という側面もあります。飼い主が納得させられない指示に対しては動こうとせず、自分の判断を優先してしまうことも少なくありません。これは知性が高く、状況を自分で判断できる犬だからこその特徴とも言えます。したがって、この犬種を扱う際には「なぜその行動が必要なのか」を犬に理解させるような、根気強いしつけが必要となります。一度信頼を得れば非常に協力的に行動してくれるので、その関係性を築くことが大切です。

さらに、この犬種の大きな魅力は「感情の安定性」にあります。突発的に興奮して暴走することは少なく、刺激に対しても落ち着いて対応できることが多いのです。例えば、雷や大きな音に対してもパニックを起こしにくく、冷静に状況を受け止めます。こうした安定した気質は、家庭で安心して暮らす上で大きなメリットとなります。

総じて、ブル・マスティフの性格は「穏やかで、愛情深く、頼もしい」という言葉に集約されます。もちろん、護衛本能の強さや頑固さといった個性もあるため、それを理解したうえで付き合うことが求められます。しかし、適切な環境で育てられたブル・マスティフは、家庭にとってかけがえのない存在となり、見た目の力強さと内面の優しさを兼ね備えた、理想的な伴侶犬となるでしょう。

病気・けがへの強さ・寿命

ブル・マスティフは、その頑丈な体格と筋肉質な骨格から、外見的には非常に健康的で病気に強そうに見える犬種です。実際、体力面ではしっかりとした耐久性を持ち、寒さやちょっとした怪我には比較的強い一面もあります。しかし、大型犬特有の体の構造や遺伝的要因から、いくつか注意しなければならない健康上のリスクを抱えている犬種でもあります。

まず寿命についてですが、ブル・マスティフの平均寿命はおおよそ8年から10年程度とされています。これは小型犬や中型犬と比べるとかなり短めで、大型犬に共通する宿命とも言えるでしょう。中には12年以上生きる個体も存在しますが、一般的には10歳を超えると高齢犬とみなされ、健康管理にはより一層の注意が必要になります。

この犬種に多く見られる病気の一つが「股関節形成不全」です。大型犬ではよく見られる関節の異常で、股関節の形が不完全なために歩行に支障が出たり、慢性的な痛みを伴うことがあります。特にブル・マスティフは体重が重いため、関節への負担が大きく、この病気のリスクは他犬種より高い傾向にあります。予防としては、子犬期からの急激な体重増加を避け、バランスの取れた食事と適度な運動を心がけることが重要です。

また、同じく関節に関わる病気として「肘関節形成不全」も知られています。これは成長期に骨の発達が不均衡になることで起こり、歩き方が不自然になったり、運動を嫌がるようになることがあります。早期発見のためには、定期的に獣医師による健康チェックを受けることが推奨されます。

さらに注意すべき疾患として「胃捻転」が挙げられます。これは大型犬に特に多い病気で、胃がねじれてしまい血流が遮断される危険な状態です。発症すると急激に命に関わるため、緊急手術が必要になります。予防のためには、一度に大量の食事を与えないこと、食後すぐに激しい運動をさせないことが重要です。また、食器の高さを工夫することでリスクを軽減できる場合もあります。

心臓に関しても、大型犬でよく見られる「拡張型心筋症」などのリスクがあります。これは心筋が薄くなり、心臓の収縮力が低下する病気で、進行すると咳や呼吸困難などの症状が現れます。ブル・マスティフに特有というわけではありませんが、体の大きさから心臓への負担が大きいため、日常的な健康管理の中で心臓の状態を意識することが必要です。

皮膚に関しては、短毛であるものの皮膚トラブルが起こることがあります。特に顔にしわがあるため、その部分に汚れや湿気がたまりやすく、皮膚炎の原因となることがあります。日常的に清潔を保ち、しわの部分をこまめに拭いてあげることが、皮膚病の予防に繋がります。

怪我については、ブル・マスティフは比較的頑丈で、多少の擦り傷や打撲で大きな問題になることは少ないです。しかし、その大きな体重ゆえに関節や骨に負担がかかりやすく、成長期に無理をさせすぎると障害が残るリスクがあります。特に子犬の頃は「運動のさせすぎ」に注意が必要で、成犬になるまではジャンプや階段の上り下りを控えた方が良いとされています。

ブル・マスティフの健康を守るためには、定期的な健康診断と予防ケアが欠かせません。関節や心臓に関しては特に注意が必要なので、動物病院でのレントゲン検査や心エコー検査を適切なタイミングで行うと安心です。また、寿命が短めの犬種であることを考えると、若いうちから健康維持に積極的に取り組むことが長生きに繋がります。

まとめると、ブル・マスティフは外見の強健さとは裏腹に、関節や消化器、心臓といった部分で弱点を持つ犬種です。寿命は短めですが、日々の生活習慣を工夫することで健康を大きく守ることができます。適切な食事管理、無理のない運動、こまめなケア、そして定期的な獣医チェックを続けることで、愛犬が少しでも長く健やかに暮らせるようサポートすることが大切です。

他の犬や子どもとの同居しやすさ

ブル・マスティフは護衛犬としてのルーツを持ちながらも、家庭犬として非常に温和で落ち着いた性格を示すことが多い犬種です。そのため、他の犬や子どもとの同居に関しても、正しい環境としつけが整っていれば十分に適応できる資質を備えています。ただし、この犬種特有の護衛本能や体格の大きさからくる影響を踏まえて接することが不可欠です。

まず子どもとの関係性についてですが、ブル・マスティフは本来とても愛情深く、家族を守ろうとする気持ちが強いため、子どもに対しても優しく接する傾向があります。特に家庭内で育ったブル・マスティフは「自分の群れの一員」として子どもを認識し、自然と守護者のような態度を見せることがあります。遊びの最中にも力加減をする能力を持っており、相手が小さな存在であることを理解しているかのように振る舞うケースも少なくありません。

ただし、注意すべきはその体格です。ブル・マスティフは成犬になると50kgを超えることも珍しくなく、その巨体は小さな子どもにとって大きな圧力となります。本人に悪意がなくても、じゃれ合う中でぶつかったり、体重をかけてしまったりするだけで、子どもが転んでしまう可能性があります。そのため、子どもと犬を完全に二人きりにさせるのではなく、必ず大人が見守ることが重要です。犬自身は穏やかで優しい性格をしていても、その大きさを考慮した安全管理が求められます。

次に他の犬との同居についてですが、ブル・マスティフは護衛犬として「自分のテリトリーを守る」という性質を持っているため、相手の犬に対して強い警戒心を示すことがあります。特に同性の大型犬に対しては競争意識が働きやすく、場合によっては衝突に発展することもあります。そのため、同居を考える際には、子犬の時期から他の犬と接する機会を多く持ち、社会化を十分に進めることが不可欠です。

一方で、適切に社会化されたブル・マスティフは、他の犬とも穏やかに共存できる資質を持っています。むしろ、自分から積極的に争いを仕掛けるタイプではなく、基本的には落ち着いた性格を維持します。ただし、相手が挑発的に振る舞った場合には応戦してしまうこともあるため、犬同士の相性を慎重に見極めることが大切です。特に多頭飼いをする場合は、先住犬との相性を確認し、無理のない関係を築けるように調整してあげる必要があります。

また、小型犬や猫との同居についても触れておく必要があります。ブル・マスティフは本来、狩猟犬のような強い捕食本能を持つ犬種ではありませんが、その体格と力はやはり無視できません。社会化されていない場合、小型犬や猫を「自分の縄張りに入った存在」と誤解してしまい、追いかけてしまうこともあります。反対に、幼少期から小動物と共に育てられたブル・マスティフは、それらを「仲間」と認識して穏やかに接することが多いです。つまり、この犬種における同居のしやすさは、子犬期の経験に大きく左右されるといえます。

家庭内での同居において大切なのは、「ブル・マスティフに過度な負担やストレスをかけない環境づくり」です。例えば、子どもが犬にしつこく触れたり、他の犬が食事を横取りしようとした場合、ブル・マスティフは我慢強い性格を持ちながらも限界を超えれば不満を表すこともあります。そのため、犬だけでなく人間側、特に子どもに「犬に優しく接する」「無理に触らない」といったルールを教えることも大切です。

総合的に見ると、ブル・マスティフは他の犬や子どもと共に暮らすことができる可能性を十分に持っている犬種です。愛情深く、保護者のような存在になれる資質がありますが、それは適切なしつけと社会化、そして家庭全体の理解と協力があって初めて実現します。犬の性格に頼りすぎるのではなく、飼い主が積極的に関わり、安全で安心できる環境を整えることで、ブル・マスティフは家族全員にとってかけがえのないパートナーとなるでしょう。

運動量の多さ

ブル・マスティフは、その堂々とした体格と力強さから、一見すると非常に活発で長時間の運動を必要とする犬種のように思われがちです。しかし、実際には適度な運動を好む一方で、過剰な運動は体に負担をかけてしまうため、バランスの取れた活動量を確保することが大切です。つまり、「活発すぎず、しかし完全な室内犬でもない」という特徴を持つ犬種なのです。

まず日常的な運動量についてですが、ブル・マスティフには1日に2回、各30分から1時間程度の散歩が理想とされています。早足でのウォーキングや軽いジョギング程度であれば十分で、必ずしも激しい運動は必要ありません。むしろ、過度なランニングやジャンプ運動は関節や心臓に負担を与える可能性があり、特に成長期やシニア期には避けるべきです。

ブル・マスティフは護衛犬として培われてきた歴史を持つため、「持久力」よりも「瞬発力」に優れた犬種です。そのため、持続的な長距離走や延々と続くフリスビー遊びのような運動は苦手で、短時間で満足する傾向があります。散歩中も常に全力で走る必要はなく、周囲を観察しながらゆったり歩くことを好む場合が多いでしょう。

この犬種の重要な運動要素は「精神的刺激」です。体力的に極端な運動を必要としない分、知的な刺激や飼い主との交流を通じて満足感を得ることが大切です。例えば、散歩のルートを時々変える、においを嗅ぐ時間を十分に与える、簡単なトレーニングやゲームを取り入れるといった工夫が有効です。知的欲求が満たされることで、家庭内でも落ち着いた態度を維持しやすくなります。

また、運動量を考える際にはブル・マスティフの年齢も大きなポイントになります。子犬期は関節や骨が発達途上であり、激しい運動は関節形成不全などの原因となる可能性があるため、短時間の軽い散歩や室内遊びを中心とするのが理想です。成犬期になると安定した体格を持つため、適度な散歩や軽い運動で健康を維持できます。そしてシニア期に入ると運動能力が低下し、心臓や関節への負担も増えるため、散歩は短めにし、体調に応じたペースで行うことが求められます。

ブル・マスティフは運動不足になりやすい一面も持っています。基本的に落ち着いた性格のため、自ら進んで長時間遊びを要求することは少なく、放っておくとソファに寝そべって過ごす時間が増えてしまうことも珍しくありません。しかし、体重が重い犬種であるため、運動不足は肥満を招きやすく、肥満は関節疾患や心臓病、呼吸器疾患などのリスクを高めます。したがって、飼い主が積極的に散歩や軽い運動を習慣化させることが健康維持に直結します。

さらに、季節ごとの運動管理も重要です。ブル・マスティフは短毛で寒さにはある程度耐えられますが、暑さには非常に弱い犬種です。特に夏場の高温多湿の環境では熱中症のリスクが高いため、朝や夕方の涼しい時間帯に散歩を行うことが推奨されます。日中のアスファルトの熱や直射日光は避け、水分補給をこまめに行う工夫が必要です。

この犬種の運動における特徴をまとめると、「短時間で十分、質を重視する」という点に尽きます。日々の散歩を通して筋肉を維持し、肥満を防ぎつつ、飼い主とのコミュニケーションを深めることが最大の目的です。ボール遊びや引っ張りっこなども短時間であれば良い刺激となりますが、長時間の反復運動は避けるようにしましょう。

総じて、ブル・マスティフは過度な運動を必要としない一方で、適度な活動と精神的刺激を与えることで最も健やかに暮らすことができます。飼い主の工夫と配慮によって、無理なく楽しめる運動習慣を整えてあげることが、この犬種と長く健全に暮らすための鍵となるでしょう。

体の特徴・被毛・毛色の特徴

ブル・マスティフは、その堂々とした体格と威厳のある外見から「動く要塞」とも形容されることがあるほど、存在感に満ちた犬種です。19世紀のイギリスで番犬・護衛犬として作出された歴史を持ち、見た目の迫力はその役割にふさわしいものです。まず体の特徴について触れると、ブル・マスティフは非常に筋肉質で頑丈な骨格を持ち、成犬の体高はオスで63~68cm、メスで61~66cmほどに達します。体重はオスで50~59kg、メスで41~50kg程度とされており、個体によっては60kgを超える大型犬もいます。この大きさと重厚感は、侵入者を威圧するのに十分でありながら、無駄に動き回ることなく落ち着きを漂わせています。

頭部はブル・マスティフの最大の特徴のひとつです。幅広く、短めのマズルを持ち、強靭な顎と四角い輪郭を形成しています。目は暗色で中くらいの大きさをしており、穏やかでありながらも警戒心を感じさせる表情をしています。耳は小ぶりでV字形をしており、頬に沿って垂れる形が一般的です。この耳の位置と形が、頭部をより大きく力強く見せています。また、顔にはしわが入りやすく、特に額のしわは感情を表現する際に際立ち、独特の表情を見せてくれます。

体全体のシルエットは、筋肉が盛り上がりながらも過度に重苦しくならず、引き締まった印象を与えます。胸は深く広く、背中は短く力強いのが理想的とされ、後肢は太く強靭でしっかりと地面を捉える力を持っています。この体格が、番犬としての迅速な動きと強い制圧力を支えているのです。尾は付け根が太く、先端に向かって徐々に細くなり、下に垂れるか軽く曲がる形をしています。

被毛については、短毛で密度が高く、体全体を覆うように生えています。手触りはやや硬めですが滑らかで、外部からの衝撃や寒さから体を守る役割を果たしています。ブル・マスティフはダブルコートではないため、換毛期は比較的軽めですが、一定量の抜け毛は年間を通して見られます。被毛の長さが短いことで手入れは簡単で、週に1〜2回のブラッシングで十分清潔に保てます。皮膚の健康を守るためには、定期的に汚れや皮脂を取り除くことが重要です。特に顔のしわの部分は湿気がたまりやすいため、こまめに拭いてあげる必要があります。

毛色については、ブル・マスティフにはいくつかの公認されたカラーがあります。代表的なのはフォーン(淡い黄褐色)、レッド(濃い赤みを帯びた褐色)、ブリンドル(縞模様)です。これらの毛色はいずれも、マズル部分に必ず「ブラックマスク」と呼ばれる黒い毛があることが特徴です。黒いマスクは顔立ちを引き締め、護衛犬らしい力強さを際立たせます。目の周囲や耳も黒っぽい色で縁取られることが多く、全体として精悍で威厳のある印象を与えます。

毛色ごとに印象も変わります。フォーンは明るく優しい印象を持ち、家庭犬としても親しみやすい雰囲気があります。レッドは力強く重厚感を感じさせ、より威厳を際立たせる色合いです。ブリンドルは個体ごとに模様が異なるため、唯一無二の美しさを持ちます。縞模様の入り方次第で、シックな雰囲気にも野性的な印象にもなり、その個性の豊かさが魅力のひとつです。

ブル・マスティフの外見全体を総合すると、「力強さと穏やかさの両立」が最大の特徴です。その巨体は周囲に安心感と頼もしさを与える一方で、短毛で扱いやすい被毛や落ち着いた表情は、家庭犬としての親しみやすさも兼ね備えています。見た目は威圧感がありますが、実際に接すると温和な性格がにじみ出ており、そのギャップもまたブル・マスティフならではの魅力といえるでしょう。

里親・ブリーダー・値段

ブル・マスティフは日本国内では比較的珍しい犬種にあたり、街中で見かけることは多くありません。そのため、飼育を希望する場合には、里親制度を利用するか、もしくは信頼できるブリーダーから迎えるのが一般的な選択肢となります。それぞれの方法にはメリットと注意点があるため、飼い主に合った迎え方を検討することが重要です。

まず里親制度についてですが、ブル・マスティフのような大型犬は、家庭環境の変化や飼育の難しさから手放されるケースが一定数存在します。特に体力や経済的な負担の大きさを理由に飼い主が継続できなくなり、保護団体や愛護センターに預けられることがあります。そのため、里親募集サイトや保護団体を通じてブル・マスティフに出会える可能性があります。里親として迎える場合の利点は、成犬であれば性格や健康状態がある程度わかっていること、そして命を救うことに直結する点です。一方で、過去の経験から人や犬に対して警戒心を持っている場合もあるため、引き取る際にはその犬の個性や背景を十分理解することが求められます。

次にブリーダーから迎える場合についてです。ブル・マスティフは希少性があるため、日本国内のブリーダーは限られています。そのため、ブリーダーを探す際には時間と労力をかける必要があります。信頼できるブリーダーは、親犬の健康状態をしっかり管理し、股関節形成不全や心臓疾患といった遺伝性疾患のチェックを行っていることが多いです。また、犬舎の衛生管理や子犬の社会化に力を入れているかどうかも重要なポイントです。見学をさせてもらい、犬たちが清潔で落ち着いた環境にいるかどうかを確認することを強くおすすめします。

値段については、ブル・マスティフは大型犬であるうえ、繁殖頭数も少ないため、子犬の価格は高めに設定されることが一般的です。日本国内では30万円から50万円程度が相場とされ、血統や毛色の美しさ、両親犬の実績などによっては60万円以上となることもあります。特にブリンドル柄や、海外チャンピオン血統を持つ子犬は高額になる傾向があります。また、輸入を検討する場合はさらに費用がかかり、輸送費や検疫費用を含めると100万円近くになるケースも珍しくありません。

ただし、犬を迎える費用は購入費用だけではありません。ブル・マスティフは体が大きいため、日々の飼育コストも相応にかかります。食事だけでも月に2〜3万円程度必要になることが多く、さらに大型犬用のベッド、ケージ、医療費などを考慮すると、年間の飼育費は小型犬の数倍になることもあります。特に関節疾患や心臓疾患のリスクを考慮すると、健康診断や治療費が高額になることも想定しておかなければなりません。そのため、購入費用よりもむしろ生涯を通じた維持費を十分に計算しておくことが不可欠です。

また、ブル・マスティフを迎える際には「自分の生活環境に合っているか」を改めて考える必要があります。大型犬を飼うスペースがあるか、毎日の散歩やしつけに時間を割けるか、経済的な余裕があるかといった条件をクリアすることで、初めて犬も飼い主も安心して暮らすことができます。特にブル・マスティフはその体格と力強さから、飼い主がしっかりとコントロールできる環境が求められます。

まとめると、ブル・マスティフを迎える方法としては、里親として成犬を受け入れるか、ブリーダーから子犬を購入するかの2つが主な道です。どちらを選ぶにしても、犬種特有の飼育負担や健康リスクを理解し、長期的な視点で準備を整えることが大切です。値段だけで判断せず、信頼できる出会いを通じて家族に迎えることが、ブル・マスティフと幸せな生活を送る第一歩となるでしょう。

ブル・マスティフの動画集

[再生は画像をクリック]

ブル・マスティフの動画 その1

ブル・マスティフの動画 その2

ブル・マスティフの動画 その3

ブル・マスティフの人気インスタグラマーご紹介


関連ページ一覧

ブル・マスティフ(Bull Mastiff)に関する記事一覧

現在、ブル・マスティフの記事はありません。


ブル・マスティフ(Bull Mastiff)に関する相談投稿

現在、ブル・マスティフに関する相談はありません。


ブル・マスティフと行ったドッグラン口コミ投稿

現在、ブル・マスティフとのドッグラン口コミ投稿はありません。

当サイトの内容・テキスト・画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。