イングリッシュ・コッカー・スパニエルはその名の通り、原産国はイギリスになります。
記録に残っている限りでは、15世紀頃には鳥猟犬として活躍しており、17世紀には、 同イギリスのウェールズ地方でヤマギシ(ウッドコック)という鳥をメインに、 それ以外はキジやウサギの狩猟に使われていたようです。
その名の「スパニエル」はスペイン原産の鳥猟犬を祖先犬に持つ意味から来ており、 「コッカー」はこのヤマギシ(ウッドコック)の名前から由来していますが、 このスペイン原産の犬種が始祖にあたるという部分に関して、他の説も存在します。
その別の説によると、イングリッシュ・コッカー・スパニエルの始祖犬は、 大昔にイギリスにもともと生息していた犬種で、 10世紀頃にスペインからフランス経由でイギリスに渡ってきた鳥猟犬(スペイン原産)と交配されたことにより、 イングリッシュ・コッカー・スパニエルの少し前の姿が誕生したということも言われています。
この際に、アメリカに一部が渡り、アメリカン・コッカー・スパニエルの元になりました。
さらに、引き続きイギリスにて、18世紀以降にコッカースパニエルの一種と交配されたことで小型化され、 現在の形へと変化しています。
なお、毛色による類別のバリエーションとしては20種類以上あります。
イングリッシュ・コッカー・スパニエルは、元々鳥猟犬として人間と密接に協力しながら仕事をしてきた歴史を持つ犬種です。そのため、人に対する関心が非常に高く、飼い主の指示に耳を傾ける意欲が強いという特徴があります。こうした背景から「しつけやすい犬」と評されることが多いですが、実際にはいくつかのポイントを押さえておく必要があります。
まず、この犬種は非常に賢く、状況を素早く理解できる認知能力を備えています。そのため、基本的な「おすわり」「まて」「ふせ」などの服従訓練は比較的スムーズに習得できます。しかし同時に、知能が高いがゆえに自分の判断で行動する傾向もあり、訓練の一貫性や明確なルール設定が欠けていると、犬自身が「今は従わなくてもよい」と解釈してしまうことがあります。したがって、コマンドを出す際は家族全員が同じ言葉・同じ態度で接することが非常に重要です。
次に、この犬種は感受性が強く、飼い主の感情の変化を敏感に察知します。大きな声で叱責したり、粗暴な態度をとると、恐怖心から反発や萎縮を招き、しつけの効果が低下する恐れがあります。むしろ、褒められることや遊びを通じたポジティブな強化に強く反応しやすいため、ご褒美としてフードやおやつを使うのはもちろん、声をかけたり撫でてあげたりすることが効果的です。このように「望ましい行動をしたときにすぐに褒める」方法を継続すると、学習の速度が格段に上がります。
また、イングリッシュ・コッカー・スパニエルは好奇心旺盛で探究心が強い性格を持っています。環境への刺激が豊富であると、自然と自発的に行動を学び取ろうとするため、子犬期からさまざまな音や人、場所に触れさせて社会化を徹底することが望まれます。社会化不足は吠えやすさや分離不安、警戒心の過度な強まりにつながるため、早期にバランス良く人や犬との交流を経験させることが、後の生活を大きく左右します。
一方で、猟犬としての本能も残っており、特に小動物に対して追いかけたいという衝動が強く出る場合があります。この行動を矯正するのは容易ではありませんが、十分な運動を確保することや、呼び戻しの訓練を徹底することでコントロールが可能になります。呼び戻しはこの犬種のしつけにおいて最も重要な要素の一つであり、信頼関係を築きながら時間をかけて練習する価値があります。
さらに、この犬種は人と一緒に行動することを好むため、放置されたり長時間の留守番を強いられると問題行動に発展する可能性が高まります。しつけを行う際は「共に過ごす時間の中で学ばせる」という意識が大切です。日常の散歩や遊びの中で自然に指示を織り交ぜ、家庭生活の中で学習を積み重ねていくと、犬にとっても無理がなく、飼い主にとっても習慣化しやすいものになります。
まとめると、イングリッシュ・コッカー・スパニエルのしつけは基本的には進めやすい部類に入りますが、賢さゆえの自己判断や猟犬気質による本能的行動に注意が必要です。感受性の強さを理解し、叱責よりもポジティブな強化を主体としたアプローチをとること、早期の社会化を徹底すること、そして呼び戻しを重点的に練習することが、しつけの成功のカギとなります。
イングリッシュ・コッカー・スパニエルは、長い歴史を持つ英国の鳥猟犬の中でも、特に人懐っこさと明るさで知られる犬種です。一般的に「陽気で愛嬌があり、家族に寄り添うことを好む性格」と評され、世界的にも家庭犬として人気が高い理由の一つが、この性質にあります。しかし同時に、活発さや好奇心、時に頑固さといった側面も持ち合わせており、その全体像を正しく理解することで、より良い関係を築くことができます。
まず、この犬種の大きな特徴は「人好き」であることです。飼い主に対して非常に強い愛着を示し、常にそばにいたいと願う傾向があります。人と関わることそのものが喜びであり、家族が部屋を移動すれば後をついていく、来客に対してもフレンドリーに接するなど、人間との社会性が高く表れます。このような性格は、家庭犬として暮らすうえで非常に魅力的ですが、裏を返せば「一人にされることが苦手」であるともいえます。長時間の留守番が続くと不安やストレスを感じやすく、吠えや破壊行動につながることもあるため、留守番のトレーニングや十分な交流の時間が必要です。
次に、気質の穏やかさについて触れると、イングリッシュ・コッカー・スパニエルは基本的に攻撃性が低く、温厚で社交的です。特に幼少期から適切に社会化されていれば、他の犬や子どもとも上手に関わることができます。ただし、狩猟犬として培われた集中力や粘り強さを持つため、遊びや作業に夢中になると周囲が見えなくなることがあります。こうした性格を理解し、遊びの中でメリハリをつけることが、過度な興奮を防ぐポイントとなります。
また、この犬種は「陽気さ」と「感受性の高さ」を兼ね備えています。普段は明るく朗らかで、人の笑顔や声の調子に反応して尻尾を振り続ける姿が印象的ですが、叱責や不安定な環境には敏感に反応し、ストレスを抱えやすい一面もあります。したがって、しつけや接し方においては「安心できる環境」を意識することが大切です。落ち着いたトーンで接し、失敗を過度に責めるのではなく、正しい行動を導き出す姿勢が適しています。
さらに、この犬種は遊び好きでエネルギッシュな性格も特徴的です。日常的に家族とボール遊びや散歩を楽しむだけでなく、ドッグスポーツやアジリティなどにも適性があります。好奇心旺盛で「やってみたい」という気持ちが強いため、知育玩具や新しい遊びを導入すると精神的な充実につながります。この「遊び心」は飼い主との関係性を深める大きな武器でもあり、一緒に活動を楽しむことで信頼感を強めることができます。
一方で、頑固さが顔を出すこともあります。特に「これはやりたくない」と感じたときには、無視したり自分のペースを優先しようとする傾向があります。ただし、この頑固さは強い支配欲や反抗心というよりも、「自分の意志を持っている」という健全な個性といえます。適切に導けば柔軟に対応できるため、飼い主が一貫した態度で接しつつ、犬にとって納得感のある学習方法を取り入れることが求められます。
総じて、イングリッシュ・コッカー・スパニエルの性格は「明るさ」「人懐っこさ」「適度な独立心」が調和したものです。穏やかで愛情深い一方で、活発さや粘り強さがあるため、家庭犬として理想的な資質を持ちながらも、飼い主が理解をもって接することが欠かせません。この犬種の本来の魅力を引き出すには、感受性の高さを尊重しつつ、十分な交流と遊びの時間を確保することが何より大切です。
イングリッシュ・コッカー・スパニエルは、健康面において比較的丈夫な犬種として知られています。適切に飼育されれば平均寿命は12〜14年程度といわれており、中には15年以上生きる個体も少なくありません。これは中型犬の中では標準的かやや長めといえるでしょう。しかし、特有の体質や外見的特徴から発症しやすい病気やけがも存在するため、日常的なケアと早期発見の意識が重要です。
まず、この犬種で特に注意すべきなのは「耳の病気」です。イングリッシュ・コッカー・スパニエルは長く垂れた耳を持っており、その形状のために耳の中が蒸れやすく、通気性が悪い環境になります。その結果、外耳炎やマラセチア感染といった耳のトラブルが起こりやすいのです。耳をしきりに掻く、頭を振る、嫌なにおいがするなどの兆候が見られたら、早めに獣医師に相談する必要があります。予防としては、定期的な耳掃除と、耳毛の処理、また水遊び後の乾燥を徹底することが効果的です。
次に「目の病気」にも注意が必要です。遺伝的に発症しやすいとされるものとしては、進行性網膜萎縮(PRA)や白内障があります。これらは徐々に視力を失わせる病気であり、早期発見が難しいのが特徴です。定期的な眼科検診を受けることで、進行を遅らせたり生活環境を整えたりすることができます。また、下まぶたが外側にめくれる「眼瞼外反症」や、逆にまつげが内側に入り込む「眼瞼内反症」など、まぶたの構造に関するトラブルも見られることがあります。目の周りを気にして擦る仕草がある場合には早めの受診が推奨されます。
さらに、この犬種は「股関節形成不全」や「膝蓋骨脱臼」といった関節系の疾患にかかることがあります。特に股関節形成不全は大型犬でよく知られる病気ですが、運動量が多く活発なコッカー・スパニエルにおいても見られることがあり、将来的に関節炎や歩行障害の原因になります。子犬期から過度な運動を避け、成長期には体重管理を徹底することが重要です。
また、皮膚疾患も比較的多い犬種です。長く密な被毛は美しい反面、通気性が悪いために湿疹や細菌感染を招くことがあります。特に夏場の高温多湿な環境では皮膚炎を発症しやすく、こまめなブラッシングやシャンプーが欠かせません。皮膚の赤み、かゆみ、抜け毛の増加などを見逃さないことが健康維持につながります。
加えて、遺伝的に発症が報告されている病気として「特発性てんかん」や「家族性腎症」があります。てんかんは突然の発作として現れ、繰り返す場合は投薬治療が必要になります。家族性腎症は進行性で、早期には目立った症状が出にくいため、定期的な血液・尿検査でのチェックが推奨されます。
寿命に関しては、前述の通り12〜14年程度が目安となりますが、これは日々のケアによって大きく左右されます。バランスのとれた食事、適度な運動、体重管理、そして定期的な健康診断が長寿につながる基本要素です。特にイングリッシュ・コッカー・スパニエルは食欲旺盛で、肥満になりやすい傾向があります。肥満は関節疾患や糖尿病、心臓病のリスクを高めるため、食事量と運動量のバランスを常に意識する必要があります。
総じて、この犬種は大きな健康上の弱点を持っているわけではありませんが、耳・目・皮膚といった特徴的な部分にトラブルが起きやすい傾向があります。日常のこまめな観察と、予防を意識したケアを徹底することで、穏やかで健やかなシニア期を迎えることが可能です。飼い主にとって大切なのは「病気になってから対処する」よりも「病気になる前に備える」という姿勢であり、その積み重ねが長寿と健康を支える最大の要因となります。
イングリッシュ・コッカー・スパニエルは、その明るく人懐っこい性格から、家庭犬として多くの家庭で愛されています。特に「社交性の高さ」が魅力であり、他の犬や子どもと同居する環境においても比較的順応しやすい犬種です。ただし、猟犬としての本能や活発な性格も併せ持つため、同居の際にはいくつか注意すべき点があります。
まず、他の犬との関係について見ていきましょう。イングリッシュ・コッカー・スパニエルは一般的に攻撃性が低く、友好的に接することができます。散歩中に出会った犬に対しても興味を持ちやすく、相手が落ち着いた態度であればすぐに打ち解けるケースが多いです。家庭内で先住犬がいる場合も、適切に引き合わせを行えばスムーズに共存できることが期待できます。しかし、同じ犬種であっても個体差があるため、初対面からいきなり自由に接触させるのではなく、徐々に距離を縮めて慣らしていくことが大切です。
特に注意すべきなのは「縄張り意識」や「所有欲」です。イングリッシュ・コッカー・スパニエルは食べ物やおもちゃに対して強い執着を示す場合があり、それが原因で犬同士の小競り合いが起きることがあります。この点に関しては、食事やおやつは必ず別々に与える、遊び道具を取り合わないよう管理する、といった配慮が必要です。飼い主が公平に接することも、犬同士の関係性を安定させるうえで重要です。
次に子どもとの相性についてですが、イングリッシュ・コッカー・スパニエルは家庭的で愛情深い性格のため、子どもと良好な関係を築きやすい犬種です。明るく遊び好きな気質が子どもと合いやすく、ボール遊びや追いかけっこなどを通じて自然に打ち解けることができます。ただし、子ども側が犬への接し方を誤ると、犬がストレスを感じたり防衛的な行動をとったりする可能性があります。特に幼児期の子どもは犬の耳や尻尾を引っ張るなど、無意識に刺激を与えてしまうことがあるため、大人が必ず見守り、正しい関わり方を教えることが欠かせません。
イングリッシュ・コッカー・スパニエルは感受性が高いため、荒々しい扱いを受けると不安を感じやすい一方で、優しく接してもらえれば深い信頼を寄せるようになります。子どもが犬に「してはいけないこと」と「してもよいこと」を学ぶ機会にもなるため、共に育つことで双方にとって有益な経験となるでしょう。
また、この犬種は「群れ意識」が強いことも特徴です。家族全員を自分の群れと認識し、調和を大切にするため、多頭飼いや子どもとの暮らしにも適しています。ただし、孤立を嫌う性質から、家庭の中で一匹だけが放置されるような状況は避ける必要があります。人間や他の犬との交流を保つことが、精神的な安定をもたらします。
一方で、小動物との同居には注意が必要です。もともと鳥猟犬として活躍していた犬種であるため、ウサギや小鳥、ハムスターなどの小型動物に対しては狩猟本能が刺激される可能性があります。必ず隔離した環境を維持し、自由に接触させないことが安全のために不可欠です。
総じて、イングリッシュ・コッカー・スパニエルは社交的で温厚な気質を持つため、他の犬や子どもとの同居に非常に向いています。ただし、所有欲や猟犬気質といった側面を理解し、適切に管理することが円滑な共生のカギとなります。犬にとっても子どもにとっても「安心して過ごせる環境」を整えることで、この犬種の本来の魅力が最大限に発揮されるでしょう。
イングリッシュ・コッカー・スパニエルは、中型犬の中でも特に「運動量の多い犬種」として知られています。その背景には、もともとイギリスで鳥猟犬として活躍してきた歴史があり、フィールドを駆け回り、獲物を探し出すという作業に必要な持久力と敏捷性を備えているからです。したがって、家庭犬として飼う場合でも、その本能やエネルギーを満たす運動が欠かせません。
まず、日常的な運動の目安について触れると、この犬種には **1日あたり少なくとも1時間半から2時間程度の散歩や遊び** が必要とされています。単に歩くだけの散歩ではなく、走ったり、自由に匂いを嗅いだりできる時間を含めることが望ましいです。特に鼻を使って探索することは精神的な満足感につながり、不要なストレスや問題行動を防ぐ効果があります。
この犬種の特徴として「運動に対する喜びの大きさ」が挙げられます。ボール遊びやフリスビー、取ってこい遊びなど、飼い主と一緒に体を動かす遊びを強く好みます。猟犬としての資質を活かせるゲームを取り入れると、肉体的な運動と同時に知的な刺激も与えられ、満足度が高まります。また、アジリティやフライボールといったドッグスポーツでも活躍できる能力を持っており、活動的な飼い主には理想的なパートナーとなります。
一方で、運動不足はこの犬種にとって大きな問題を引き起こします。十分に発散できないと、吠えや破壊行動、過剰な要求行動などが見られることがあります。特に食欲旺盛な性格と相まって肥満になりやすく、肥満は関節疾患や心臓病、糖尿病のリスクを高めるため注意が必要です。運動による消費エネルギーを確保することは、健康維持の観点からも不可欠です。
また、単に体を動かすだけでなく「精神的な運動」も重要です。イングリッシュ・コッカー・スパニエルは非常に賢いため、知育玩具やトレーニングを通じた頭脳的な刺激が求められます。コマンドを使った遊び、トリックの習得、かくれんぼなど、日常生活の中に小さな課題を与えることで、犬は達成感を味わい、より安定した精神状態を保てます。
運動環境については、広い庭やドッグランがあれば理想的ですが、都市部の集合住宅でも工夫次第で十分に対応可能です。朝夕の散歩に加え、週末には自然の多い公園や河川敷などで自由に走れる時間を設けると良いでしょう。また、室内でも簡単な取ってこい遊びやトレーニングを組み合わせれば、犬の満足度は高まります。
総じて、イングリッシュ・コッカー・スパニエルは「運動が生活の中心」といっても過言ではない犬種です。活発さは家庭犬としての魅力の一つですが、それを適切に満たしてあげなければ問題行動や健康上のリスクにつながります。飼い主が犬と一緒に運動を楽しむ姿勢を持つことが、この犬種を健やかに、そして幸せに育てるための最大の鍵といえるでしょう。
イングリッシュ・コッカー・スパニエルは、その優雅でありながら活発さを感じさせる外見で、多くの愛犬家を魅了してきた犬種です。猟犬としての機能性と、家庭犬としての親しみやすいルックスが見事に融合しており、「可愛らしさ」と「たくましさ」を併せ持つ姿が特徴的です。ここでは体格や被毛、毛色などの詳細について解説していきます。
まず体格についてですが、この犬種は **中型犬** に分類されます。成犬の体高はおおよそ38〜43センチ、体重は13〜15キロ前後が標準とされています。コンパクトながら骨格はしっかりしており、胸が深く、背中はほどよく引き締まっていてバランスの良い体型をしています。この体格はフィールドで長時間活動できる持久力と、素早い動きの両立を可能にしています。
頭部の特徴としては、ドーム状にわずかに丸みを帯びた頭蓋と、やや広めの頭頂が見られます。マズルは適度な長さで、過度に尖っても短くもなく、均整のとれた印象です。表情は非常に柔和で、特に大きなアーモンド型の目が「優しさ」「親しみやすさ」を強調しています。目の色は一般的にダークブラウンですが、毛色によってはヘーゼル色が見られることもあります。
イングリッシュ・コッカー・スパニエルを特徴づける最も印象的な部分は、その **長く垂れた耳** です。耳は低い位置から垂れ下がり、長い飾り毛に覆われています。猟犬として茂みをかき分けて獲物を探す際、耳で草を払いながら匂いを追跡するのに役立ったといわれていますが、現在ではその美しい飾り毛がチャームポイントとして親しまれています。
次に被毛についてですが、イングリッシュ・コッカー・スパニエルは **シルキーで光沢のある被毛** を持っています。毛質はなめらかでややウェーブがかかっており、体の両側や耳、胸、腹、四肢には飾り毛(フェザー)が豊かに生えています。密生しているため保温性に優れており、雨や寒さにも耐えられる構造ですが、その分お手入れは欠かせません。特に毛玉やもつれができやすいため、こまめなブラッシングが必要です。
毛色のバリエーションもこの犬種の魅力のひとつです。非常に多彩なカラーが存在し、大きく分けて「単色」と「パーティカラー(二色以上の混合)」があります。単色にはブラック、レッド(濃いゴールドやマホガニー)、チョコレート、ゴールドなどがあり、ソリッドカラーの犬は精悍な印象を与えます。一方でパーティカラーにはブラック&ホワイト、ブルーローン、レモンローン、チョコレートローンなどがあり、特に「ローン」と呼ばれる斑点模様はこの犬種独特の美しさを際立たせています。また、単色の犬では胸や足先に少量のホワイトが入ることも認められています。
さらに、尾も特徴のひとつです。かつては猟犬としての実用性から断尾されることが一般的でしたが、近年は動物福祉の観点から断尾を行わないケースも増えています。尾は水平に保たれ、活動的な性格を反映して常に元気よく振られていることが多く、見る人に明るい印象を与えます。
このように、イングリッシュ・コッカー・スパニエルは全体的に調和のとれた体格と、美しい被毛、多彩な毛色を持ち合わせた犬種です。見た目の華やかさだけでなく、猟犬としての機能美も感じさせる姿は、多くの人々に愛される理由の一つといえるでしょう。ただし、美しい被毛や耳の飾り毛を保つには定期的なケアが不可欠であり、それもまた飼い主と犬の絆を深める時間となります。
イングリッシュ・コッカー・スパニエルは、日本においても根強い人気を誇る犬種のひとつですが、ゴールデン・レトリーバーやトイ・プードルなどと比べると飼育頭数はやや少なめです。そのため、入手を希望する場合には「信頼できるブリーダーから迎える」もしくは「里親制度を利用する」という二つの選択肢が考えられます。
まずブリーダーから迎える場合について解説します。イングリッシュ・コッカー・スパニエルは外見的な美しさだけでなく、性格や健康状態においても大きな個体差があります。そのため、繁殖の過程で「スタンダードを重視しつつ、遺伝的疾患を防ぐための配慮をしているかどうか」が非常に重要です。耳や目の疾患、関節の病気は遺伝性の要因が関係する場合があるため、信頼できるブリーダーは親犬の健康診断を行い、繁殖管理を徹底しています。見学を許可してくれるか、衛生的な環境で育てられているか、子犬の社会化に配慮されているかなども確認のポイントとなります。
価格については、毛色や血統、性別、容姿によって幅が出ますが、一般的に **25万〜50万円程度** が目安となります。ショードッグとして活躍できるレベルの血統や希少な毛色の場合はさらに高額になることもあります。一方で、家庭犬として迎える場合はそこまで高額ではなくても、しっかり健康で性格の安定した子を選ぶことが肝心です。
次に里親制度についてですが、イングリッシュ・コッカー・スパニエルは人気犬種であるがゆえに、事情によって手放されるケースも少なくありません。保護団体や動物愛護センターには、成犬やシニア犬の里親募集が行われることがあります。子犬から育てたいという希望がある場合には選択肢が限られますが、「すでにしつけがある程度入っている」「性格がはっきりしている」といったメリットもあり、初めて犬を飼う方にとってはむしろ安心材料となることもあります。里親として迎える際には譲渡条件があり、飼育環境や経済的な基盤、犬との生活経験が問われる場合もありますが、それだけ犬に幸せな環境を与えるための重要なプロセスだといえます。
また、日本ではペットショップでの流通もゼロではありませんが、イングリッシュ・コッカー・スパニエルの場合は数が少なく、主流ではありません。ショップ経由での購入を検討する場合でも、親犬の情報が不十分なことがあるため、慎重に判断する必要があります。
飼育後の経済的な負担についても触れておきましょう。この犬種は健康的な生活を維持するために、定期的な耳や皮膚のケアが必要であり、トリミング費用も発生します。月々の食費に加え、医療費、予防接種、グルーミング代を合わせると、中型犬としては比較的高めの維持費がかかることを理解しておくべきです。しかし、これは「見た目を美しく保つため」だけではなく、「健康を守るためのケア」として必要不可欠な出費です。
まとめると、イングリッシュ・コッカー・スパニエルを迎える際には、価格だけにとらわれず「どのように繁殖された犬なのか」「どのような環境で育てられてきたのか」をしっかり確認することが大切です。ブリーダーから迎えるにしても、里親として迎えるにしても、飼い主がその犬の一生に責任を持つ覚悟を持つことが何より重要です。見た目の美しさや愛らしさだけでなく、犬種としての特性やケアの必要性を理解し、それに応えられる環境を整えたうえで迎えることが、この犬種にとっても飼い主にとっても最良の選択となるでしょう。
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.......(続きはここをクリック)こんにちは。以前からイングリッシュ・コッカー・スパニエル(インコカ)の独特な可愛さに惹かれていて、お迎えを検討している者です。
特にあのふわふわで長い耳がとってもチャームポイントだと思う反面、「あんなに大きな耳だと、普段のお手入れやトラブルは一体どれくらい気をつけないといけないものなの?」と正直不安にもなってきました。既に飼われている方、
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.......(続きはここをクリック)イングリッシュコッカースパニエルと暮らしています。迎え入れてからしばらく経つのですが、最近ちょっと気になっていることがあります。それは、この犬種がどのくらいのお留守番に耐えられるのか、また寂しがりやすい性格なのかという点です。
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.......(続きはここをクリック)こんにちは。最近イングリッシュ・コッカー・スパニエルと暮らし始めてから、毛のお手入れについてちょっと気になってます。もともと犬が大好きで、いろんな犬種を調べたりもしていたんですけど、この子と一緒に生活してみて今まで以上に「被毛のケアって大事なんだな…」と実感してます。でも実際のところ、どのくらい抜け毛があるのかとか、どのペースでトリミングす
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