【恐ろしい見た目と強靭な肉体、ナポリタン・マスティフ】

ナポリタン・マスティフの基本情報(性格・しつけ・病気など)

 
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ナポリタン・マスティフ
[英記]:Neapolitan Mastiff

    ◇基本データ
  • ・サイズ: 超大型犬
  • ・体高:60cm~70cm
  • ・体重:55kg~70kg

  • ◇起源・歴史・沿革・系統:
  • ナポリタン・マスティフは、イタリア原産の犬種です。

    歴史はかなり古く、先祖犬はアレクサンダー大王統治の古代ローマ時代に、 闘犬や軍用犬として活躍してたモロッサス・マスティフというマスティフ犬となります。
    その際、闘犬としてライオンと戦っていたという話も伝えられています。
    また、ナポリタン・マスティフの見た目の大きな特徴の一つである、全身たるんでいる皮膚は、 闘犬時代に相手の攻撃を軽減するためのものになります。

    そしてその後、イタリアで開発されたことで現在のナポリタン・マスティフの形になっていますが、 開発を重ねていく歴史の中で、警備犬としての働きを意識し、見た目の恐ろしさも明確に強くするようにされていきました。
    現在、ナポリタン・マスティフは、番犬・護衛犬や警察犬として活躍をしています。

    なお、『イタリアン・マスティフ』と呼ばれることもあり、原産イタリアでは、 イタリア語で『マスティーノ・ナポリターノ(Mastino Napoletano)』となります。


    ◇こんなスタイルで犬を飼いたい方・こんな状況の方との相性Good!!
    ・しつけは確実にしっかり行うことができる。最悪、自信がない場合は、プロのトレーナーなどの専門家を頼ることができる。
    ・番犬・護衛犬としての活躍を期待したい。
    ・運動量はどれだけ多くても問題ない。
    ・国内で希少な珍しい犬種を飼いたい。
ナポリタン・マスティフのメイン写真 ナポリタン・マスティフの特徴評価グラフ

しつけのしやすさ

ナポリタン・マスティフは、古代ローマ時代から護衛や戦闘用として重用されてきた歴史を持つ犬種で、その背景から「威圧感のある体格」と「強靭な精神力」を兼ね備えています。しつけの面では、この犬種特有の性質を理解し、根気と一貫性を持って対応することが不可欠です。まず知っておくべきは、彼らが非常に自立心の強い犬であるという点です。指示にただ従うだけの犬ではなく、状況を自ら判断しようとする傾向があるため、単純な命令の反復では期待通りの成果を得にくいことがあります。

そのため、しつけにおいては「なぜその行動が必要なのか」を犬が納得できる形で示すことが重要です。例えば、散歩中に人や犬に過剰に反応しないよう教える場合、ただ叱るのではなく「静かにしていると褒められる」「飼い主と一緒に歩くと安心できる」といった経験を積ませることで、自ら望んで落ち着きを保つようになります。ご褒美としては食べ物の報酬も有効ですが、ナポリタン・マスティフは「飼い主との信頼関係」そのものを喜びと感じやすい犬でもあるため、声かけや撫でるといったポジティブな接触を組み合わせると効果的です。

また、この犬種は非常に警戒心が強いため、幼少期からの社会化がしつけの成否を大きく左右します。子犬の段階で、家族以外の人やさまざまな環境に触れる機会を与えることが望ましいでしょう。成犬になってから急に新しい刺激に慣れさせるのは難しく、かえってストレスや攻撃性を引き出す可能性があるため、早期に「世界は安全である」という経験を積ませておくことが不可欠です。社会化不足のナポリタン・マスティフは、必要以上に他者を排除しようとし、家庭での生活に支障をきたす恐れがあります。

もう一つの重要な点は、しつけを行う人の「リーダーシップ」です。ここで言うリーダーシップは、力で抑えつけることではなく、冷静さと一貫性を持って犬を導く姿勢を指します。この犬種は威圧的に接すると反発心を抱きやすく、逆に不安定で優柔不断な態度を示すと犬自身が家を守らねばと過剰な責任感を背負ってしまう傾向があります。よって、毅然とした態度で、かつ安心感を与えるような振る舞いが求められます。

まとめると、ナポリタン・マスティフのしつけは決して初心者向きではありません。高い自立心と警戒心を持つため、訓練は時間をかけて行う必要があります。ただし、信頼関係を築き、幼少期からの社会化を徹底すれば、忠実で落ち着きのある伴侶となり得ます。この犬種におけるしつけの最大の鍵は「一貫性」「忍耐力」「深い理解」の三つであり、それらを実践できる飼い主にとってはかけがえのないパートナーになるでしょう。

気性の穏やかさ・性格

ナポリタン・マスティフは、その外見から「恐ろしい」「荒々しい」といった印象を持たれがちですが、実際の性格は非常に奥深く、理解を深めるほどに魅力が増していく犬種です。大きな体としわの多い重厚な顔つきは威圧感を与えますが、家庭内では驚くほど落ち着きがあり、信頼する人間に対しては献身的で温厚な一面を見せます。

まず最も特徴的なのは「家族への深い愛情」です。ナポリタン・マスティフは強い絆を築いた相手に対して非常に忠実で、家族を守ることを何よりの使命と感じる傾向があります。飼い主に寄り添い、安心したようにそばで眠る姿は、この犬種の本質的な優しさを物語っています。子どもに対しても基本的には保護者のように接することが多く、特に家庭内で育てられた子どもに対しては忍耐強く温和に対応する姿が見られます。

一方で、知らない人や新しい環境に対しては非常に警戒心が強く働きます。これは護衛犬として長い歴史を歩んできた本能の表れであり、「慎重に相手を観察し、必要とあれば行動する」という姿勢は、この犬種の性格の根幹にあります。そのため、初対面の人間にいきなり心を開くことは少なく、時間をかけて信頼関係を築く必要があります。しかし、一度「この人は安全だ」と判断すれば、見た目に似合わぬフレンドリーさを発揮することもあります。

また、ナポリタン・マスティフは自立心が強く、常に誰かに指示を仰ぐタイプではありません。時に頑固に見えるほど自分の判断を優先することがありますが、それは「状況を自ら理解しようとする賢さ」の裏返しでもあります。そのため、飼い主がしっかりとリーダーシップを示しつつ、犬の主体性も尊重する接し方が望ましいでしょう。このバランスを誤ると、犬が「自分が家を守らなければならない」と過剰に責任感を背負い、必要以上に神経質になってしまう場合があります。

気性の面では、基本的に落ち着いた性格で無駄に騒がしく動き回ることは少なく、むしろ「どっしりと構えている」ことが多いです。ただし、家族や領域が脅かされると判断した際には瞬時に行動に移る俊敏さを見せ、圧倒的な存在感で相手を制します。こうした性質から、番犬としては非常に優秀ですが、家庭犬として迎える場合は「過剰な警戒心を抑え、安心して暮らせる環境を整える」ことが何よりも大切です。

さらに、ナポリタン・マスティフは感受性が豊かな面も持っています。飼い主の声のトーンや態度に敏感に反応し、優しく接すれば安心し、逆に粗暴な態度を取られると強いストレスを抱え込みます。この繊細さを理解せずに力で押さえつけようとすると、信頼関係が壊れ、攻撃的な行動につながる可能性があるため注意が必要です。

総じて言えることは、ナポリタン・マスティフは「穏やかでありながら強靭」「忠実でありながら自立的」という二面性を持った犬種だということです。信頼関係を築いた相手には無限の優しさを注ぎ、家庭内では落ち着いた伴侶となる一方で、外部に対しては毅然とした守護者の顔を見せます。このギャップこそが、この犬種の最大の魅力であり、共に暮らす飼い主にとってはかけがえのない存在となるでしょう。

病気・けがへの強さ・寿命

ナポリタン・マスティフは、堂々たる体格と筋肉質な体を持ち、「頑丈そう」という印象を与える犬種です。しかし実際には、その巨体ゆえに抱えやすい疾患や体質上の弱点がいくつか存在します。見た目の逞しさと裏腹に、健康管理には特に注意を払う必要がある犬種と言えるでしょう。

まず、寿命について触れると、ナポリタン・マスティフの平均寿命は7〜9年程度とされています。大型犬、特に超大型犬の宿命として、体への負担が大きいために長寿は期待しにくい傾向があります。ただし、適切な飼育環境やバランスの取れた食事、定期的な健康チェックを徹底することで、10年以上生きる個体も珍しくありません。寿命を左右するのは遺伝的要素だけでなく、日々の生活管理による影響が大きいのです。

代表的な疾患の一つに「股関節形成不全」があります。巨体を支える股関節に異常が起こりやすく、歩行のぎこちなさや運動を嫌がる様子が見られる場合は注意が必要です。成長期に過剰な運動をさせたり、栄養バランスの偏った食事を与えることで発症リスクが高まるため、幼少期からの適切な管理が不可欠です。同様に「肘関節形成不全」も見られることがあり、これは関節の変形や痛みを引き起こしやすいため、早期の発見と治療が望まれます。

さらに、大型犬特有のリスクとして「胃捻転」が挙げられます。これは胃が異常にねじれて血流が遮断される急性疾患で、発症すれば命に関わる危険性が極めて高いものです。特に食後すぐの激しい運動や、一度に大量の食事を与えることが誘因となりやすいため、1日の食事を数回に分け、食後は安静を保つことが予防につながります。

皮膚に関しても注意が必要です。ナポリタン・マスティフは顔や体に深いしわを持つため、その間に汚れや湿気がたまりやすく、皮膚炎や細菌感染の温床となることがあります。定期的にしわの間を清潔に保ち、乾燥させる習慣をつけることが健康維持の鍵です。特に夏場は高温多湿の環境が皮膚トラブルを悪化させるため、冷房管理や除湿を含めた住環境の工夫が大切です。

また、心臓疾患も無視できない課題です。大型犬に多く見られる「拡張型心筋症」や「大動脈弁狭窄症」が報告されており、これは定期的な心臓検査によって早期に兆候をつかむことが望まれます。咳、運動時の息切れ、疲れやすさなどが見られた場合には、ただの老化と考えず速やかに獣医師の診察を受けるべきです。

一方で、耐久力や外的な刺激への強さという面では、ナポリタン・マスティフは非常にタフな犬です。多少のけがや痛みに対しても我慢強く振る舞うため、異常に気づきにくいことがあります。これは飼い主にとって注意点であり、「元気そうに見えるから大丈夫」と油断せず、日常の細かな変化を見逃さない観察眼が必要です。

健康を維持するためには、適切な運動も欠かせません。ただし、この犬種は爆発的な運動量を必要とするタイプではなく、関節や心臓への負担を考慮した「適度な散歩」を中心にするのが理想です。過度な運動やジャンプを繰り返すような活動はむしろ関節の負担を増し、寿命を縮める要因となる可能性があります。

総合的に言えば、ナポリタン・マスティフは「強靭な体を持ちながらも繊細な弱点を抱えた犬種」と言えます。寿命を少しでも延ばすためには、食事管理・皮膚ケア・関節の保護・胃捻転予防・心臓チェックといった多方面からのケアが必要です。飼い主の努力と適切な獣医師のサポートによって、その堂々とした姿を長く保つことが可能となります。

他の犬や子どもとの同居しやすさ

ナポリタン・マスティフは、その巨大な体格と威圧的な外見から「攻撃的で危険な犬ではないか」と誤解されることもあります。しかし、実際には家庭に深い愛情を注ぎ、家族を守ろうとする強い気持ちを持つ犬種です。ただし、他の犬や子どもとの同居に関しては、特有の性質をしっかり理解したうえで配慮が必要となります。

まず、子どもとの関係について見てみましょう。ナポリタン・マスティフは本来、家族を大切にし守る気質を持っているため、家庭内で育つ子どもに対しては比較的穏やかで寛容に接する傾向があります。特に子どもが幼い場合、犬自身が「守るべき存在」と認識し、まるで保護者のように振る舞うこともあります。ただし、ナポリタン・マスティフの体重は60kgを超えることもあり、その巨体がちょっとぶつかっただけで子どもが転んでしまう可能性があります。攻撃性の問題よりも「体格差による事故」に注意が必要です。そのため、子どもと犬を一緒に遊ばせるときは必ず大人が監督し、無理にじゃれさせたり、犬を興奮させすぎないように配慮することが求められます。

次に、他の犬との相性についてです。ナポリタン・マスティフはもともと護衛や番犬として育成されてきた経緯から、自分のテリトリーを強く意識する傾向があります。そのため、他犬に対しては警戒心を抱きやすく、特に同じ性別の大型犬に対しては対立することも少なくありません。特に未去勢のオス同士は縄張り意識が強く働きやすく、緊張感が高まりやすいため注意が必要です。一方で、子犬の頃から他犬と十分に交流を重ね、社会化がきちんと行われている場合は、比較的スムーズに共存できることもあります。

また、他犬との同居を考える場合には「性格の相性」も大切です。ナポリタン・マスティフは基本的に落ち着いた犬種なので、あまりにも活発で挑発的な犬と一緒にすると摩擦が生じやすくなります。反対に、穏やかで無理に主導権を握ろうとしない犬種との組み合わせであれば、互いに干渉しすぎずに平和な関係を築けることが多いです。

さらに、多頭飼育においては「飼い主の管理能力」が大きな鍵を握ります。ナポリタン・マスティフは飼い主を非常に頼りにしているため、リーダーである人間が毅然とした態度で双方をコントロールできれば、無用な争いを防ぐことが可能です。しかし、飼い主が優柔不断であったり、どちらかをひいきするような態度を見せると、犬同士の関係が不安定になり、争いにつながるリスクが高まります。

他のペットとの関係についても触れておきましょう。ナポリタン・マスティフは基本的に獲物を追いかける狩猟本能は強くないため、小動物に対して無差別に攻撃することは少ないものの、体格差や不意の行動が事故につながる可能性があります。特に猫や小型犬と同居させる場合は、初めて顔を合わせる際に必ず安全な環境を整え、徐々に距離を縮めるようにすると安心です。

まとめると、ナポリタン・マスティフは「家族への愛情が深く、子どもにも優しいが、体格の大きさゆえの事故に注意が必要」「他の犬に対しては相性や社会化の程度によって大きく態度が変わる」と言えます。したがって、子どもや他犬との同居を考える際には、犬の性格を十分に理解したうえで、飼い主が責任を持って環境を管理することが何より大切です。信頼関係を軸に丁寧に導けば、家庭内で頼もしい守護者として、そして穏やかな仲間として共存できるでしょう。

運動量の多さ

ナポリタン・マスティフはその巨体と筋肉質な体格から、「毎日長時間走り回るような運動が必要なのではないか」と思われがちです。しかし、実際のところこの犬種は爆発的な体力や持久力を持つタイプではなく、適度な運動を継続的に与えることで心身の健康を維持する犬種です。必要な運動量は、同じ大型犬であるジャーマン・シェパードやボーダー・コリーと比べれば少なく、むしろ関節や心臓に負担をかけすぎない運動の与え方が重要となります。

まず、1日の散歩時間についてですが、成犬の場合は朝と夕方の2回、各30〜45分程度が目安です。ナポリタン・マスティフは歩くこと自体を楽しむ傾向が強く、急なダッシュや激しい遊びを好むタイプではありません。むしろ、ゆったりとしたペースで周囲の環境を観察しながら歩くことに満足を見出します。そのため、散歩では「距離よりも質」を意識するのが大切で、飼い主との落ち着いた時間を過ごしつつ心身をリフレッシュできるように心がけると良いでしょう。

一方で、運動不足には注意が必要です。巨体を持つナポリタン・マスティフは、運動不足によって肥満になりやすく、それが関節疾患や心臓病のリスクを高める要因となります。特に関節に負担がかかると、股関節形成不全や関節炎を悪化させる恐れがあるため、適度な運動によって筋肉を維持し、体重管理を徹底することが健康寿命を延ばす鍵となります。

成長期の子犬に関しては、注意すべきポイントがさらに増えます。ナポリタン・マスティフの骨や関節は成長途中ではまだ未発達であり、この時期に過度な運動やジャンプを繰り返すと、将来的な関節トラブルの原因になります。したがって、子犬の散歩は短時間で区切り、疲れている様子が見られたらすぐに休ませることが必要です。成長が安定する1歳半〜2歳頃までは、激しい運動を避けることが望ましいとされています。

遊びのスタイルについても触れておきましょう。ナポリタン・マスティフはボールを追いかけて延々と走り回るタイプではなく、飼い主と一緒に引っ張り合いをしたり、知的なおもちゃで遊んだりすることを好みます。こうした「頭を使う遊び」は、単なる体力の消耗以上に精神的な満足感を与え、過剰な警戒心や退屈による問題行動を防ぐ効果があります。精神的な刺激と身体的な運動を組み合わせることで、この犬種の本来の落ち着きがより引き出されます。

気候への配慮も忘れてはいけません。ナポリタン・マスティフは短毛ではありますが皮膚のしわが多く、体温調節が得意ではありません。特に暑さに弱いため、夏場の運動は早朝や日が落ちた後に行うのが理想です。高温多湿の環境で無理をさせると熱中症のリスクが非常に高まるため、涼しい場所での休憩や水分補給をこまめに取り入れることが不可欠です。逆に寒さにはある程度耐性がありますが、長時間の屋外活動では冷えから関節を痛める可能性もあるため、防寒対策を講じると安心です。

まとめると、ナポリタン・マスティフの運動量は「適度」であり、「質を重視する散歩」と「精神的な刺激を取り入れた遊び」が中心となります。マラソンのような持久的運動は不要ですが、毎日の規則的な運動と体重管理は健康維持に欠かせません。無理のない運動で筋肉を維持し、肥満を防ぎながら、飼い主と一緒に過ごす時間を充実させることこそ、この犬種にとって理想的な運動習慣と言えるでしょう。

体の特徴・被毛・毛色の特徴

ナポリタン・マスティフは、ひと目で圧倒されるほどの存在感を持つ犬種です。その体格、皮膚の質感、独特の顔つきは、世界の犬種の中でも類を見ない個性を放っています。古代ローマ時代から戦闘犬や護衛犬として用いられてきた歴史を背負い、現代に至るまで「威厳」と「迫力」を象徴する外見を保ち続けています。

まず体格ですが、ナポリタン・マスティフは超大型犬に分類されます。雄では体高65〜75cm、体重は60〜70kgを超えることも珍しくなく、雌でも50kg前後に達します。その体は筋肉質で力強く、骨格は厚くがっしりとしており、全体的に重厚感にあふれています。しかし、ただ大きいだけでなく、動きには独特の威厳があり、ゆったりと歩く姿には「守護者」としての風格が漂います。

この犬種の最大の特徴とも言えるのが、頭部と体全体を覆う「たるんだ皮膚」と「深いしわ」です。特に顔まわりには無数のしわやたるみが重なり、垂れ下がった大きな唇や頬と相まって、他の犬にはない迫力を生み出しています。歩くたびに皮膚が揺れる様子は印象的で、威圧的でありながらもどこかユーモラスな雰囲気を与えることもあります。この皮膚は、かつて戦闘犬として働いていた時代に「敵に噛みつかれても致命傷になりにくい」という機能的な意味も持っていたと考えられています。

耳はもともと自然な垂れ耳ですが、伝統的に断耳されることもあります。ただし近年では動物福祉の観点から断耳を行わないケースが増えており、自然な耳を持つ個体も多く見られるようになっています。尾についても断尾が一般的であった歴史がありますが、現在では自然な長い尾を持つ姿が主流になりつつあります。

被毛は短く、体に密着して生えており、触れると硬さと滑らかさを併せ持っています。手入れは比較的容易で、定期的なブラッシングで抜け毛を取り除き、皮膚の健康を保つことができます。ただし、しわの間は湿気や汚れが溜まりやすいため、日々のケアは欠かせません。皮膚のトラブルを防ぐ意味でも、被毛のケアと合わせて「しわの掃除」を生活習慣に組み込むことが大切です。

毛色については、ブラック、ブルー(青みがかったグレー)、マホガニー(赤褐色)、トーニー(薄茶色)がスタンダードとして認められています。単色の個体が基本ですが、胸や足先にわずかな白斑が入ることも許容されています。これらの毛色はどれも落ち着いた色調で、巨体と重厚感を引き立てる役割を果たしています。特にブルーの個体は非常に人気があり、その神秘的で威厳ある雰囲気はこの犬種ならではの魅力です。

顔のしわや大きな体と組み合わさることで、ナポリタン・マスティフは「恐ろしい番犬」と誤解されることも少なくありませんが、実際にはその外見は護衛犬としての歴史的背景を反映したものです。体は屈強ですが、性格は家族に対して温厚で、外見と内面のギャップもこの犬種の大きな魅力となっています。

まとめると、ナポリタン・マスティフの体の特徴は「巨体と筋肉質な骨格」「深いしわとたるみを持つ皮膚」「短毛で落ち着いた色合いの被毛」が挙げられます。これらは単なる見た目の特徴ではなく、歴史や役割を反映した結果であり、まさに「生きる歴史の証」とも言える存在感を放っています。家庭で暮らす際には、この外見的特徴に伴うケアの重要性も理解し、見た目の威厳に隠された繊細な部分を大切にしていくことが求められるでしょう。

里親・ブリーダー・値段

ナポリタン・マスティフは、その迫力ある外見と古代から受け継がれた歴史的背景を持つ非常に希少な犬種です。そのため、日本国内では流通量がごく限られており、一般的なペットショップで見かけることはほとんどありません。ナポリタン・マスティフを迎える方法としては、主に専門ブリーダーからの購入、あるいは里親制度を通じた譲渡という二つの道があります。

まずブリーダーから迎える場合について説明します。ナポリタン・マスティフは繁殖が容易な犬種ではなく、またその体格や性質から飼育に特別な知識と経験が求められます。そのため、日本国内で専門的に繁殖を行っているブリーダーは非常に少数であり、多くの場合は海外からの輸入に頼るケースが多くなります。特に本場イタリアをはじめとするヨーロッパ各国やアメリカには専門ブリーダーが存在し、国際的な血統を維持しています。輸入する場合は輸送費や検疫費用もかかるため、コストはさらに高くなるのが一般的です。

値段については、血統や両親のショー歴、毛色の希少性などによって幅がありますが、日本で迎える場合はおおよそ50万円〜100万円以上が目安とされます。特にスタンダードに忠実な体型を持つ個体や、人気のブルーの毛色を持つ子犬は高額になる傾向があります。一方、繁殖に適さないと判断された個体や、成犬の場合は比較的価格が抑えられることもあります。

次に、里親制度を通じた迎え入れについてです。ナポリタン・マスティフは決して飼いやすい犬種ではなく、その巨体と特有の性格から飼育が難航し、手放されるケースが時折見られます。国内では珍しいため数は限られますが、保護団体や個人によって新たな家庭を探している個体が出ることもあります。里親として迎える場合は基本的に譲渡費用のみで済むため、経済的な負担は少なくなりますが、その犬が抱えている過去や健康状態、しつけの進み具合を十分に理解し、無理なく受け入れられるかを慎重に判断する必要があります。

また、この犬種を迎えるにあたっては、購入価格や譲渡費用そのものよりも「飼育にかかる生涯コスト」の方が重要な検討事項となります。ナポリタン・マスティフは超大型犬であるため、食費は小型犬の数倍に達します。さらに、関節や心臓、皮膚など健康管理に手間がかかり、定期的な動物病院での検査や治療が必要になることも珍しくありません。高齢期には治療費がかさむことも予想されるため、経済的にも十分な準備が求められます。

信頼できるブリーダーを選ぶ際には、犬舎の環境や繁殖方針を直接確認し、健康診断やワクチン接種の記録、遺伝性疾患への配慮がなされているかをチェックすることが大切です。見た目の迫力や珍しさだけで選ぶのではなく、その犬種特有の性格や健康上のリスクを理解しているかどうかが飼い主に問われます。

総合的に言えば、ナポリタン・マスティフを迎えることは「特別な出会い」であり、同時に「大きな責任」を伴います。値段や希少性に目を奪われるのではなく、この犬種にふさわしい環境と愛情を生涯にわたって提供できるかどうかを見極めることが肝心です。信頼できるブリーダーや団体を通じて出会えたなら、その先には唯一無二の存在として家庭を支えてくれる、力強くも温かいパートナーとの生活が待っているでしょう。

ナポリタン・マスティフの動画集

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ナポリタン・マスティフの動画 その2

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