ニューファンドランドは、カナダのニューファンドランド島が原産となります。
ニューファンドランド島では、そのパワーを生かして、山や海での作業犬(木材を運んだり、網を引く、 泳ぎが得意な犬種のため海難救助犬としての役目など)として、活躍していました。
ちなみに、海難救助犬としての活躍が素晴らしかったため、 ニューファンドランドは『海の救助犬』と呼ばれていたほどでした。※『山の救助犬』はセント・バーナード。
そして、ニューファンドランドが今の形になった経緯は実ははっきりしておらず、諸説存在します。
それらの説は、チベットのマスティフとアメリカのブラックウルフ(現在は絶滅)が交配されて生み出された説、 カナダで現地にいたオオカミとバイキングが連れてきた犬が交配されて生み出されたという説、 15世紀~16世紀頃にグレート・ピレニーズ、マスティフ、 ポルトガル・ウォータードッグが交配された結果生み出されたという説、などです。
はっきりわかっているのは、18世紀後半、イギリスの植物学者サー・ジョセフ・バンクスによって ニューファンドランドは見い出され、ジョージ・カートライトによって1775年に『ニューファンドランド』 と名付けられました。
実はその後、原産国カナダでは絶滅の危機に瀕しましたが、 ニューファンドランド島の知事だったハロルド・マクパーソンが飼ったことで頭数が回復していき、 絶滅の危機から脱しました。
なお、ピーターパンに登場する犬「ナナ」で描かれている犬種としても有名です。
ニューファンドランドは、その堂々とした大きな体と優雅な存在感から「ジェントルジャイアント」と呼ばれることも多い犬種です。外見は力強く、重量感がありますが、実際の性格は温厚で落ち着いており、人と協力することに喜びを感じる犬です。そのため、他の大型犬種と比較すると、しつけは比較的スムーズに進めやすい部類に入ります。ただし、しつけやすさというのは単純に「賢いからすぐに覚える」という一面だけではなく、犬の持つ気質や学習に対するモチベーション、さらには飼い主側の姿勢や生活環境によっても大きく左右されます。ニューファンドランドを迎える際には、この犬種の特性をよく理解した上で取り組むことが求められます。
まず大きな特徴として、ニューファンドランドは人間に対する愛情が非常に深く、飼い主と良好な関係を築こうとする意欲が強い点が挙げられます。これは訓練の際に非常に有利に働きます。例えば、基本的なコマンド(おすわり、まて、ふせ、こい など)は繰り返しの学習を通じて比較的短期間で習得します。また、力強い体を持ちながらも攻撃的な気質は少なく、穏やかで従順なため、厳しい叱責や強制的な手法はむしろ逆効果となりやすいです。ポジティブな強化、すなわち褒める・ご褒美を与える・一緒に遊ぶといった形で動機づけをすると、彼らは期待以上の反応を見せてくれることが多いのです。
一方で、ニューファンドランドは「おっとり」とした気質が強いため、俊敏に動く作業犬のように機敏な反応を示すわけではありません。つまり、コマンドを理解していても反応がゆっくりだったり、やる気が控えめに見えることがあります。これは決して頭が悪いのではなく、この犬種特有の落ち着きと冷静さの表れです。そのため、飼い主が「もっと早く動けるはず」と焦ってしまうと犬との間にすれ違いが生じやすいので、忍耐強く待つ姿勢が必要になります。
また、ニューファンドランドは水難救助犬としての歴史を持つ犬種です。そのため、水に関連する作業やトレーニングでは特に高い適性を発揮します。泳ぎが得意で、飼い主と一緒に水辺で活動することは彼らにとって大きな喜びとなります。こうした資質を生かした訓練は、単なるしつけを超えて「犬にとっての生きがい」を作ることにつながるでしょう。
ただし、体格が非常に大きいため、幼少期の社会化と基礎訓練は特に重要です。子犬の時期は見た目が愛らしいために甘やかしてしまう飼い主も多いのですが、体が急速に成長して50kgを超える成犬になると、飛びつきや引っ張りといった行動が大きな問題になります。そのため、子犬の頃から「人に飛びつかない」「リードを引っ張らない」といった基本マナーをしっかりと身につけさせることが不可欠です。ニューファンドランドは覚えるのが遅い犬種ではありませんが、体が大きい分、未熟な行動がそのまま事故につながる危険性があるため、飼い主側に強い自覚が求められます。
さらに、ニューファンドランドは独立心が強すぎるタイプではありませんが、時に頑固さを見せることがあります。特に「これは自分にとって意味がない」と感じたトレーニングにはあまり積極的に取り組まない傾向があります。したがって、訓練内容には「犬にとって価値がある」と思わせる工夫が必要です。例えば、水遊びやご褒美を活用した遊びを組み合わせると、学習意欲を高めやすくなります。
総じて言えば、ニューファンドランドは賢さと温厚さを兼ね備え、飼い主との信頼関係を大切にする犬種であるため、しつけ自体は比較的行いやすいと言えます。ただし、その巨大な体を制御するためには、子犬の頃からの一貫した指導と根気強い対応が欠かせません。そして「即座の反応を求める」のではなく、「ゆったりとした性格に合わせて進める」という姿勢を持つことで、この犬種の良さを最大限に引き出すことができるでしょう。
ニューファンドランドは、その巨大な体格からは想像できないほど、落ち着いた温厚な性格を持つ犬種として知られています。「ジェントルジャイアント(優しい巨人)」という愛称が世界中で使われるのは、この犬の気質を端的に表す言葉でしょう。人との関わりを心から楽しみ、また周囲に対して穏やかであることから、多くの飼い主に「安心感を与えてくれる犬」と評されます。
まず特筆すべきは、ニューファンドランドの人懐っこさと家族への献身性です。この犬種は非常に社交的で、家族の一員として過ごすことを強く望みます。孤独を好むタイプではなく、常に人と一緒にいることで心が安定する傾向があります。家族がリビングに集まればそっとそばに横たわり、子どもが庭で遊んでいれば優しく見守るように寄り添うといった行動をよく見せます。この「そばにいる安心感」は、他の犬種にはなかなか見られないニューファンドランドならではの魅力です。
さらに、この犬種は基本的に攻撃性が低く、他者に対して威嚇的な態度をとることは少ないです。見知らぬ人に対しても過度に警戒することはなく、むしろ好奇心をもって接近することが多いでしょう。ただし、必要とあれば護衛本能を発揮し、家族を守ろうとします。ここで重要なのは、ニューファンドランドが「攻撃による防御」を選ぶのではなく、「威圧感と存在感で守る」ことが多いという点です。その堂々とした体格だけで、十分に抑止力となるのです。
また、ニューファンドランドは忍耐強さにおいても優れています。小さな子どもが耳を引っ張ったり、体によじ登ったりしても、基本的には穏やかに受け入れ、決して慌てて反撃するようなことはしません。もちろん犬によって個体差はありますが、全体として非常に我慢強い性格を備えているため、「家庭犬」として理想的と考える飼い主も多いのです。
ただし、この穏やかさゆえに「鈍感」や「無気力」と誤解されることもあります。ニューファンドランドは俊敏に反応する犬ではなく、落ち着いた行動を好むため、飼い主が急かしても機敏には動きません。しかしこれは「意欲がない」のではなく、「冷静に状況を判断してから動く」という性質によるものです。救助犬として活躍してきた背景からもわかるように、彼らはパニックに陥ることなく、困難な状況でも落ち着いて行動する能力を持っています。
加えて、ニューファンドランドは非常に優れた共感力を持つ犬種です。飼い主や家族の気分や体調を敏感に察知し、静かに寄り添って支えるような仕草を見せることがあります。例えば、飼い主が落ち込んでいるときや体調を崩しているときに、そっと側に座り続けたり、重い体を預けて安心感を与えたりする姿は、この犬種ならではの優しさの表れです。セラピードッグとして活躍しているニューファンドランドが多いのも、この高い共感性が理由の一つです。
ただし注意点として、ニューファンドランドは「人が好きすぎる」あまり、分離不安を起こしやすい側面があります。長時間ひとりで過ごさせることは大きなストレスにつながる可能性があるため、留守番の多い家庭にはやや不向きといえます。また、その温厚さを過信してしつけを怠ると、大型犬であるがゆえに問題が顕在化した際に制御できなくなる危険性もあるため、性格が穏やかだからといって「放任」で育てるのは避けるべきです。
まとめると、ニューファンドランドの性格は極めて温和で、家族に対して深い愛情を注ぐことが特徴です。攻撃的な行動はほとんど見られず、忍耐強く、共感力にも優れ、家庭犬として理想的な資質を持っています。一方で、人とのつながりを必要とするため、孤独に弱いという一面もあります。飼い主が犬との時間をしっかり確保し、愛情を持って接することで、この犬種の本来の魅力はさらに輝きを増すでしょう。
ニューファンドランドは、寒冷地での作業や水難救助といった厳しい環境下で活躍してきた歴史を持つ犬種であり、その体は頑丈に見えます。しかし、実際には大型犬特有の病気や寿命に関する注意点が多く存在します。見た目の力強さに反して、健康管理に繊細な配慮が必要となる犬種であることを理解しておくことが大切です。
まず寿命についてですが、ニューファンドランドの平均寿命はおおよそ8~10年とされています。これは小型犬や中型犬に比べるとかなり短命で、大型犬特有の傾向を反映しています。ごくまれに12年以上生きる個体もいますが、一般的には10歳前後で寿命を迎えることが多いでしょう。大きな体を維持するために心臓や関節に負担がかかりやすく、それが寿命を縮める要因となっています。
代表的な病気としてまず挙げられるのが、股関節形成不全や肘関節形成不全といった関節疾患です。体重が50kgを超えることもあるニューファンドランドにとって、関節への負担は非常に大きな問題です。遺伝的要因も強く関与するため、信頼できるブリーダーから迎えることが最初の予防になります。さらに、子犬期の過剰な運動や滑りやすい床環境は関節の成長に悪影響を及ぼすため、育成段階での環境配慮が欠かせません。
次に、ニューファンドランドで特に注意すべき病気が「拡張型心筋症」や「大動脈弁狭窄症」などの心疾患です。この犬種は心臓に関連する病気の発症率が比較的高いとされ、突然死のリスクを伴うこともあります。定期的な心臓のエコー検査や心音チェックが推奨され、早期に兆候をつかむことで治療や生活改善につなげることが可能です。大型犬は心臓の負担が大きいため、肥満の予防や適切な運動管理も大切な要素となります。
また、胃捻転(胃拡張-胃捻転症候群)も大型犬に共通して注意すべき疾患です。急激に胃が膨らみ、ねじれることで血流が遮断される命に関わる病気で、発症から数時間で致死的になる危険があります。ニューファンドランドも例外ではなく、食後すぐの激しい運動や一度に大量の水を飲むことがリスク要因となります。予防としては、1日の食事を複数回に分けて与える、食後は安静にさせる、食器を適切な高さに設置するなどの工夫が有効です。
さらに、ニューファンドランドはその厚い被毛によって皮膚のトラブルを抱えやすい傾向があります。特に「ホットスポット」と呼ばれる急性湿疹は、湿気や被毛の蒸れによって発生しやすい皮膚疾患です。ニューファンドランドは水遊びが好きなため、泳いだ後に体をきちんと乾かさないと細菌が繁殖し、皮膚炎の原因となります。定期的なブラッシングと被毛ケアは、単なる美容目的ではなく健康維持のために欠かせない習慣なのです。
そのほか、甲状腺機能低下症などの内分泌疾患や、肥満による生活習慣病にも注意が必要です。特に肥満は関節や心臓への負担を増大させ、寿命を縮める大きな要因となります。ニューファンドランドは食欲旺盛な個体が多いため、つい多めに与えてしまいがちですが、体重管理は最重要課題のひとつです。
けがについては、その穏やかな性格ゆえに大きな外傷を負うことは少ないものの、やはり巨体ゆえにちょっとした転倒や捻挫が深刻な問題に発展することもあります。階段の上り下りや滑りやすい床材は事故の原因となるため、家庭内の環境整備が重要です。特に高齢期に入ると足腰が弱りやすいため、ラグを敷く、段差をなくすなどの工夫でけがのリスクを減らすことができます。
まとめると、ニューファンドランドは強靭な外見に反して、心臓・関節・胃腸といった健康面でのリスクが多い犬種です。平均寿命は8~10年と短めですが、定期的な健康診断、体重管理、生活環境の配慮を徹底することで、より長く快適な生活を送らせることが可能です。飼い主が日々のケアを怠らず、犬の小さな変化を見逃さないことが、この「優しい巨人」の寿命を支える最大のポイントとなるでしょう。
ニューファンドランドは、その性格の大きな特徴である温厚さと忍耐強さによって、家庭内で他の犬や子どもと同居するうえで非常に適した犬種のひとつとされています。「優しい巨人」と呼ばれる所以は、家族や仲間に対して驚くほど寛容で、安心感を与える存在である点にあります。しかし、大型犬特有の体格や習性から、同居生活を円滑にするためにはいくつかの配慮が欠かせません。
まず、子どもとの相性についてですが、ニューファンドランドは世界的にも「子守犬」として知られるほど、子どもに対して優しい態度を示す犬種です。小さな子どもが近づいたり触れたりしても動じることは少なく、むしろ静かに見守る姿勢をとることが多いです。特に、子どもが泣いているときや困っているときに寄り添うような行動は、多くの飼い主が驚くほど自然に見られる光景です。これは、この犬種の持つ共感性と保護本能の表れであり、ニューファンドランドならではの大きな魅力といえるでしょう。
また、子どもが元気いっぱいに遊んでいても、ニューファンドランドは基本的に忍耐強く受け止めます。小さな子どもがしっぽを引っ張ったり、体に乗ろうとしたりしても、攻撃的な反応を見せることは稀です。ただし、ここで注意しなければならないのは「体格差」です。ニューファンドランドは成犬になると体重が50~70kgに達することも珍しくなく、たとえ穏やかな性格であっても、ちょっとした動きで子どもを転ばせてしまう危険があります。そのため、犬と子どもを一緒に遊ばせる場合には、必ず大人が見守り、双方にとって安全な距離感を維持できるように配慮することが必要です。
次に、他の犬との関係についてです。ニューファンドランドは基本的に社交的で、攻撃性が低いため、他犬との同居にも適しています。特に、幼少期からしっかりと社会化されていれば、他犬と良好な関係を築けることが多いです。ニューファンドランド自身が「争いを好まない」性格であるため、他犬が多少強気に出ても、冷静に受け流す傾向があります。この点は、多頭飼育を考えている家庭にとって非常に心強い特徴です。
しかし、すべての犬が同じように穏やかに振る舞うわけではありません。ニューファンドランドは落ち着いた性格であるがゆえに、活発すぎる犬種や支配的な犬と一緒に暮らす場合にはストレスを感じることがあります。また、食事やおもちゃなど「資源」をめぐるトラブルはどんな犬にも起こり得るため、同居させる際にはそれぞれの犬に専用の食器や寝床を用意し、飼い主が公平に接することが大切です。
さらに、多頭飼いの場合には「体格差」も考慮すべきポイントです。小型犬と一緒に暮らす際、ニューファンドランドは相手を傷つける意図はなくても、ちょっとした動きで小型犬に大きなダメージを与えてしまう可能性があります。例えば、しっぽを振っただけで小型犬をはじき飛ばしてしまったり、遊びの中で体当たりのようになってしまうこともあります。そのため、大きさの異なる犬種と同居させる場合には、遊び方や環境を工夫して事故を防ぐことが求められます。
また、ニューファンドランドは人との強いつながりを求める犬であり、犬同士の関係よりも飼い主や家族との関係を優先する傾向があります。そのため、多頭飼いをする場合には「他の犬を優先されている」と感じさせないよう、飼い主が十分に時間と愛情を割くことが重要です。愛情に敏感な犬種であるため、バランスを欠くと精神的に不安定になる可能性もあります。
総じて言えることは、ニューファンドランドは子どもや他の犬との同居に非常に適した犬種ですが、その体格の大きさゆえに「物理的な事故のリスク」が存在する点を忘れてはならないということです。性格的には寛容であり、相手を受け入れる包容力を持っていますが、同居を円滑にするためには飼い主の監督と配慮が不可欠です。子どもに対しては「犬をおもちゃにしない」という教育を行い、他の犬に対しては「公平に愛情を注ぐ」姿勢を持つことで、ニューファンドランドは家庭内で理想的なパートナーとなるでしょう。
ニューファンドランドは、がっしりとした骨格と豊かな筋肉を備えた超大型犬であり、一見すると運動量が非常に多そうに見えます。しかし実際のところ、この犬種は「過度な運動を必要としないが、適度で安定した運動を欠かしてはならない」という特徴を持っています。つまり、運動好きでエネルギッシュな犬というよりも、体の健康維持と精神的な安定のために計画的な運動を必要とするタイプの犬種なのです。
まず理解しておくべきは、ニューファンドランドの歴史的背景です。この犬はカナダ東部のニューファンドランド島で発展し、漁師の作業を助ける犬として働いてきました。網を引く、水中での救助を行う、荷を運ぶといった作業を担ってきたため、持久力と水中での作業適性に優れています。一方で、猟犬や牧羊犬のように一日中走り回るタイプではなく、必要なときに力強く働き、普段は穏やかに過ごすというライフスタイルを持っていました。この歴史を踏まえると、「激しい運動は不要だが、日々の規則正しい運動は必須」という性質がよく理解できます。
日常的に必要とされる運動量は、1日あたりおよそ1時間前後の散歩が目安とされています。ただし、1回で長時間歩かせるのではなく、朝と夕方に30分ずつ分けて行うのが理想的です。ニューファンドランドは暑さに弱いため、夏場は涼しい時間帯を選んで散歩することが重要です。特に真夏の昼間に無理をさせると熱中症の危険が非常に高いため、注意が必要です。
ニューファンドランドにとって特に適した運動が「水泳」です。分厚い被毛と水かきのある足を持ち、体はまさに水中での活動に適応しています。水泳は関節への負担が少なく、大型犬がかかりやすい股関節形成不全や関節炎の予防・リハビリにも役立ちます。さらに、心肺機能を高め、精神的な満足感も得られるため、ニューファンドランドにとって理想的なエクササイズといえるでしょう。安全な水辺が近くにある家庭では、定期的に泳がせることをおすすめします。
ただし、子犬期には運動量に特に注意が必要です。ニューファンドランドは成長期に急速に体が大きくなるため、過度な運動は関節や骨格に負担を与え、将来的な疾患の原因となる可能性があります。子犬のうちは長時間の散歩や階段の昇降、硬い地面でのランニングを避け、短めの散歩や軽い遊び程度にとどめるのが適切です。成犬になってから本格的な運動を取り入れる方が、健康を長く保つことにつながります。
また、ニューファンドランドは運動に対して「やる気を見せる時とそうでない時」がある犬種です。俊敏さや機敏な動きを好むタイプではなく、むしろのんびりとしたペースを好みます。そのため、ボーダーコリーやジャーマン・シェパードのように高度な運動欲求を持つ犬と同じ感覚で運動させると、犬も飼い主もストレスを感じやすくなります。ニューファンドランドにとっては、「短時間でも充実感のある運動」を心がけることが重要です。
精神的な充実のために、運動には「飼い主との協働」が欠かせません。単に歩かせるだけではなく、一緒に水遊びをしたり、知育玩具を使って遊んだりすることで、体だけでなく心も満たされます。ニューファンドランドは人との絆を大切にする犬種であるため、孤独な運動よりも飼い主と楽しむ運動のほうがはるかに効果的なのです。
シニア期に入ると、関節や心臓への負担が増すため、運動の質と量を調整する必要があります。若い頃のように長距離を歩くのではなく、短めの散歩を数回に分けたり、芝生や土の上を歩かせるといった工夫が効果的です。水泳はシニア期でも続けやすい運動ですが、水から上がる際の補助や水温管理には十分注意を払う必要があります。
まとめると、ニューファンドランドの運動量は「多すぎても少なすぎても良くない」という点が最大のポイントです。適度で安定した運動、特に水泳を取り入れることが理想であり、健康維持と精神的な安定に直結します。体格が大きく暑さに弱いという特性を理解し、無理のないスケジュールで運動を取り入れることが、この「優しい巨人」と健やかに暮らすための秘訣といえるでしょう。
ニューファンドランドは、世界でも屈指の「巨犬種」として知られています。その外見は圧倒的な存在感を放ちますが、ただ大きいだけでなく、作業犬としての機能美を備えている点にこそ、この犬種の魅力が凝縮されています。体格、被毛、毛色のすべてにおいて「水難救助犬」としての歴史が色濃く反映されていることが特徴です。
まず体格についてですが、ニューファンドランドの成犬はオスで体高71cm前後、体重はおよそ60〜70kg、メスで体高66cm前後、体重45〜55kgが標準とされています。中には体重が80kgを超える個体も存在し、まさに「巨体」と呼ぶにふさわしい姿です。しかしその体は単なる大きさではなく、骨太で筋肉質、力強さと耐久性を兼ね備えています。特に胸部は深く広く発達し、肺活量が豊富であるため、水中での活動に適しています。四肢も太くしっかりしており、大型犬としての安定感を誇ります。
ニューファンドランドのもう一つの大きな特徴は「水かきのある足」です。通常の犬の足にもわずかな水かきはありますが、ニューファンドランドの指の間の水かきは特に発達しており、水泳能力を飛躍的に高めています。この構造のおかげで、彼らは驚くほど効率的に水をかき分け、重い人間を岸まで運ぶといった救助活動を可能にしています。
頭部は大きく、マズルは短めでしっかりとしており、優しく落ち着いた表情を見せます。目は小さめでアーモンド形、暗褐色が多く、その眼差しは柔らかく愛情深さを感じさせます。耳は中くらいの大きさで頭部に沿って垂れており、全体的に「力強さ」と「優しさ」を同時に感じさせる外観となっています。
被毛については、ニューファンドランドを象徴する大きな特徴のひとつです。被毛はダブルコート構造で、外毛は厚く油分を含んだ粗めの毛質、下毛は柔らかく密集したウール状になっています。この二重構造は、防水性と保温性を兼ね備えており、冷たい海に飛び込んでも体温を保持できるように適応したものです。そのため、水に濡れても皮膚まで浸透しにくく、長時間の水中活動を可能にします。
ただし、この被毛は美しいだけでなく、手入れにも相当な手間がかかります。抜け毛は非常に多く、特に換毛期には大量の毛が抜け落ちるため、日常的なブラッシングが不可欠です。また、毛が厚く通気性が悪いため、湿気がこもりやすく皮膚炎を引き起こすリスクもあります。泳いだ後やシャンプー後にはしっかりと乾かすことが皮膚病予防につながります。
毛色については、国際的な犬種標準によって若干の違いがありますが、代表的なのは以下の通りです。
* ブラック(黒一色):最も一般的で、艶のある深い黒色が特徴です。
* ブラウン(チョコレート):やや希少で、温かみのある濃い茶色が美しい毛色です。
* グレー:こちらも珍しく、落ち着いた雰囲気を持つ灰色の毛並みです。
* ランドシーア(白地に黒の斑):白を基調に黒い模様が入る毛色で、特にヨーロッパで人気が高く、芸術作品にもよく描かれています。
これらの毛色はいずれもニューファンドランドの堂々とした外見を引き立て、存在感を際立たせます。特にランドシーアは、かつて画家エドウィン・ランドシーアが作品に描いたことからその名がつき、歴史的にも高い評価を受けています。
ニューファンドランドの外見をまとめると、「救助犬としての機能性」と「家庭犬としての穏やかさ」を同時に表現した姿であるといえるでしょう。強靭な体は人命救助のために進化し、厚い被毛は自然環境に適応した結果です。その一方で、優しい目や柔らかな表情は、家族に安心感を与える家庭犬としての魅力を強調しています。
この犬種の体の特徴や毛の性質を理解することは、見た目を楽しむだけでなく、健康維持や適切なケアの実践にも直結します。毎日のブラッシング、定期的なシャンプー、そして皮膚の健康管理は、ニューファンドランドとの暮らしを快適にするために欠かせない要素なのです。
ニューファンドランドは、世界的にも人気のある超大型犬ですが、日本国内での飼育頭数は決して多くありません。そのため、迎え入れる際には里親として保護犬を探す方法と、ブリーダーから購入する方法の大きく2つの選択肢があります。いずれの場合でも、この犬種特有の飼育環境やコスト、体力面での配慮が必要となるため、安易に迎えるのではなく十分な下調べと準備が不可欠です。
まず里親についてですが、ニューファンドランドは家庭犬として非常に優秀である一方、その体格の大きさや食費・医療費の高さから、飼育を継続できずに手放されるケースが一定数存在します。特に、成長するにつれて予想以上の大きさに驚き、飼育放棄される例は少なくありません。そのため、動物保護団体や大型犬専門のレスキュー団体では、時折ニューファンドランドが里親募集に出されることがあります。里親として迎える場合、成犬であることが多く、性格や健康状態がある程度わかっているのがメリットです。ただし、過去の飼育環境によってはしつけが不十分であったり、心身にトラウマを抱えている場合もあるため、受け入れ側の理解と根気が求められます。
次にブリーダーから迎える場合についてです。ニューファンドランドは国内に専門のブリーダーが限られており、予約制での繁殖がほとんどです。信頼できるブリーダーは、股関節や心臓疾患などの遺伝的リスクを考慮し、健康診断をクリアした親犬を選んで繁殖を行っています。この犬種は先天性の疾患リスクが高いため、血統や健康状態をしっかり確認することが何より重要です。ペットショップで見かけることは非常に稀であり、仮に展示されていても繁殖背景が不明確なことが多いため、慎重に判断する必要があります。
値段については、ニューファンドランドの子犬は一般的に40万円から70万円程度が相場とされています。特に血統が優れている個体やショータイプの場合、80万円を超えることもあります。毛色によっても価格が変動することがあり、珍しいブラウンやランドシーアはやや高額になる傾向があります。さらに輸入を検討する場合には、輸送費や検疫費用などが加わり、100万円近くかかることもあります。
ただし、購入価格はあくまで初期費用にすぎません。ニューファンドランドの飼育には、日常的にかなりの出費が伴います。例えば、毎月のフード代だけでも小型犬の数倍にあたり、大型犬用の高品質フードを与える場合には1ヶ月で2万円以上かかることも珍しくありません。さらに動物病院での診察費や薬代も大型犬は高額で、手術や入院が必要となれば数十万円単位の費用が発生する可能性があります。加えて、大型犬に対応した広い生活スペースや、頑丈なケージ、車での移動に必要な設備など、生活環境の整備費用も小型犬とは比較にならない規模になります。
そのため、ニューファンドランドを迎える際には「購入費用」だけでなく、「維持費用」を長期的に見積もることが極めて重要です。この犬種は平均寿命が8〜10年と短めである一方、その期間中にかかる総費用は小型犬の数倍に及びます。経済的な準備が不十分であれば、犬にとっても飼い主にとっても不幸な結果を招きかねません。
また、ニューファンドランドは飼育できる家庭が限られるため、里親募集やブリーダーの間でも「迎え入れる家庭の条件」を厳しく設けていることが多いです。広い住環境、十分な飼育経験、経済的な余裕、家族の理解と協力といった条件をクリアしなければならない場合もあります。これは犬の幸せを第一に考えた措置であり、むしろ信頼できるブリーダーや団体ほど厳格に審査を行います。
まとめると、ニューファンドランドを迎える方法は里親かブリーダーが主流であり、値段は高額な部類に入ります。しかし、迎え入れた後の維持費や手間のほうがはるかに大きな負担となるため、それを理解し、覚悟と責任を持って向き合うことが求められます。愛情をもって正しく育てれば、この「優しい巨人」は家族にかけがえのない安心と幸福をもたらしてくれる存在となるでしょう。
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こんにちは。最近、昔から憧れていたニューファンドランドについて本気でお迎えしようかと考えはじめて、それで他の犬種よりも気になるのが「よだれ」なんです。ネットや本とか、犬好きの友達からも「ニューファンはよだれがすごいよ」と何度も言われてきたんですが、でも実際に一緒に暮らしている人の体験ってどんな感じなのかがいまいち掴めなくて…。
私は今
.......(続きはここをクリック)どうしても気になってしまい、この場を借りてみなさんに質問させてください。最近、犬関連のSNSやYoutubeなんかでやたらと目にするんです、ニューファンドランドが水中でバシャバシャ泳いでいる動画や写真。正直、あの体格からは想像もつかないくらい、水の中での動きがスムーズで驚かされます。自分は昔から犬が好きで、実家でもいろんな犬と一緒に暮らして
.......(続きはここをクリック)自分でもちょっと唐突だなと思うんですが、最近ふいにニューファンドランドという犬種に強く興味が出てしまいまして、ここで経験者の方や詳しい方に話を聞いてみたいと思い、初めて投稿させていただきました。というのも、散歩中や公園などでたまに大きな黒いワンちゃんを見かけることがあって、その迫力と優しそうな雰囲気がすごく印象的で「あの犬種を自分も飼えたら
.......(続きはここをクリック)こんにちは。最近、SNSでニューファンドランドの動画を見かけて、その迫力と可愛さにすっかり心を掴まれた30代男です。ニューって略して呼ばれることもあるみたいですけど、あのモフモフで巨大な体、癒し系の優しい目つきにハートを撃ち抜かれました。雨の日に子どもと一緒にのんびり過ごしている動画や、川や海で泳いでいる映像とか見て「こんな子と暮らせたら最
.......(続きはここをクリック)最近、ふと思うことがあって質問させてもらいます。実は犬を家族として迎えようかと考えていて、色々な犬種を調べたり、ペットショップやブリーダーさんの話を聞いたりしているところです。そのなかで、ニューファンドランドという犬種がすごく気になっています。
元々大型犬が好きで、あのもふもふした存在感や優しい顔立ち、家族に対する友好的な性格がすごく魅力
最近ちょっと大きめの犬を家族に迎えたいなと漠然と考えていて、ネットでいろんな犬種を見ていた中で、ニューファンドランドがやけに気になっています。あの圧倒的な大きさとふさふさの毛、なんとも温厚そうな表情。昔、テレビでニューファンドランドが子供と一緒に水遊びしているシーンを見たことがあって、その時からずっと心の片隅に残っていました。
ですが実際
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