【味方にすれば最強の番犬、グレート・ピレニーズ】

グレート・ピレニーズの基本情報(性格・しつけ・病気など)

 
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グレート・ピレニーズ
[英記]:Great Pyrenees

    ◇基本データ
  • ・サイズ: 超大型犬
  • ・体高:60cm~80cm
  • ・体重:40kg~60kg

  • ◇起源・歴史・沿革・系統:
  • グレート・ピレニーズ(別名「ピレニアン・マウンテン・ドッグ」)は、 フランスを原産国とする大型犬種になります。
    始祖犬は、チベットを原産とするチベタン・マスティフだと言われているようです。
    チベットからヨーロッパに渡り、その後、スペインのピレネー山脈で暮らしていました。
    当時の役割としては、家畜を他の動物や盗賊から守る役割をつとめていました。

    その後、中世のフランスでは、番犬としてグレート・ピレニーズを飼うことがステータスになっており、 17世紀には宮廷の番犬になり、さらに17世紀後半には王室のお抱えの番犬にまでなっています。

    しかしながらその後、フランス王室内やヨーロッパ各地からグレート・ピレニーズはどんどん姿を消していき、 一部の山岳地方に生き残っている程度になりましたが、 愛好家たちが繁殖した結果として現在のグレート・ピレニーズの存続につながっています。


    ◇こんなスタイルで犬を飼いたい方・こんな状況の方との相性Good!!
    ・広い飼育スペース、エアコン完備の環境を用意できる
    ・毎日の散歩時間をきちんと確保できる(1日合計2時間ぐらい)
    ・温厚で穏やかだが、番犬的な頼りがいも欲しい
グレート・ピレニーズのメイン写真 グレート・ピレニーズの特徴評価グラフ

しつけのしやすさ

グレート・ピレニーズは、古来よりフランスとスペインの国境に広がるピレネー山脈で牧羊犬として活躍してきた歴史を持つ犬種です。彼らの最大の特徴は、自分の判断で群れや家畜を守る「独立心の強さ」にあります。この特性は牧畜犬としては非常に優れた資質ですが、家庭犬として迎える際にはしつけの難しさにつながることも少なくありません。

まず理解しておきたいのは、グレート・ピレニーズは飼い主の指示に従うことを「絶対的なルール」とは考えない犬種だという点です。たとえば、ラブラドールやゴールデン・レトリーバーなど、人の指示を喜んで受け入れる傾向の強い犬種に比べると、ピレニーズは「自分が正しいと思えば従わない」という場面が多々あります。これは頑固さというよりも、彼らが本来持っている自立性の表れです。そのため、単純に「命令に従わせる」しつけの方法ではうまくいかないケースが多いのです。

しつけに取り組む際のポイントは、信頼関係の構築と忍耐です。ピレニーズは賢い犬なので、一度学んだことを忘れることはあまりありません。しかし、飼い主を「リーダーとして尊敬できる存在」と認めない限りは、覚えたことを実際の行動に移そうとはしない傾向があります。したがって、早い段階から一貫した態度で接し、家族の中でのルールをわかりやすく示すことが重要です。甘やかしや気まぐれな対応をしてしまうと、犬が混乱し、しつけの効果が出にくくなります。

また、グレート・ピレニーズは警戒心が非常に強い犬です。知らない人や物音に敏感に反応し、吠えることも少なくありません。この性質は番犬としては大きな強みですが、都市部や住宅街で暮らす場合は「無駄吠えのコントロール」が必須になります。ただし、完全に吠えることをやめさせるのは不可能に近く、現実的には「状況に応じて落ち着けるようにする」訓練が求められます。たとえば、チャイムや来客に対して落ち着いていられるよう、社会化の段階から経験を積ませることが有効です。

もうひとつ大切なのは、しつけの方法です。体罰や威圧的な態度は逆効果であり、信頼関係を損ねるだけでなく、犬に反発心や不信感を抱かせてしまいます。ピレニーズは基本的に穏やかで我慢強い犬ですが、不当な扱いを受けると心を閉ざす傾向が強い犬種です。正の強化、つまり「望ましい行動を取ったときに褒める・報酬を与える」という方法が最も適しています。食べ物のご褒美に加えて、飼い主の笑顔や声かけを大切にすることで、犬は「この人のために行動したい」と思うようになります。

さらに、グレート・ピレニーズのしつけで忘れてはならないのが「時間の長さ」を意識することです。一般的な犬種であれば数週間から数か月で定着するコマンドも、ピレニーズの場合は数倍の時間がかかることがあります。これは知能の低さではなく「自分に必要だと思わなければ覚える優先度を下げる」という性質のためです。したがって、焦らず、何度も繰り返し練習を積み重ねることが求められます。特に大型犬で力が強いため、「待て」「おいで」などの基本コマンドは子犬のうちから確実に習得させておくことが不可欠です。

まとめると、グレート・ピレニーズのしつけは決して「簡単」ではありませんが、適切な方法を用いれば十分に可能です。大切なのは、犬の持つ独立心と警戒心を理解し、それを尊重した上で、根気強く教え込む姿勢です。牧羊犬としての歴史を踏まえ、命令を無条件に受け入れる犬種ではないことを念頭に置けば、飼い主に忠実で頼もしいパートナーに育っていくでしょう。

気性の穏やかさ・性格

グレート・ピレニーズの性格を語るうえで欠かせないのは、その「穏やかさ」と「包容力」です。体は非常に大きく力強いのですが、心の内側はとても優しく落ち着いており、古くから「白い巨人」「優しい守護者」と呼ばれてきました。この気質は、彼らが長い年月をかけて牧羊犬として家畜を守ってきた歴史から培われたものです。羊やヤギといった弱い動物を驚かせることなく、しかし外敵には毅然と立ち向かう必要があったため、攻撃的ではなく冷静で安定した性格が求められたのです。

まず家庭犬としての特徴を挙げると、グレート・ピレニーズは家族に対して非常に愛情深く、強い忠誠心を示します。特に子どもや小動物に対しては保護者のような態度をとることが多く、相手を見下ろすように静かに寄り添ったり、寝ているそばで見守ったりする姿がよく見られます。大型犬であるため一見すると迫力がありますが、内面は穏やかで辛抱強いため、子どもが多少いたずらをしても怒らずに受け止める場面も少なくありません。

ただし、こうした優しさは「誰にでも無条件に向けられる」わけではありません。グレート・ピレニーズは非常に警戒心が強く、見知らぬ人や不審な物音にはすぐに反応します。家族とそれ以外をしっかり区別する性質があり、この点では典型的な番犬気質を持っているといえます。そのため来客が多い家庭や、人通りの多い場所で暮らす場合には、社会化をしっかり行って「信頼できる人には落ち着いて接する」習慣を身につけさせることが欠かせません。警戒心が強い一方で、慣れた相手に対しては驚くほど穏やかでフレンドリーになります。

また、グレート・ピレニーズは独立心が強く、自分で状況を判断する傾向があります。これはしつけのしやすさの部分でも触れた点ですが、性格面にも深く関わっています。飼い主が指示を出しても、「本当に必要か?」「自分が守るべき対象は何か?」と冷静に考えた上で行動することが多いのです。このため、感情に流されて突発的に行動することは少なく、むしろ落ち着いて周囲を観察し、必要に応じてのみ行動する姿勢が目立ちます。この性質が「穏やかで頼もしい」と感じられる理由のひとつです。

一方で、頑固な面も持ち合わせています。自分が正しいと思ったことはなかなか譲らず、特に「守るべき対象」に関しては強い執着を見せることがあります。たとえば、家族の子どもや飼い主を守ろうとするあまり、来客や通行人に吠えるといった行動に出ることがあります。これは攻撃性からくるものではなく「守りたい」という強い本能の表れであり、理解してあげることが大切です。

さらに、グレート・ピレニーズは「マイペース」な性格でもあります。大型犬ながら運動欲求は中程度で、室内では落ち着いて過ごすことが多いです。家の中ではどっしりと寝そべり、家族のそばで静かに時間を過ごすのを好みます。そのため、落ち着いた家庭環境に非常によくなじみますが、逆に大きな騒音や絶え間ない刺激のある環境はストレスとなりやすい傾向にあります。

まとめると、グレート・ピレニーズは「優しさ」と「警戒心」のバランスが取れた犬種です。家族に対しては無償の愛情と忍耐を見せ、他者に対しては慎重かつ冷静に接します。その穏やかな性格は、多くの家庭で「安心感」を与えてくれる存在となるでしょう。ただし、彼らの独立心や頑固さを理解し、適切な社会化を行うことが、より良い関係を築くための鍵となります。

病気・けがへの強さ・寿命

グレート・ピレニーズはその大きな体と堂々たる風貌から「頑丈な犬」と思われがちですが、実際には大型犬特有の疾患リスクや遺伝的に注意すべき病気があります。健康に長生きしてもらうためには、これらの特徴を理解し、日々の生活で適切な管理を行うことが欠かせません。

まず寿命について触れると、グレート・ピレニーズの平均寿命はおおよそ10〜12年程度とされています。小型犬に比べると短命ですが、これは大型犬全般に共通する傾向です。体が大きい犬ほど成長が急速で、心臓や関節にかかる負担が大きいため、老化のスピードも早くなりやすいのです。ただし、日々のケアを怠らなければ12年以上健康に過ごす個体も珍しくはなく、特に肥満や過度の運動を避けてバランスの取れた生活を送らせることが長寿の秘訣になります。

代表的な病気のひとつが「股関節形成不全」です。大型犬に多く見られる遺伝性疾患で、股関節が正常に発達せず、歩行異常や痛みを引き起こします。ピレニーズは骨格がしっかりしているため子犬の頃から急速に体重が増えることが多く、発症リスクが高まります。予防には、成長期の無理な運動や過栄養を避け、適度な体重管理を徹底することが大切です。また、遺伝的素因を持たない個体を選ぶために、信頼できるブリーダーから迎えることも重要なポイントです。

次に注意すべき病気として「胃拡張・胃捻転症候群」が挙げられます。これは大型犬や胸の深い犬種に多い急性疾患で、胃にガスや食物が溜まり膨張してねじれてしまう病気です。発症すると短時間で命に関わる危険があり、緊急の外科手術が必要になる場合もあります。食後すぐの激しい運動や早食いがリスクを高めるため、食事を1日2回以上に分け、食後は安静にさせることが予防の基本です。

さらに「膝蓋骨脱臼」や「靱帯損傷」などの関節トラブルも見られます。特に前十字靭帯断裂は体重の重い犬種で多発する傾向があり、急な方向転換や段差の上り下りで発症することがあります。滑りやすい床を避けたり、日常的に無理のない運動を取り入れることが関節の健康維持につながります。

遺伝的な疾患以外に、グレート・ピレニーズは「皮膚疾患」にも注意が必要です。豊かな被毛を持つため湿気がこもりやすく、外耳炎や膿皮症などを引き起こすことがあります。定期的なブラッシングで毛の通気性を保ち、皮膚の状態を観察することが予防になります。また、皮膚に異常を見つけた際には早めに獣医師に相談することが大切です。

心臓に関しては「拡張型心筋症」や「心雑音」に注意が必要です。特に高齢期に見られることが多いため、定期的な健康診断を受け、早期に異常を発見できる体制を整えることが望ましいでしょう。

総じて言えるのは、グレート・ピレニーズは「環境に強いが、遺伝性疾患や大型犬特有の病気に注意が必要な犬種」ということです。彼らはもともと山岳地帯で育てられてきたため寒さに非常に強く、雪の中でも元気に活動できます。一方で暑さには弱く、夏の熱中症リスクは高いので、エアコンの使用や涼しい環境を用意することが必須です。

まとめると、グレート・ピレニーズは適切な管理を行えば10年以上元気に暮らすことができる犬種です。ただし、大型犬特有の疾患リスクを常に意識し、成長期の栄養管理や日々の運動、体重のコントロール、定期的な健康チェックを怠らないことが大切です。こうした配慮を続けることで、その穏やかで頼もしい存在感を長く家族と共に楽しむことができるでしょう。

他の犬や子どもとの同居しやすさ

グレート・ピレニーズは、家庭に迎えられた際に「優しい巨人」と形容されることが多い犬種です。その穏やかな気質と守護本能は、子どもや他の動物との同居においても大きな安心感をもたらします。ただし、大型犬であることや強い警戒心を持つ特性を理解し、適切に環境を整えることが重要です。

まず子どもとの相性についてですが、グレート・ピレニーズは特に小さな子どもに対して優しく接する傾向があります。これは牧羊犬として長い間「弱い存在を守る」役割を果たしてきた歴史に由来しています。家庭内ではまるで保護者のように子どものそばに寄り添い、遊び相手としても落ち着いた態度を見せることが多いです。多少乱暴に触られても我慢強く受け止める個体が多いため、子どもにとって安心できる存在となるでしょう。実際に、子どもが庭で遊んでいるときにピレニーズが近くで見守っている姿は、この犬種ならではの光景です。

ただし、体の大きさゆえに注意も必要です。成犬になると体重は50kgを超えることもあり、遊んでいる最中に思わずぶつかってしまえば、小さな子どもが転んでケガをすることも考えられます。そのため、子どもと犬が一緒にいるときは必ず大人が見守り、犬に飛びつかせない、子どもが尻尾を引っ張らないなど、双方にルールを教えることが欠かせません。子ども側にも「犬は生き物であり優しく接する」ということを理解させる教育が大切です。

次に、他の犬との相性について見てみましょう。グレート・ピレニーズは基本的に温厚で社交的な性格を持っていますが、縄張り意識が強く、自分の「守るべき領域」に入ってきた犬に対しては強い態度を見せることがあります。特に成犬になってから新しい犬を迎えようとすると、相手を受け入れるまでに時間がかかる場合があります。そのため、多頭飼育を考えている場合には、できるだけ子犬のうちから一緒に育てるか、社会化をしっかり行うことがポイントです。

他犬との関係性で重要なのは「相性」と「序列付け」です。ピレニーズは独立心が強いため、相手の犬がしつこく遊びに誘ったり、優位に立とうとしたりするとストレスを感じることがあります。一方で、落ち着いた性格の犬種や、適度な距離感を保てる犬であればうまく共存できるケースが多いです。飼い主が介入して双方に安心感を与えながら関係を築くことが大切になります。

また、猫などの小動物との同居についても触れておきましょう。ピレニーズは「守る本能」が強く、羊やヤギを相手にしてきた歴史があるため、猫や小型犬とも比較的平和に暮らせる可能性があります。ただし、動きの速い小動物に対しては狩猟本能が刺激される場合があるため、最初は必ず監督下で慣らしていく必要があります。特に、成犬になってから初めて小動物と接触する場合は慎重な対応が求められます。

さらに、同居のしやすさを大きく左右するのが「社会化教育」です。ピレニーズは警戒心が強いため、子犬の頃からさまざまな人や犬、環境に触れさせることで柔軟な性格を育むことができます。社会化を十分に行わずに育てると、来客や他犬に対して必要以上に警戒心を示し、落ち着いて接することが難しくなる場合があります。逆に適切に社会化されたピレニーズは、家庭内外での同居相手に対して非常に穏やかで寛容な態度を示します。

まとめると、グレート・ピレニーズは子どもや他の犬との同居に非常に適した犬種ですが、その大きさと強い守護本能を考慮し、環境作りと教育をしっかり行うことが欠かせません。子どもには優しく、他犬や小動物とも適切に慣らせば良きパートナーとなります。一方で、縄張り意識や体格の大きさから生じるリスクを理解し、大人が責任を持って管理することが大切です。この点を押さえれば、家庭における「頼れる守護者」として安心感を与えてくれる存在になるでしょう。

運動量の多さ

グレート・ピレニーズは、その巨大な体格や牧羊犬としての歴史から「とても運動量が必要なのではないか」と思われがちですが、実際には中程度の運動量を好む犬種です。つまり、他の牧羊犬(ボーダー・コリーやシェパードなど)のように絶えず走り回る必要はなく、むしろゆったりとした散歩や見回りのような活動を好む傾向があります。

もともとピレニーズは、山岳地帯で家畜を外敵から守る役割を担ってきました。その仕事は羊を追い立てることではなく、群れのそばに寄り添い、広い範囲をゆっくり歩きながら見守ることです。そのため、瞬発力や俊敏な動きを要求されるよりも、持久力と冷静さが求められてきました。この歴史的背景から、現在のピレニーズも「毎日数時間走らなければならない」というタイプではなく、「ある程度まとまった散歩で満足できる」性質を持っています。

具体的な運動量としては、成犬であれば1日あたり合計1〜2時間程度の散歩が理想です。1回30〜40分程度の散歩を朝夕2回行うのが基本的なスタイルになります。体力的にはもっと長く歩くことも可能ですが、関節や骨格への負担を考えると過度な運動は避けた方が無難です。特に子犬やシニア犬では、骨や関節にダメージを与えるような長時間の運動や激しい走行は控えるべきです。

ただし、運動は「量」だけでなく「質」も大切です。ピレニーズは非常に知能が高いため、単調な散歩だけでは退屈を感じてしまうことがあります。そのため、散歩のルートを変える、芝生や森の中など自然の多い場所に連れて行くといった工夫が有効です。また、牧羊犬としての名残から「見守る」「監視する」といった行動を好むため、広い庭や安全なドッグランで自由に歩かせる時間を設けることも精神的な満足につながります。

注意すべき点として、ピレニーズは暑さに弱い犬種であることが挙げられます。厚い被毛は寒冷地では強みですが、夏場の運動では体温が上がりやすく、熱中症のリスクが高まります。そのため、夏季の散歩は早朝や夕方など涼しい時間帯に行い、日中の炎天下での運動は避けることが必須です。また、水分補給をこまめに行い、無理をさせないよう注意しましょう。

一方で、運動不足は健康面に悪影響を及ぼします。ピレニーズは体が大きいため、肥満になりやすい傾向があります。肥満は関節や心臓に過度な負担をかけ、寿命を縮める原因となるため、毎日の運動習慣は欠かせません。特に高カロリーな食事を与えている場合には、適度な運動でエネルギーを消費させることが必要です。

精神的な面から見ても、運動は非常に重要です。ピレニーズは警戒心が強く、自分のテリトリーを守る本能があるため、運動や散歩を通じて外の刺激を取り入れることは、社会化やストレス解消に役立ちます。外の世界に触れることで、過剰な警戒心や吠え癖を和らげる効果も期待できます。

まとめると、グレート・ピレニーズは「走り回ることを必要としないが、日々の適度な運動を欠かせない犬種」です。長時間の激しい運動よりも、毎日ゆったりとした散歩を継続することが健康と精神の安定に直結します。広い庭や自然の多い環境があれば理想的ですが、都市部で暮らす場合でも時間をかけた散歩を続けることで十分に満足させることが可能です。運動を「負担」と捉えるのではなく、「犬と共にゆったり歩く時間」として楽しむことで、ピレニーズにとっても飼い主にとっても豊かな日常が築かれるでしょう。

体の特徴・被毛・毛色の特徴

グレート・ピレニーズは、ひと目見れば忘れられないほどの存在感を放つ大型犬です。その姿は「堂々として優雅」「白銀の巨人」と形容されることが多く、家庭に迎えれば一種の安心感と威厳を与えてくれるでしょう。ここでは、その体格や被毛、毛色といった外見的な特徴について詳しく解説します。

まず体格についてですが、グレート・ピレニーズはオスで体高70〜80cm、体重50〜60kgに達する非常に大きな犬種です。メスもやや小ぶりとはいえ体高65〜75cm、体重40〜50kg前後あり、小型犬や中型犬とは一線を画す迫力を持っています。骨格はしっかりしており、胸が深く広く、全体的にバランスの取れた体型です。筋肉質ですが、他の大型犬のように引き締まった「スポーツ型」ではなく、ややゆったりとした体つきをしています。この風格ある体型は、単なる力強さではなく「落ち着きと威厳」を感じさせるものです。

次に特徴的なのは被毛です。グレート・ピレニーズは二重構造の被毛を持っており、外側は長くてまっすぐ、またはやや波打った上毛、内側は密度の高い柔らかい下毛で覆われています。この豊かな被毛は寒冷地での生活に適応したもので、雪や雨を弾き、厳しい気候から体を守ります。実際に彼らは雪山の中でも平然と過ごすことができるほど寒さに強いのです。その一方で、暑さには弱いため、夏場の管理には特に注意が必要になります。

毛の長さは特に首回りや肩の部分で豊かになり、雄犬ではライオンのたてがみのようにふさふさとした印象を与えることがあります。尾も長く豊かで、下ろしているときは羽毛のように優雅に垂れ下がり、興奮したり警戒しているときは背の上に巻き上がることがあります。この尾の動きは感情表現のひとつとしても読み取ることができます。

毛色については、基本的には「純白」が最も一般的で理想とされていますが、耳や顔、尾の付け根などにわずかな色斑が入ることも認められています。その斑の色は薄いグレー、バジャー色(茶色が混ざった灰色)、淡い黄色、オレンジなどがあり、犬によって個性が出ます。完全な真っ白も美しいですが、色斑を持つ個体もピレニーズならではの魅力を感じさせます。

被毛の手入れは欠かせません。厚い二重毛は抜け毛が多く、特に換毛期には大量の毛が抜け落ちます。ブラッシングを怠ると毛玉ができ、皮膚トラブルの原因になります。そのため、週に2〜3回、換毛期には毎日のブラッシングが理想です。長毛ではありますが、毛質が比較的まっすぐで汚れが付きにくいため、シャンプーは月1回程度で十分とされています。なお、耳や足裏、しっぽ周りなどは毛が絡まりやすいため、特に注意してケアする必要があります。

また、体の特徴として忘れてはならないのが「狼爪」です。グレート・ピレニーズは前肢だけでなく後肢にも二重の狼爪(二重の親指のような指)があることが多く、これは牧羊犬として山岳地帯を移動する際にバランスを取るための進化と考えられています。この狼爪は犬種の標準としても重要視されており、ショードッグでは欠損していないことが望ましいとされています。家庭犬の場合も、伸びすぎるとケガの原因になるため、定期的に爪切りをして清潔に保つことが必要です。

顔立ちは優しく、アーモンド型の暗色の瞳が落ち着いた印象を与えます。耳は中くらいの大きさで垂れており、表情全体が「穏やかで安心感のある守護者」を思わせます。その見た目通り、性格も穏やかで辛抱強いため、多くの家庭で「安心できる大型犬」として愛されているのです。

まとめると、グレート・ピレニーズは体格の大きさと豊かな被毛、そして独特の毛色の美しさによって圧倒的な存在感を持つ犬種です。その外見はただ迫力があるだけでなく、同時に優雅さと落ち着きを兼ね備えており、まさに「守護者」と呼ぶにふさわしい姿をしています。ただし、その被毛の手入れや暑さ対策といった管理は欠かせないため、飼い主には定期的なケアを続ける根気が求められる犬種でもあります。

里親・ブリーダー・値段

グレート・ピレニーズはその美しい外見と穏やかな性格から根強い人気を持つ犬種ですが、日本では飼育頭数が決して多くはないため、入手方法や価格、そして里親制度の現状について正しく理解しておくことが大切です。ここでは、ブリーダーから迎える場合、ペットショップや里親募集から迎える場合の違いや注意点を詳しく解説していきます。

まず入手方法として一般的なのは「ブリーダー」から迎えることです。グレート・ピレニーズは大型犬であり、適切なブリーディングには広い飼育環境や血統管理の知識が必要です。そのため、信頼できるブリーダーを選ぶことが極めて重要です。優良なブリーダーは、親犬に対して股関節形成不全や遺伝性疾患の検査を行い、性格的にも穏やかで家庭向きの犬を繁殖させています。子犬を迎える前には、ブリーダーの施設を見学し、衛生管理や犬の扱い方を確認することが望ましいでしょう。

価格帯については、グレート・ピレニーズの子犬はおおよそ20万〜40万円程度が一般的です。特に血統が優れている、ショータイプである、毛並みが美しいといった条件を満たす子犬は、40万円以上の価格がつくことも珍しくありません。一方で、ペットタイプ(繁殖やショーには不向きだが家庭犬としては問題ない個体)であれば、比較的リーズナブルな価格で譲渡される場合もあります。

ペットショップで見かけることは稀ですが、都市部の大型ペットショップなどではまれに取り扱われることがあります。ただし、ペットショップ経由の子犬は親犬の健康状態や育成環境が不明な場合が多いため、できるだけ信頼できるブリーダーから迎えるのが望ましいといえます。

次に「里親制度」についてです。グレート・ピレニーズは人気のある犬種ですが、その大きさや飼育の大変さから「飼いきれない」という理由で保護団体や愛護センターに持ち込まれるケースも少なくありません。特に子犬の頃はぬいぐるみのように可愛らしくても、成長すると50kgを超える巨体になり、散歩や食費、被毛の手入れといった日常の世話に負担を感じて手放される例があるのです。そのため、保護犬として里親募集に出ているピレニーズに出会う可能性もあります。

里親として迎える場合は、譲渡費用として数万円程度(医療費やワクチン代の一部負担)が必要になるのが一般的です。ブリーダーから迎えるより費用は抑えられますが、その犬が過去にどのような飼育環境で育ったか、性格に偏りがないか、病気の有無などをよく確認することが大切です。保護団体は譲渡前に面談や飼育環境の確認を行うことが多く、犬にとって安心できる家庭に迎えられるよう慎重に進めています。里親になることは命を救う選択肢であり、特に大型犬であるピレニーズには大変意義のあることです。

また、入手費用だけでなく「飼育にかかるコスト」も考慮しなければなりません。大型犬であるグレート・ピレニーズは、毎日の食事量が多く、フード代は小型犬の数倍にのぼります。さらに定期的なトリミングは不要ですが、シャンプーやブラッシングにかかる手間やケア用品の費用も必要です。医療費に関しても、大型犬の手術や治療は小型犬に比べて高額になりやすいため、万が一のときに備えてペット保険に加入しておくことを強くおすすめします。

まとめると、グレート・ピレニーズを迎える方法は「ブリーダー」「ペットショップ」「里親制度」の3つがあり、それぞれにメリットと注意点があります。価格だけを基準にせず、親犬の健康管理や育成環境、そして自分の家庭が大型犬を飼うのにふさわしいかどうかを十分に考えることが大切です。特に里親という選択肢は、犬に新しい人生を与える尊い行為である一方で、過去の経験からくる性格的な偏りへの理解と覚悟も必要になります。いずれの方法を選んでも、迎えた後にかかる継続的な費用と手間を見据え、「一生を共にできるか」という視点を忘れないことが、グレート・ピレニーズとの幸せな暮らしにつながります。

グレート・ピレニーズの動画集

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グレート・ピレニーズの動画 その1

グレート・ピレニーズの動画 その2

グレート・ピレニーズの動画 その3

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