【ドイツが生んだ秘蔵の至宝、ワイマラナー】

ワイマラナーの基本情報(性格・しつけ・病気など)

 
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ワイマラナー
[英記]:Weimaraner

    ◇基本データ
  • ・サイズ: 大型犬
  • ・体高:55cm~70cm
  • ・体重:25kg~35kg

  • ◇起源・歴史・沿革・系統:
  • ワイマラナーの起源は、はっきりはわかっていません。
    一説には、フランスのサン・ルイ地方に生息していた灰色の犬が起源だとする説もあります。

    19世紀に交配による品種改良が進められ(マスティフとポインターの交配により改良されたという説が有力)、 現在の形になったと言われています。
    また、19世紀後半?20世紀初頭ごろまでのドイツのワイマール地方で貴族にて狩猟犬 (獲物の追い立てと回収の両方を行う珍しいタイプ)として飼われていたことが知られています。
    当時は、ワイマラナー愛好家のクラブ会員内でのみ譲渡されることができるルールだったため、 ドイツ国内のみで飼われており、海外へのこのワイマラナーの渡来がされていませんでした。

    ワイマラナーが出だした初期にはポインターの一種と考えられ、 ワイマール・ポインターと呼ばれていたこともあります。
    ジャーマン・ショートヘアー・ポインター、ブラッド・ハウンド等と種として近い犬種であるとも言われています。

    また、グレーの被毛が象徴的に有名なワイマラナーですが、アメリカでは『灰色の精霊』とも呼ばれています。


    ◇こんなスタイルで犬を飼いたい方・こんな状況の方との相性Good!!
    ・愛犬と運動するのが大好き。体力に自信がある
    ・ドッグスポーツも考えたい
    ・毎日、ある程度の時間を作って一緒にいてあげることができる
ワイマラナーのメイン写真 ワイマラナーの特徴評価グラフ

しつけのしやすさ

ワイマラナーは、その堂々とした姿と気品のあるグレーの被毛で知られるドイツ原産の犬種です。元々は狩猟犬として飼育されてきた歴史を持ち、人間と協働することを非常に好むため、飼い主に対する忠誠心や指示を理解しようとする姿勢が強く見られます。そのため、一般的に「しつけが入りやすい犬種」と考えられていますが、同時に初心者にとってはやや扱いが難しい一面も持っています。

しつけがしやすい理由の一つは、彼らの高い知能です。ワイマラナーは新しいコマンドを素早く習得し、学んだことを長く記憶できる力を持っています。基本的な「おすわり」「まて」「ふせ」といった服従訓練は比較的短期間で身につけることが可能です。ただし、高い知能は「飼い主を試す」行動につながることもあり、時には指示を無視したり、自分の判断で動いたりする姿も見られます。したがって、しつけにおいては一貫性と毅然とした態度が欠かせません。

また、ワイマラナーは非常にエネルギッシュで、精神的な刺激を求める傾向があります。単調な訓練や、放置時間が長すぎる生活は、彼らにとって大きなストレスとなり、問題行動につながりやすいのです。例えば、退屈すると家具をかじったり、穴を掘ったり、過剰な吠えにつながる場合もあります。そのため、しつけの際には「体を動かす運動」と「頭を使う遊び」を組み合わせて取り入れることが重要です。アジリティやノーズワーク、オビディエンストレーニング(服従訓練競技)など、頭と体の両方を使う活動は特に効果的です。

一方で、ワイマラナーは非常に人懐こく、飼い主に強い愛着を抱く犬種としても知られています。この「強すぎる絆」はポジティブな側面もありますが、同時に分離不安を引き起こしやすいというリスクを伴います。飼い主が留守にすると強い不安を感じ、破壊行動に出たり、パニックを起こすことがあります。このような特性を考えると、子犬の頃から少しずつ「ひとりで過ごす練習」を取り入れることが不可欠です。短時間の留守番から始めて、徐々に時間を延ばしていく方法が有効です。

しつけの過程において、体罰や威圧的な態度は逆効果となります。ワイマラナーは敏感で、飼い主の声のトーンや感情を鋭く察知するため、怒鳴ったり強く叱ったりすると、恐怖や不信感を抱きやすいのです。望ましいのはポジティブ・トレーニング、すなわち良い行動を褒めて強化する方法です。特にフードや遊びを報酬として使うと、彼らは楽しみながら学習を進めることができます。

まとめると、ワイマラナーは「賢く、学習能力が高い」ためしつけがしやすい犬種に分類されます。しかしその一方で「エネルギッシュで退屈しやすい」「人への依存心が強い」という特性を持ち、工夫を怠ると問題行動につながりやすい側面もあります。したがって、しつけにおいては一貫性、精神的・肉体的刺激のバランス、そしてポジティブな強化法を心がけることが大切です。特に初めて犬を飼う方にとっては挑戦的な犬種となるかもしれませんが、正しい方向でしつけを積み重ねていけば、非常に頼もしく、忠実なパートナーになってくれるでしょう。

気性の穏やかさ・性格

ワイマラナーの性格を一言で表すと「人間との深い絆を求める、情熱的で活動的なコンパニオン」と言えるでしょう。もともとドイツで大型獣を追うための狩猟犬として作出された背景を持つため、勇敢さや自立心、そして高い集中力を備えています。しかし同時に、家庭犬として長年親しまれる中で、人間との密接なつながりを何より大切にする気質を強く残しています。これらの特性が融合することで、ワイマラナー特有の独特な性格が形づくられています。

まず、ワイマラナーは非常に愛情深く、飼い主への依存心が強い犬種です。彼らは「べったり型」の犬として知られており、家の中では常に飼い主のそばにいたがる傾向があります。寝室やリビング、時にはバスルームまでついてくることも珍しくなく、その姿から「影のような犬(Velcro dog)」と呼ばれることさえあります。このような忠誠心の強さは、家庭犬としては大きな魅力ですが、前述したように分離不安につながる可能性がある点には注意が必要です。

気性の面では、一般的にワイマラナーは穏やかさと落ち着きを見せる一方、警戒心や敏感さを併せ持っています。特に子犬期や若齢期はエネルギーがあふれており、落ち着きがないように感じることもあるでしょう。しかし適切に運動やトレーニングを積むことで、成犬になる頃には家庭内で落ち着きを見せ、穏やかで優しいパートナーへと成長します。性格形成においては「適切な社会化」が極めて重要で、幼少期からさまざまな人や犬、環境に触れさせることで、不要な警戒心や臆病さを減らすことができます。

勇敢で自信にあふれる一面も、ワイマラナーの特徴です。もともと狩猟犬であるため、物音や動くものに対して即座に反応し、時に番犬的な振る舞いを見せます。ただし、攻撃的というよりも「家族を守るために立ち向かう」タイプであり、基本的には人懐こく、知らない人にも比較的フレンドリーです。むしろ過度に社交的で、来客や通りすがりの人に愛想よく接する個体も多く見られます。

もう一つ注目すべき性格の側面は「高い知能と繊細さの両立」です。ワイマラナーは飼い主の声色や表情を敏感に読み取るため、叱責や怒鳴り声に強いストレスを感じることがあります。逆に、優しくポジティブに接すると、期待以上のパフォーマンスを見せてくれるのです。このような性格から、ワイマラナーは「共感力のある犬」とも言えるでしょう。飼い主の気分が落ち込んでいるときにそっと寄り添い、喜びや興奮を共有することを好む姿は、多くの飼い主にとって癒しとなります。

一方で、活動欲求が満たされない場合、性格的に「落ち着きのなさ」や「神経質さ」が強く表れることもあります。十分な運動や遊びが与えられないと、不満がたまり、吠え癖や破壊行動に発展する可能性があります。これは「性格が悪い」というよりも、本来持つエネルギーを発散できていないことによるストレス反応です。そのため、彼らの性格をより穏やかに保つためには、適度な運動と精神的刺激を生活の中で確保することが必須条件と言えます。

総合すると、ワイマラナーは「愛情深く忠実で、勇敢でありながら繊細」という多面的な性格を持つ犬種です。落ち着きや穏やかさは、しつけとライフスタイルの調和によって引き出されます。日常的に飼い主と時間を共有し、活動を楽しむことができれば、彼らは家庭にとって理想的な伴侶犬となります。逆に言えば、長時間の留守番や運動不足が続く環境では、ワイマラナー本来の魅力を発揮しきれず、問題行動が目立つ性格に見えてしまう可能性があります。適切な理解と関わり方さえあれば、その穏やかで情熱的な気質は、他の犬種にはない大きな魅力として飼い主に寄り添ってくれるでしょう。

病気・けがへの強さ・寿命

ワイマラナーは頑健な狩猟犬として改良されてきた犬種であり、全体的には体格がしっかりしていて丈夫な部類に入ります。しかし「健康的に見える=病気にかかりにくい」というわけではなく、特定の犬種に共通する遺伝的リスクや体型に由来する病気のリスクが存在します。そのため、ワイマラナーの健康を守るためには「どんな病気にかかりやすいか」「予防のために何を心がけるべきか」を知っておくことが不可欠です。

寿命については、ワイマラナーはおおよそ10〜13年程度とされています。大型犬としては標準的からやや長めの寿命であり、適切なケアを行えば13年以上健康に過ごす個体も少なくありません。特に食事管理、定期的な運動、そして予防医療を徹底することが寿命を延ばす鍵となります。

まず注意すべき病気の一つが「胃拡張・胃捻転症候群」です。これは胸の深い体型を持つ大型犬に多く見られる急性疾患で、胃がガスや食物で膨らんでねじれてしまう病気です。発症すると急激に苦しみ、放置すると数時間で命に関わる危険があります。予防策としては、食事を一度に大量に与えず複数回に分けること、食後すぐに激しい運動をさせないこと、早食いを防ぐ工夫をすることなどが挙げられます。

次に「股関節形成不全」や「肘関節形成不全」などの関節疾患も注意が必要です。これらは遺伝的な要因に加えて、成長期の過度な運動や不適切な栄養管理によって悪化することがあります。成犬になるまでは過度にジャンプをさせたり、階段を頻繁に昇り降りさせたりしないことが望ましいでしょう。また、体重管理も関節への負担を軽減する重要な要素です。

さらに「甲状腺機能低下症」や「自己免疫疾患」などの内分泌・免疫系の病気も比較的見られる犬種です。これらは見た目ではわかりにくいことが多く、元気がない、毛が薄くなる、皮膚が荒れる、太りやすくなるといったサインで気づかれることがあります。定期的な血液検査によって早期に発見し、投薬などで管理することが可能です。

皮膚に関しては、ワイマラナーの短毛は比較的手入れがしやすいものの、アレルギー性皮膚炎やホットスポット(急性湿疹)が起こることもあります。特に環境アレルギーや食物アレルギーの傾向を持つ個体は、かゆみや赤み、脱毛が繰り返される場合があります。この場合は食事療法や環境調整が必要となります。

また、眼の疾患としては「進行性網膜萎縮症(PRA)」や「白内障」が報告されています。これらは徐々に視力が低下する病気であり、遺伝的要因が関わることが多いため、信頼できるブリーダーからの迎え入れが予防につながります。

けがに関しては、ワイマラナーは活動的で走り回るのが大好きな犬種のため、外傷のリスクが比較的高いといえます。特に狩猟犬としての本能が強く、走行中に草むらや藪に突っ込んで擦過傷を負ったり、足をひねったりすることもあります。そのため、散歩や運動の際には安全な環境を整えることが大切です。

総合すると、ワイマラナーは全体的に健康で寿命も安定した犬種ではあるものの、胃捻転や関節疾患といった大型犬特有のリスク、さらに遺伝的な疾患に注意を払う必要があります。定期的な健康診断、適切な食事管理、運動量のコントロールが健康寿命を延ばす大きなポイントとなるでしょう。飼い主が病気やけがのリスクを理解し、予防的なケアを実践していけば、ワイマラナーはその長い人生を元気に、そして家族と共に充実して過ごすことができます。

他の犬や子どもとの同居しやすさ

ワイマラナーは人間との強い絆を求める犬種であり、家庭内での生活に非常によく馴染むことができます。しかし「他の犬や子どもと一緒に暮らす」という視点で見ると、その特性を正しく理解し、環境を整えることが重要です。特にワイマラナーは狩猟犬としての本能と高いエネルギーを持ち合わせているため、その点を踏まえた接し方が必要となります。

まず子どもとの関係についてですが、ワイマラナーは基本的に人懐こく、愛情深い性格を持っています。そのため、子どもに対しても比較的友好的に接する傾向があります。特に「家族の一員」と認識した子どもに対しては、保護本能のような態度を見せることもあります。しかしながら、大型犬であり力も強いため、小さな子どもと接する際には注意が必要です。無邪気な遊びの中で犬が興奮しすぎると、思わぬ接触で子どもを転ばせてしまったり、体当たりのような形で怪我をさせてしまう可能性があります。従って、子どもとワイマラナーを一緒に遊ばせる場合は、必ず大人が同席し、双方の安全を守ることが基本となります。

また、ワイマラナーは非常に活動的なため、子どもと一緒に外で遊ぶことで良い関係を築けることが多いです。フリスビーやボール遊び、走り回る遊びなどは、犬と子ども双方にとって楽しい体験となり、絆を深める機会にもなります。一方で、子どもがまだ犬との接し方を理解していない場合、犬の耳や尾を引っ張ったり、食事中に手を出したりすることで、ワイマラナーが不快感を示す可能性があります。したがって、子どもに対して「犬への正しい接し方」を教えることも同居成功の大きなポイントです。

次に、他の犬との関係性について見てみましょう。ワイマラナーは本来、猟犬として群れで行動することも多かったため、他犬との共存が不可能というわけではありません。しかし、個体差が大きく、社会化の度合いによって大きく左右されます。特に成犬になってから他犬と触れ合う機会が少なかった場合、強い警戒心を示したり、攻撃的な態度に出ることもあります。従って、子犬のうちから他の犬と遊ぶ経験を積ませる「社会化トレーニング」が非常に大切です。

また、ワイマラナーは猟欲(獲物を追う本能)が強いため、小型犬や小動物との同居には注意が必要です。動くものを追いかける習性があるため、ハムスターやウサギ、猫といった小動物とは安全に暮らすのが難しいケースもあります。一方、中型犬や大型犬であれば比較的うまく共存できることが多いですが、遊びが激しくなりすぎることもあるため、双方の犬が疲れすぎないようコントロールすることが重要です。

加えて、ワイマラナーは非常に人間に依存しやすい性格を持つため、他の犬よりも「飼い主の愛情を独占したい」という傾向が強く出ることがあります。このため、家庭内に複数の犬がいる場合は、嫉妬心から問題行動が見られる場合もあります。こうした状況を防ぐには、それぞれの犬に平等に愛情を注ぎ、飼い主がリーダーシップを持って生活を管理することが大切です。

まとめると、ワイマラナーは人間への愛情が深いため子どもとも良好な関係を築きやすいものの、大型犬としての力強さや興奮のしやすさを考慮し、大人の監督下で関わらせることが基本です。他の犬との同居については、子犬期からの社会化がうまくいけば問題なく共存できる一方で、小動物や小型犬との関係には注意が必要です。家庭に迎える際には「この犬種の本能や特性」を十分に理解し、環境と接し方を工夫することが、同居を円滑にする大きな鍵となります。

運動量の多さ

ワイマラナーは、そのしなやかな筋肉質の体つきと、狩猟犬としての起源が示す通り、非常に高い運動欲求を持つ犬種です。単に散歩を楽しむ程度では満足せず、毎日の生活の中で十分な運動量と精神的刺激を確保しなければ、ストレスや問題行動へとつながる可能性が高い犬です。

もともとワイマラナーはドイツでシカやイノシシといった大型獣を追跡・捕獲するために使役されていた歴史を持ちます。そのため、長時間走り続ける持久力と瞬発力を兼ね備えており、ただの散歩だけでは本来の能力を発揮しきれません。成犬のワイマラナーには、少なくとも1日に2時間以上のしっかりとした運動が必要とされます。散歩は1回15分程度では不十分で、1時間を超える散歩や、ジョギング、サイクリングに合わせて走らせるような活動が望ましいでしょう。

また、ワイマラナーは単に体を動かすだけでは満足しない傾向があります。非常に知能が高いため、精神的な刺激を得られないと、エネルギーが発散しきれずに退屈を感じ、家具の破壊や過剰な吠えといった問題行動につながりやすいのです。したがって、運動の中には頭を使う要素を取り入れることが推奨されます。具体的には、ノーズワーク(嗅覚を使って物を探す遊び)、服従訓練を兼ねたアジリティ、ボールの持ってこい遊びなどが効果的です。これらは「体力の消耗」と「頭の刺激」の両方を満たし、犬にとって充実感をもたらします。

ワイマラナーの運動量の多さを理解するうえで大切なのは「家の庭が広い=十分な運動になるわけではない」という点です。庭で自由に走り回れる環境はもちろんプラスになりますが、彼らはただ歩き回るだけでは満足しません。飼い主と一緒に活動することで精神的にも満たされる犬種なので、庭だけに任せて放置するのではなく、散歩やトレーニングを通じて「共に運動する時間」を確保することが重要です。

さらに、ワイマラナーは非常にスタミナがあるため、運動不足の状態が続くと不安定な行動を示しやすくなります。例えば、家具をかじる、穴を掘る、必要以上に吠える、あるいは分離不安を悪化させるといった問題が現れることもあります。逆に十分な運動を取り入れることで性格が落ち着き、家庭内でも穏やかに過ごせるようになります。したがって「運動はただの余暇活動ではなく、ワイマラナーの精神的安定のために不可欠な要素」であると考えるべきでしょう。

また、運動には「多様性」を持たせることも大切です。同じ散歩コースばかりでは犬が飽きてしまうことがあるため、ルートを変えたり、新しい場所に連れて行ったりするのも有効です。さらに、キャンプやハイキング、川遊びなどのアウトドア活動は、ワイマラナーの本能を満たすと同時に、家族との絆を深める機会にもなります。特に水遊びを好む個体も多く、泳ぎは関節に負担をかけない全身運動としても非常に効果的です。

子犬期においては注意が必要です。まだ骨格や関節が成長段階にあるため、過度な運動は関節疾患の原因となる可能性があります。特に激しいジャンプや長距離のランニングは避け、年齢に応じた運動量を調整することが重要です。徐々に運動時間や負荷を増やし、成犬になった時に必要な運動量へと慣らしていくのが理想的です。

総じて、ワイマラナーは「運動好き」というよりも「運動なしでは健康を維持できない犬種」と言っても過言ではありません。十分な運動を提供できる家庭でこそ、その魅力的な性格と美しい体躯が活き、家庭犬としての適性を最大限に発揮します。もし運動の時間や環境を確保できない場合には、この犬種を迎えることは難しいと考えたほうが良いでしょう。それほどまでに、ワイマラナーにとって運動は日常生活の基盤となる要素なのです。

体の特徴・被毛・毛色の特徴

ワイマラナーは、その美しい外見から「銀の亡霊(Gray Ghost)」とも呼ばれる犬種です。優雅で力強い体躯と、光沢を帯びた独特のグレーの被毛は、他の犬種にはない唯一無二の魅力を放っています。その姿は芸術的とも言えるほど均整が取れており、狩猟犬としての機能美と家庭犬としての優雅さを兼ね備えています。

まず体格についてですが、ワイマラナーは大型犬に分類されます。雄は肩高59〜70cm、体重30〜40kg前後、雌は肩高57〜65cm、体重25〜35kg前後が一般的です。骨格はしっかりとしており、筋肉質で引き締まった体つきをしています。胸は深く発達しており、狩猟犬らしい持久力とスタミナを備えた体型が特徴です。体全体に無駄な脂肪は少なく、精悍でスポーティーな印象を与えます。

頭部は長く整った形をしており、額はやや広く、口吻はまっすぐで力強い作りです。耳は長く垂れ下がり、やや丸みを帯びた形状をしています。この長い耳は、狩猟の際に音や匂いを効率よく集める役割を果たしていたとも言われています。目はアーモンド型で表情豊かであり、成犬になると淡い琥珀色や灰色がかったブルーの瞳が特徴的です。子犬の頃は鮮やかなブルーの目をしており、成長とともに徐々に変化していく点も魅力のひとつです。

ワイマラナー最大の特徴は、その被毛と毛色です。被毛は短毛種と長毛種が存在しますが、一般的に広く知られているのは短毛のタイプです。短毛は非常に滑らかで光沢があり、体に密着するように生えているため、筋肉の美しさを際立たせます。長毛のワイマラナーは比較的珍しく、ふさふさとした被毛と飾り毛を持ち、耳や尾に美しい羽毛状の毛が現れます。長毛種は寒さにやや強いものの、ショーや家庭犬として飼われることが多く、狩猟に使われることは少ない傾向にあります。

毛色はワイマラナー独自のシルバーグレー、マウスグレー、ブルーグレーなどのバリエーションがあります。光の当たり具合によって色合いが変化し、銀色にも淡い紫がかったグレーにも見えるため、幻想的な印象を与えます。この独特の毛色は他の犬種にはほとんど見られず、世界中でワイマラナーが注目される大きな理由の一つです。被毛の手入れは比較的容易で、短毛の場合は週に数回ブラッシングをする程度で十分です。ただし、皮膚が敏感な犬も多いため、強い力でブラッシングしないよう注意が必要です。

尾は伝統的に断尾されてきましたが、近年では動物福祉の観点から断尾を禁止している国も増えています。自然な尾は長く、活動中は元気よく振られることが多く、犬の感情を豊かに表現します。脚は長く真っ直ぐで、しなやかな動きとスピードを可能にします。

被毛の構造上、ワイマラナーは防寒性に優れているわけではありません。特に短毛の個体は寒さに弱く、冬場は防寒着が必要となることがあります。その一方で、夏の暑さにも弱いため、強い日差しの中での長時間の運動は避けるべきです。したがって、気候への配慮が飼育環境の整備に欠かせません。

このように、ワイマラナーの体の特徴は単に美しいだけでなく、狩猟犬としての実用性を兼ね備えたものです。力強くも優雅な体格、独特の毛色、そして光沢ある被毛は、見る人を魅了する存在感を放ちます。家庭犬として迎える場合でも、その特徴を理解し、手入れや環境に配慮することで、ワイマラナー本来の魅力を存分に堪能することができるでしょう。

里親・ブリーダー・値段

ワイマラナーはその美しい外見と忠実な性格から世界中で人気のある犬種ですが、日本国内ではまだ珍しい部類に入ります。そのため、迎え入れる方法や費用、そして注意すべき点について理解しておくことがとても重要です。

まず入手方法としては「ブリーダーからの購入」「里親制度や保護団体を通じた譲渡」「海外からの輸入」の3つが考えられます。

ブリーダーからの購入についてですが、ワイマラナーは専門的な知識と適切な繁殖管理が不可欠な犬種です。遺伝的疾患(股関節形成不全や眼疾患など)のリスクがあるため、信頼できるブリーダーから迎えることが非常に重要です。健全な繁殖を行っているブリーダーは、両親犬の健康検査(股関節・眼・甲状腺など)を行い、子犬の健康と性格の安定を保証する努力をしています。逆に、見た目の美しさだけを重視して無計画に繁殖を行っている業者から迎えてしまうと、将来的に健康問題を抱える可能性が高くなります。したがって、購入前にはブリーダーの実績や飼育環境を見学し、信頼性を確認することが必要です。

値段については、ワイマラナーは希少性が高い犬種であるため、子犬の価格は一般的に30万円〜60万円程度が相場です。特に血統が優れている個体やショードッグ向けの犬は、それ以上の価格がつくこともあります。さらに、長毛タイプや珍しい毛色の個体は需要が高いため、価格が上がる傾向にあります。購入後も、医療費・食費・しつけ・運動環境の確保など、維持費がかかることを理解しておく必要があります。大型犬であるためフード代も月に1〜2万円は見込むべきでしょう。

次に、里親制度や保護犬について触れておきます。ワイマラナーは高い運動欲求と人への依存心を持つため、飼育が難しいと感じた飼い主が手放してしまうケースも存在します。そのため、日本国内でも保護団体や里親募集サイトにワイマラナーが出ることがあります。里親になる場合、購入費用はかかりませんが、不妊・去勢手術代や医療費の一部負担が必要になることがあります。保護犬を迎える大きな利点は、既に成犬であるため性格がある程度分かっていること、そして新しい家族を求めている犬を救うことができるという点です。ただし、保護犬の中には過去の経験から心に傷を抱えている犬もいるため、時間をかけて信頼関係を築く覚悟が求められます。

海外からの輸入という方法もありますが、輸送にかかる犬のストレスや、輸入手続き、検疫などの負担が大きいため、慎重に検討する必要があります。特に輸入業者を介して入手する場合は、ブリーダーの質を直接確認できないことが多いため、リスクが高いといえるでしょう。

いずれの方法を選ぶにしても大切なのは「ワイマラナーの特性を理解した上で迎える準備を整えること」です。運動量が多く、分離不安を起こしやすい犬種であるため、共働きで長時間家を空ける家庭や、運動時間を十分に確保できない環境では不向きです。迎える前に、自分のライフスタイルがワイマラナーに適しているかを見極めることが欠かせません。

まとめると、ワイマラナーを迎える際には、信頼できるブリーダーから健康で性格の安定した子犬を選ぶか、あるいは里親制度を通じて新しい家族を探している犬を迎える方法が現実的です。値段は高めですが、その分だけ責任と覚悟を持って飼育に臨む必要があります。この犬種の美しさと忠実さを最大限に引き出すためには、単に「飼う」だけでなく「共に生きる」という姿勢が求められるでしょう。

ワイマラナーの動画集

[再生は画像をクリック]

ワイマラナーの動画 その1

ワイマラナーの動画 その2

ワイマラナーの動画 その3

ワイマラナーの人気インスタグラマーご紹介


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