【超優秀な牧羊犬のエリート、ボーダー・コリー】

ボーダー・コリーの基本情報(性格・しつけ・病気など)

 
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ボーダー・コリー
[英記]:Border Collie

    ◇基本データ
  • ・サイズ: 大型犬
  • ・体高:45cm~55cm
  • ・体重:15kg~25kg

  • ◇起源・歴史・沿革・系統:
  • ボーダー・コリーは、スコットランド・コリーの系統の犬種で、牧羊犬(羊を統率する役目)としての活躍が有名です。
    非常に優秀な牧羊犬と評価されています。

    ただ、起源は明確になっていません。
    1説では、8~11世紀ごろにスカンジナビア半島からスコットランドへ渡来した牧畜犬(主にトナカイの牧畜)と、 当時スコットランドに生息していたいくつかのシープドッグ系の犬種と交配されて、 ボーダー・コリーの形になったと言われています。

    牧羊犬としてトップクラスの優秀さであるボーダーコリーは、他の牧羊犬の能力を超えるように改良されていったため、19世紀(1800年代)に1世紀以上をかけて現在のような形が作り上げられていきました。

    当時、実に様々な牧羊犬が存在していましたが、1873年には最初となる牧羊犬の能力を競い合うコンテスト(競技会)が実施されました。

    このコンテストに、ある一頭の犬が出てきていました。
    ヘンプという名前の犬で、このヘンプは羊たちを吠えたり押したりするのではなく、羊を静かに見つめることで(睨みを効かせ)羊をうまく動かしていきました。
    このヘンプという犬は非常にこのコンテストで際立った優秀さとなりましたが、このヘンプの子種で多くの繁殖を行い、それがのちのボーダー・コリーへと発展しました。
    そのため、ヘンプはボーダー・コリーの父と言われています。


    その後、1906年に初めてボーダーコリーの犬種としての基準が作成されましたが、このときの基準は他の犬種の基準とは異質なものになっており、外観に関してはほとんど基準がなく、作業能力としての基準(説明)となっていました。

    この頃、この犬種はまだシープドッグ(牧羊犬)と呼ばれていました。
    ボーダー・コリーという名前が認定されたのは1915年のことになります。
    「ボーダー」という名前の由来は、イングランド側からするとスコットランドは、 国境の向こう側(=ボーダー)であることから来ている説と、スコットランドのボーダーズ州から来ている説、 イングランドとスコットランド・ウェールズそれぞれの国境(=ボーダー)に 生息していたことから来ている説等があります。


    日本には昭和の戦前の時代にオーストラリアから輸入され、このボーダー・コリーという犬種が広まっていきました。


    ◇こんなスタイルで犬を飼いたい方・こんな状況の方との相性Good!!
    ・非常に賢くて運動神経も抜群な、優秀な犬を飼いたい
    ・普段、しっかり運動させてあげることができる
    ・しつけはきちんとできる(見下されないように普段接する態度もきちんとできる)
ボーダー・コリーのメイン写真 ボーダー・コリーの特徴評価グラフ

しつけのしやすさ

ボーダー・コリーは世界的に「最も知能が高い犬種」として広く認識されています。スタンリー・コレン博士による犬の知能ランキングでも常に第1位に位置づけられており、言語理解能力や問題解決能力において群を抜いた実力を持っています。この賢さはしつけにおいて大きなメリットとなり、基本的なコマンド(おすわり、待て、伏せなど)から高度な作業(羊の群れを誘導する複雑な動き、アジリティ競技の障害走破など)まで習得が非常に早いのが特徴です。

しかし、ここで重要なのは「しつけがしやすい=誰にでも扱いやすい」という意味ではないという点です。ボーダー・コリーは新しい課題を学ぶのが得意である反面、精神的刺激を必要とする犬でもあります。つまり、飼い主が一貫したルールを持ち、常に新しい挑戦や学習機会を提供できなければ、犬は退屈しやすく、問題行動へとつながる恐れがあるのです。例えば、十分な知的刺激を与えられない場合、家具を噛む、吠え続ける、無駄に走り回るといった行動が見られることがあります。

また、ボーダー・コリーは他の犬種に比べて人間の動作や表情を敏感に読み取る能力が高いといわれています。そのため、トレーニングをする際は飼い主の態度や感情がそのまま犬に伝わりやすく、イライラや不安定な態度を見せると犬も混乱してしまいます。一方で、落ち着いた指示や褒め方を徹底すれば、犬は自信を持って行動を覚えていきます。この点からも、しつけにおいては「高い知能を尊重し、学ぶ楽しさを犬と共有する」姿勢が大切になります。

具体的な方法としては、短時間で区切った反復練習が効果的です。長時間だらだらと練習するよりも、数分間の集中トレーニングを1日に数回行う方が効率よく習得します。また、ボーダー・コリーは食べ物だけでなく、ボールやディスクを使った遊び、飼い主からの褒め言葉も強い報酬となりますので、複数のモチベーションを組み合わせるとより高い学習効果が得られます。

ただし、しつけを行ううえで注意すべき点として「過剰に頭を使わせること」も挙げられます。賢さゆえに高度なトレーニングを無限に課したくなりますが、犬にとってはプレッシャーやストレスの原因にもなります。しつけのバランスを保ち、学習とリラックスの時間を上手に配分することが、長く健康的に付き合っていくためのコツです。

まとめると、ボーダー・コリーは極めてしつけがしやすい犬種であることは間違いありません。しかし、それはあくまで「飼い主が犬の能力を理解し、適切に導ける場合」に限ります。高い知能を持つがゆえに、甘やかすとすぐに我流の行動パターンを作り出してしまうこともあり、飼い主の一貫性と責任感が欠かせません。家庭犬として迎える際には、「学習意欲を満たしつつ、安心感を与える育て方」が何よりも重要といえるでしょう。

気性の穏やかさ・性格

ボーダー・コリーは、その見た目の愛らしさと牧羊犬としての知能の高さから、世界中で人気を集めています。しかし、性格を一言で表現するとすれば「エネルギッシュで繊細、かつ仕事熱心」という表現が最も適切でしょう。一般的な家庭犬と比較すると、その気質には牧羊犬特有の独自性が色濃く表れています。

まず、ボーダー・コリーの性格の最大の特徴は「仕事への執着心」です。彼らは何世代にもわたって羊を追い、飼い主の指示を敏感に察知して群れをコントロールするよう改良されてきました。そのため、常に「何かをすること」を求める傾向があり、活動に意味や目的を見出すことが性格形成において大きな要素となっています。家庭犬として迎え入れた場合も、この本能は強く残っており、散歩や遊びの中で「課題を与える」ことで心の安定につながります。

次に、ボーダー・コリーは非常に繊細で人間の感情に共鳴しやすい犬種です。飼い主が落ち込んでいれば静かに寄り添い、楽しそうにしていれば一緒に弾けるように遊びたがります。この感受性の高さは、愛情深さとして飼い主にとって大きな魅力になる一方で、環境の変化や強い叱責には弱い一面となります。強い声で叱ると必要以上に萎縮してしまったり、逆に過敏な行動につながることもあります。そのため、性格の柔らかさを引き出すには「褒めて伸ばす」関わり方が基本となります。

一方で、ボーダー・コリーは見知らぬ人や環境に対して警戒心を持つことがあります。これは攻撃性とは異なり、本能的な観察力や注意深さの表れです。初めて会う人や犬に対しては距離を取り、じっくりと相手の行動を見極めようとする傾向があります。十分に慣れて信頼関係を築けばフレンドリーさを見せますが、初対面から社交的というよりは「慎重派」と言えるでしょう。

また、性格面で特筆すべきは「集中力の高さ」です。牧羊犬としての血統は、長時間にわたり羊の動きを追い続ける忍耐力を育みました。現代でもこの特性は健在で、ひとたびボールやディスク遊びを始めると、飽きることなく集中し続ける姿が見られます。この特性は競技犬として非常に優れた能力を発揮する一方で、日常生活ではエネルギーを発散させる工夫を怠ると落ち着きがなくなる要因ともなります。

さらに、家庭内では「家族に強い愛着を示す」傾向があります。飼い主への忠誠心が強く、命令に従うことだけでなく、一緒にいる時間そのものを喜びと感じます。家族の生活リズムに敏感で、誰かが外出すれば寂しがる、帰宅すれば大喜びする、といった行動もよく見られます。反面、孤独に耐えるのは得意ではなく、長時間の留守番はストレスにつながりやすい犬種です。

気性の穏やかさという点では、適切に運動と知的刺激を与えている限り、家庭内で非常に落ち着いて過ごすことができます。ソファの横に寄り添ってリラックスする姿も見られますが、それは「十分にやるべきことをやった後」であることが多いのです。エネルギーを発散させられない場合は、吠え癖や破壊行動といった問題が表面化し、性格の一面を誤解されやすくなります。

まとめると、ボーダー・コリーは「落ち着きと活発さ」をあわせ持つ非常にバランスの取れた性格ですが、その穏やかさは自然に備わっているものではなく、日々の関わり方や生活環境によって大きく左右されます。飼い主が犬の知能と感受性を理解し、適度な刺激と安心できる環境を提供できれば、ボーダー・コリーは家庭において最良のパートナーとなり得る存在です。

病気・けがへの強さ・寿命

ボーダー・コリーは、牧羊犬として人間とともに働くために改良されてきた犬種です。そのため、一般的に健康で体力もあり、丈夫な犬として知られています。適切な環境で育てられれば、平均寿命は12〜15年程度と比較的長寿です。なかには16歳以上まで元気に過ごす個体もおり、長く家族の一員として共に暮らせる犬種といえるでしょう。

しかし、ボーダー・コリーには特有の遺伝的な病気や注意すべき疾患がいくつか存在します。賢くて活発な犬種だからこそ、病気の予防や早期発見が健康寿命を大きく左右します。以下に代表的な病気やけがのリスクを挙げて解説します。

まず、遺伝的に知られている疾患のひとつが「コリーアイ異常(Collie Eye Anomaly:CEA)」です。これは網膜や脈絡膜など目の内部構造に異常が生じる遺伝性疾患で、軽度では視覚に大きな影響を与えませんが、重度の場合は失明に至ることもあります。CEAは子犬の段階で眼科検査を行うことで発見できるため、信頼できるブリーダーから迎えることが大切です。

次に注意したいのが「股関節形成不全」です。大型犬や牧羊犬に多く見られる骨格系の病気で、股関節の発達が不完全であるために歩行時に痛みや違和感が生じます。成長期に過度な運動をさせたり、滑りやすい床で生活させることがリスクを高めるため、子犬期から環境を整えて予防することが重要です。定期的な運動は必要ですが、成長期に無理なジャンプや過剰な走り込みを避けることが望ましいでしょう。

さらに、ボーダー・コリーは非常に活発な犬であるため「運動中のけが」にも注意が必要です。ボール遊びやフリスビー、アジリティ競技などで高いジャンプや急な方向転換を繰り返すと、関節や靭帯に負担がかかり、膝蓋骨脱臼や前十字靭帯損傷といったけがを引き起こす可能性があります。遊びやトレーニングの際はウォーミングアップを取り入れ、休息を挟むことがけが防止につながります。

遺伝性疾患のほか、ボーダー・コリーには「てんかん」も比較的多く見られる病気の一つです。原因は完全には解明されていませんが、遺伝的要因が関与していると考えられています。発作が見られた場合は早期に獣医師に相談し、薬による管理を行うことで安定した生活を送ることが可能です。

また、ボーダー・コリーの知能と感受性の高さは健康管理においても影響します。体調不良を隠すことがあるため、飼い主が普段の様子をしっかり観察しておくことが大切です。食欲や元気が少し落ちている、歩き方が普段と違う、といった小さな変化が病気のサインである可能性もあるため、日常の記録をつけると早期発見に役立ちます。

寿命に関しては、遺伝的に大きな問題を抱えていない個体であれば比較的長生きする傾向があります。特に、適切な食事管理と定期的な運動、定期健診を受けていれば、15年以上健康に過ごすことも珍しくありません。

総合的に見ると、ボーダー・コリーは非常に健康的で頑丈な犬種ですが、遺伝性疾患や運動中のけがには注意が必要です。知能が高いため、病気の兆候に気づきにくい部分もありますが、飼い主がしっかりと健康管理を行えば、長く元気で共に暮らすことができるでしょう。予防と観察、この2つがボーダー・コリーの寿命を伸ばすための最大のポイントです。

他の犬や子どもとの同居しやすさ

ボーダー・コリーは、非常に賢くて順応性のある犬種であり、適切な環境としつけがあれば他の犬や子どもとも良好な関係を築くことができます。ただし、牧羊犬としての本能や高いエネルギーレベルが影響するため、他犬や子どもと同居させる際には特有の注意点があります。

まず、他の犬との関係についてです。ボーダー・コリーは社会化がしっかりと行われていれば、フレンドリーに他犬と接することができます。しかし、牧羊犬特有の「群れをまとめる本能」や「動くものを追う性質」が強いため、他犬に対してもコントロールしようとする仕草を見せることがあります。例えば、走り回る小型犬を見て追いかけたり、吠えて動きを止めようとすることがあるのです。これは攻撃性からくる行動ではなく本能によるものですが、相手の犬にとってはストレスとなる場合があります。そのため、子犬期から幅広い犬種と交流を重ね、「追いかけてもよい状況」「我慢すべき状況」を学ばせることが重要です。

また、ボーダー・コリーは知能が高いため、相手の犬の性格を読み取るのが得意です。穏やかな犬には合わせて落ち着いて過ごし、活発な犬には積極的に遊びを仕掛けるといった柔軟さを持ちます。ただし、自己主張の強い犬や攻撃性のある犬との相性はやや難しく、ストレスを抱えることもあります。複数犬と同居させる場合は、性格や活動量のバランスを考えて相性を見極めることが大切です。

次に、子どもとの関係について見てみましょう。ボーダー・コリーは基本的に家族に対して忠実で愛情深いため、子どもとも強い絆を築きやすい犬種です。子どもが遊んでいるときに寄り添ったり、一緒に走り回ることを楽しみます。ただし、ここでも牧羊犬としての本能が影響し、「動く子どもを追いかけて止めようとする」行動が出やすい点に注意が必要です。場合によっては足首を軽く噛んで制御しようとすることもあり、これは本能的な行動ですが、子どもや保護者には驚きを与えるかもしれません。このような行動を予防するためには、子犬の頃から「人を追いかけるのではなく、ボールやディスクを追う」というルールを教えることが有効です。

また、ボーダー・コリーはとても繊細で、荒っぽい扱いを苦手とします。子どもが強く抱きしめたり、尻尾を引っ張るといった行動は犬にとって大きなストレスとなり、防御的な反応につながることもあります。そのため、子どもがいる家庭では「犬との正しい接し方」を教えることが不可欠です。犬を無理に抱きしめない、食事中に邪魔をしない、寝ているときは起こさないといったルールを設ければ、犬も安心して子どもと過ごすことができます。

さらに、ボーダー・コリーは「群れを大切にする性格」を持っているため、家族全体を自分の群れと認識し、見守ろうとする傾向があります。この点は子どもにとって非常に心強い存在となります。外出先で子どもが離れすぎると追いかけて連れ戻そうとする行動が見られることもあり、まるで保護者のような振る舞いを見せることも少なくありません。

まとめると、ボーダー・コリーは他の犬や子どもとの同居に適した犬種ですが、「牧羊犬としての本能」を正しく理解し、適切に制御することが不可欠です。しっかりとした社会化と一貫性のあるしつけを行えば、家族にとって頼もしく優しい存在となり、他の犬や子どもとも調和のとれた関係を築くことができるでしょう。

運動量の多さ

ボーダー・コリーの運動量は、全犬種の中でもトップクラスに位置します。彼らは牧羊犬として何世代にもわたり「一日中羊を追い続ける」作業を担ってきたため、体力と持久力、そして精神的な集中力が非常に高いレベルで備わっています。そのため、普通の家庭犬と同じ感覚での散歩や遊びでは、必要なエネルギーを消費しきれず、ストレスや問題行動に結びつくことが少なくありません。

具体的には、ボーダー・コリーには1日あたり少なくとも2時間以上の運動が推奨されます。これは単なる「のんびりとした散歩」ではなく、走る、跳ぶ、考えるといった複合的な活動が含まれる運動である必要があります。30分程度の散歩を朝夕1回ずつ行った程度では満足せず、むしろ欲求不満が溜まってしまうケースも多く報告されています。

運動の内容として効果的なのは、ボールやフリスビーを使った遊び、アジリティ競技、ハイキングやランニングなどです。特にフリスビーは、ボーダー・コリーの瞬発力と判断力を同時に鍛えることができ、心身の満足度を高めるのに最適です。また、ドッグスポーツは単なる体力発散だけでなく、犬が「飼い主の指示を聞きながら動く」ことを学べるため、しつけや信頼関係の強化にも直結します。

ただし、注意点もあります。過度な運動は関節や筋肉に負担をかけ、けがの原因となります。特に成長期の子犬は骨格が完全に形成されていないため、無理なジャンプや長時間のランニングは避けるべきです。運動は「年齢と体力に合わせた段階的な負荷」が大切であり、体を酷使するのではなく、適度なチャレンジを継続的に与えることが理想です。

また、ボーダー・コリーにとって重要なのは「運動量の多さ」だけではなく「質」です。彼らは非常に頭の良い犬種であるため、単調な運動はすぐに飽きてしまい、精神的な満足感を得られません。知育玩具やトレーニングを組み合わせ、頭を使わせることが大切です。たとえば、散歩中にコマンドを使って止まる・座る・方向転換するといった練習を取り入れるだけでも、ただ歩くだけよりはるかに充実感を得ることができます。

運動不足のボーダー・コリーには、以下のような問題行動が出やすくなります。
・過剰な吠え
・家具や壁を噛む破壊行動
・庭や室内を走り回る落ち着きのなさ
・人や動く物を追いかける過剰な行動

これらは犬が「悪い子だからする」のではなく、「エネルギーを持て余しているサイン」であることがほとんどです。飼い主が適切に運動と刺激を与えることで、多くの場合すぐに改善されます。

まとめると、ボーダー・コリーは他の犬種とは比較にならないほど多くの運動を必要とします。ただし、それは単なる体力発散ではなく「体と頭を同時に使う活動」であることが重要です。フリスビーやアジリティのように目的を持たせた運動を取り入れることで、犬の欲求を満たし、穏やかな性格を引き出すことができます。飼い主が運動と知的刺激をバランスよく提供できるかどうかが、この犬種を家庭犬として迎える際の最大の鍵となるでしょう。

体の特徴・被毛・毛色の特徴

ボーダー・コリーは、見た目の美しさと機能性を兼ね備えた犬種です。その体型や被毛、毛色はすべて、牧羊犬として効率よく働くために適応してきた結果といえます。外見的な魅力と実用性の両立こそ、この犬種の大きな特徴です。

まず体型についてですが、ボーダー・コリーは中型犬に分類され、体高はおよそ48〜56cm、体重は14〜22kg程度が一般的です。体つきはスリムでしなやか、筋肉が均等に発達しており、持久力と瞬発力の両方に優れています。牧羊犬として長時間走り続けながら、急な方向転換や素早い動作を可能にするための体型であり、無駄な脂肪が少なく、軽快な印象を与えます。走る姿はまさに地を滑るようで、特に低姿勢で羊を追うときの動きは「ストーキング」と呼ばれ、ボーダー・コリーならではの独特な姿勢です。

次に被毛についてですが、ボーダー・コリーには大きく分けて「ラフコート(長毛)」と「スムースコート(短毛)」の2種類があります。ラフコートは首回りや胸、尾に飾り毛が豊かに生え、柔らかく美しい見た目が特徴です。一方のスムースコートは毛が短く、手入れがしやすいため、牧羊犬として働く環境ではこちらが好まれることもあります。いずれもダブルコート構造で、外側の上毛は風雨や泥から体を守り、内側の下毛は断熱材の役割を果たして寒さや暑さに対応できるようになっています。これにより、ボーダー・コリーは寒冷地から温暖な地域まで幅広い環境で活動することが可能です。

毛色のバリエーションは非常に豊富で、最もよく知られるのは「ブラック&ホワイト」ですが、それ以外にも「レッド&ホワイト」「ブルーマール」「トライカラー(黒・白・茶の3色)」「リルマール」「セーブル」「チョコレート」など多彩です。特にマール柄は個体ごとに模様の出方が異なり、同じ模様を持つ犬は存在しないといわれるほどユニークです。この多様な毛色は視覚的な魅力だけでなく、牧場で羊と区別しやすくする役割も担っていたと考えられています。

被毛の美しさを保つには、定期的なブラッシングが欠かせません。特にラフコートの場合は毛玉ができやすいため、週に数回は丁寧に梳かしてあげる必要があります。換毛期には大量のアンダーコートが抜け落ちるため、毎日のブラッシングが望ましいでしょう。スムースコートであっても抜け毛は多いので、掃除やお手入れの手間を考えて迎えることが大切です。

また、尾の形状や耳の立ち方も個体によって違いが見られます。尾は豊かな毛で覆われ、通常は低く垂れているものの、興奮すると持ち上げて表情豊かに感情を表現します。耳は完全に立ち耳の個体もいれば、半分だけ垂れた半立ち耳、完全に垂れ耳の個体もおり、これもボーダー・コリーの魅力的な個性の一つです。

まとめると、ボーダー・コリーの体は「機能美」と「多様性」を兼ね備えています。軽快で無駄のない体型は作業犬としての能力を支え、美しい被毛と豊富な毛色は家庭犬としての魅力を高めています。その姿は牧羊犬としての歴史を色濃く反映しつつ、現代では人々を魅了するビジュアル的な存在となっています。外見的な魅力に惹かれて飼う人も多いですが、その背景にある「働くための体」であることを理解することが、この犬種を正しく知る第一歩といえるでしょう。

里親・ブリーダー・値段

ボーダー・コリーはその高い知能と運動能力、そして見た目の美しさから、世界中で高い人気を誇る犬種です。そのため、ペットショップやブリーダー経由での入手はもちろん、保護犬として里親募集に出ているケースも見られます。ただし、ボーダー・コリーを迎える際には「見た目の可愛らしさや賢さだけで選ばない」という姿勢が重要です。この犬種は他の犬以上に飼い主の理解と責任を必要とするからです。

まず、ブリーダーから迎える場合について。信頼できるブリーダーは、単に子犬を販売するのではなく、遺伝的疾患の検査を行い、健康な個体を繁殖させる努力をしています。特にボーダー・コリーはコリーアイ異常(CEA)、てんかん、股関節形成不全などの遺伝性疾患が知られているため、親犬に遺伝子検査を実施しているブリーダーを選ぶことが望ましいです。価格は毛色や血統によって変動しますが、一般的には20万〜40万円程度が相場で、チャンピオン犬の血統を持つ子犬や珍しい毛色(ブルーマール、リルマールなど)の場合は50万円を超えることも珍しくありません。

一方、里親として保護犬を迎えるという選択肢もあります。ボーダー・コリーは非常に賢く活動的なため、飼い主がその特性を理解しきれずに手放されてしまうケースが少なくありません。里親募集に出ているボーダー・コリーは、成犬である場合が多いですが、すでに基本的なしつけが入っていることもあり、初心者にとって扱いやすい面もあります。ただし、中には運動不足や精神的ストレスが原因で問題行動が出ている個体もいるため、里親として迎える際には根気強く向き合う覚悟が必要です。費用としては譲渡費用や医療費(去勢・避妊手術、ワクチン接種など)を含めて数万円程度が一般的です。

また、ペットショップで見かけることもありますが、ボーダー・コリーは運動量や知能の高さから家庭犬としては難易度が高いため、衝動的に購入するのはリスクが大きいといえます。信頼できるブリーダーや保護団体から迎え、飼育に関する十分な説明を受けた上で決断することが望ましいでしょう。

費用面で忘れてはならないのが「購入後にかかる維持費」です。ボーダー・コリーは体力があり、質の高い食事が必要ですので、フード代は月1万円前後を見積もる必要があります。また、定期的なワクチン接種や健康診断、怪我防止のためのケア用品、さらにはアジリティやディスクなどのスポーツに取り組む場合は専用の用具や練習環境の費用もかかります。さらに、万が一のけがや病気に備えてペット保険に加入する家庭も多く、年間数万円の負担となります。

総合的に見ると、ボーダー・コリーは入手自体は比較的容易ですが、その後の飼育には相応の費用と時間、そして知識が必要です。里親として迎える場合も、ブリーダーから購入する場合も、「飼い主がこの犬種の特性に応えられるかどうか」を第一に考えることが大切です。見た目の可愛さや人気に流されず、犬の本質を理解して準備を整えた上で迎えることが、犬にとっても飼い主にとっても幸せな関係を築くための基本となるでしょう。

ボーダー・コリーの動画集

[再生は画像をクリック]

ボーダー・コリーの動画 その1

ボーダー・コリーの動画 その2

ボーダー・コリーの動画 その3

ボーダー・コリーの人気インスタグラマーご紹介


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