【テリア気質を持つ上品者、ヨークシャー・テリア(ヨーキー)】

ヨークシャー・テリアの基本情報(性格・しつけ・病気など)

 
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ヨークシャー・テリア
[英記]:Yorkshire Terrier

    ◇基本データ
  • ・サイズ:  小型犬
  • ・体高:20cm~25cm
  • ・体重:2kg~3kg

  • ◇起源・歴史・沿革・系統:
  • ヨークシャー・テリアの原産国はイギリスとなります。
    19世紀にイギリスのヨークシャー地方にて、いろいろな種類のテリア種(エアデール・テリア、 クライズデール・テリア、マンチェスター・テリアなど)とマルチーズやスカイテリアが交配され、生み出されました。
    当時は、労働者階級の人々により持ち込まれ、工場や鉱山などの場所で労働者を手助けするネズミ狩りの狩猟犬として活躍していました。
    しかしながら、小型サイズの犬種で扱いやすいながら勇敢な犬種だったことから、ハンターに連れられネズミ以外の動物に対する狩猟でも用いられるようになったようです。
    ハンターの上着のポケットに入れて狩猟に連れられていき、キツネやアナグマなどの狩りの際に彼らの巣穴へ潜り込み追い立てる役として活躍しました。

    また、ヨークシャー・テリアが人々に知られはじめた頃の当初は、当時のイギリスをはじめ、ヨーロッパの上流階級の人々からは雑種という扱いにより人気がありませんでしたが、 徐々にその被毛の美しさなどが注目を帯び始め、上流階級・富裕層の人々にも人気となっていきました。
    飼われる際には、より長い被毛をどれだけ持っているかが高く評価されるような状況で、このヨークシャー・テリアを所有していることが貴族階級の中で富の象徴にまでなりました。

    犬種名「ヨークシャー・テリア」は1870年に認定されていますが、それまでは「ブロークン・ヘアード・スコッチ・テリア(Broken Haired Scotch Terrier)」と呼ばれていました。

    その後、実は1940年代にかけてヨークシャー・テリアの人気は落ち続けていきました。
    しかしながら、この頃の第二次大戦下、1944年にニューギニアの戦地でアメリカ軍兵士が日本軍が使用していた防空壕から1頭のヨークシャー・テリアを見つけ、訓練士でもあった一人の兵士に預けられ「スモーキー」と名付けられました。
    この犬は、空軍に同行し戦地にて色々な任務をこなして大活躍しました。沖縄の戦地へも同行したことがあったようです。
    そして、終戦後は無事にアメリカへ帰国し、地元紙などに取り上げられ一躍有名になりました。
    スモーキーは退役軍人病院への慰問やデモンステレーション(ショー)などをして過ごしましたが、このスモーキーが有名になったことでヨークシャー・テリアのアメリカ国内での人気に火がついたとも言われています。

    また、日本国内ではちょうどこのアメリカでの人気が出た後の第二次大戦後に徐々に家庭犬として普及しはじめていき、現在の人気の地位を得ています。


    なお、その被毛が美しいことから『動く宝石』といった異名や、愛称として『ヨーキー』と呼ばれたりもします。


    ◇こんなスタイルで犬を飼いたい方・こんな状況の方との相性Good!!
    ・上品な雰囲気を持つ犬種に魅力を感じる
    ・飼育スペースや単純に好みなどの理由から、体がなるべく小さい犬が良い
    ・しつけはきちんと根気強くできる
    ・運動量は少ない方がありがたい
    ・見た目の雰囲気などに流されず、テリア種の気質をきちんと理解した上で飼える
ヨークシャー・テリアのメイン写真 ヨークシャー・テリアの特徴評価グラフ

しつけのしやすさ

ヨークシャー・テリアは小型犬の中でも特に賢い犬種に分類されることが多く、物事を理解する力や学習能力が高いと言われています。しかし、その一方で、独立心や頑固さも強く、しつけに関しては単純に「やりやすい」とは言い切れない面を持っています。実際に長年この犬種と接してきた経験からも、飼い主の接し方や家庭環境によって、しつけの成果が大きく左右されることを感じます。

まず、ヨークシャー・テリアは飼い主に対する愛着心がとても強いため、信頼関係が築ければ学習意欲が高まり、しつけもスムーズに進む傾向があります。特に「褒めて伸ばす」方法が効果的で、叱責や強制ではなく、できたことを大いに褒め、報酬としておやつや遊びを与えることで、良い行動を自発的に繰り返すようになります。人の声や感情を敏感に感じ取るため、トーンや態度を工夫するだけでも行動が変わることもあります。

ただし、この犬種は警戒心が強く、自分のテリトリー意識もはっきりしているため、吠えやすさが課題となりやすい点に注意が必要です。玄関チャイムや外の物音に対してすぐに吠える行動は「番犬として優秀」とも言えますが、都会の集合住宅などでは問題になりやすいため、子犬期から「吠えても飼い主が落ち着いて対応する」「静かにできたときに褒める」などの一貫したしつけが欠かせません。感情的に「うるさい!」と叱るだけでは逆効果となり、さらに不安を募らせて吠える行動を強めてしまうケースも見受けられます。

トイレトレーニングについては、小型犬特有の「膀胱が小さく排泄の間隔が短い」という特徴から、成功率を上げるにはこまめに誘導し、成功体験を積ませることが重要です。ヨークシャー・テリアは清潔好きな一面もあるため、きちんとトレーニングすれば比較的早く覚える傾向があります。ただし、飼い主の根気と一貫性が不可欠であり、「今日はここ」「明日は別の場所」というようにルールが変わると混乱してしまうため、最初に決めたトイレの場所を守り続けることが成功の鍵となります。

さらに、ヨークシャー・テリアは知的好奇心が強い犬種なので、単調なしつけやトレーニングでは飽きやすい面があります。そのため、短時間でバリエーションを持たせた練習を心がけると効果的です。例えば、同じ「おすわり」でも、室内と屋外で練習する、または他の指示と組み合わせるなど、環境や順序を変えて学習させることで、柔軟に行動できるようになります。これは成犬になってからの問題行動予防にも大きく役立ちます。

一方で、しつけの失敗例としてよく見られるのが「可愛いからと甘やかしすぎる」ことです。小さな体で抱っこしたくなる気持ちは自然ですが、要求吠えや食べ物のねだりに毎回応えてしまうと、犬は「吠えれば思い通りになる」と学習してしまいます。これが後々、頑固さやわがままな性格の固定につながるのです。ヨークシャー・テリアは小さな身体に反して精神的には非常に自立心が強いため、子犬のうちから人間と犬との立場を正しく教えることが、良い関係を築くために重要です。

総合的に見ると、ヨークシャー・テリアのしつけは「やさしく、しかし一貫性を持って接する」ことが大切です。頭が良い分、飼い主の態度や生活リズムを敏感に感じ取り、それに合わせて行動を変える能力を持っています。信頼関係を築ければ非常にしつけやすい犬種となりますが、甘やかしや一貫性の欠如があると、わがままな性格が前面に出てしまい、手を焼く存在にもなり得ます。したがって、飼い主が「小さくても一頭の犬」として真剣に向き合う姿勢が、この犬種のしつけ成功に直結すると言えるでしょう。

気性の穏やかさ・性格

ヨークシャー・テリアは見た目の華奢さや愛らしさから「おとなしくて抱っこ好きな愛玩犬」というイメージを持たれることが多いのですが、実際には小さな体の中に驚くほど大きな自尊心と活発さを秘めています。気性の面で言えば、穏やかさよりも「活発」「勇敢」「好奇心旺盛」といった言葉の方がぴったり当てはまるでしょう。その背景には、この犬種のルーツである「小型の作業犬」としての歴史が深く関わっています。

ヨークシャー・テリアはもともと19世紀のイギリス北部で、工業地帯の労働者階級によって飼育されていた犬です。目的は愛玩ではなく、衣類を食い荒らすネズミや害獣を駆除することでした。そのため、自分の何倍も大きな相手に立ち向かう勇気、素早い動き、集中力、そして執念深さを持ち合わせていました。こうした作業犬としての本能は、現代の家庭犬になった今でも色濃く残されており、「小さな体に大きな闘志」を持つ性格として現れています。

このため、ヨークシャー・テリアは非常に自己主張が強く、自分の意思をはっきりと表す傾向があります。嬉しいときは全身で喜びを表し、嫌なことがあれば遠慮なく拒否の態度を示します。飼い主に対しては愛情深く忠実で、家族の中でも特定の人物に強く絆を結ぶことが多いのですが、その一方で「この人は自分の味方」と感じた相手には強く依存し、守ろうとするあまり過剰に吠えたり攻撃的な態度を見せることもあります。

穏やかさという点では、落ち着きが出てくるのは成犬になってからであり、特に子犬期から若犬期にかけては好奇心旺盛で、じっとしていることを苦手とする場合が多いです。小さな体でも遊び好きで、動き回ることを楽しむため、性格を「穏やか」と感じるかどうかは飼い主の期待や環境に左右されると言えるでしょう。静かに膝の上で寄り添う姿も見られますが、それは十分に遊んで満足した後や、安心できる空間が整っているときに限られるケースが多いです。

また、ヨークシャー・テリアは非常に警戒心が強い性格を持ち、見知らぬ人や音に対して敏感に反応します。これが「神経質」と捉えられることもありますが、実際には飼い主や家族を守ろうとする強い責任感からくるものです。特に番犬的な行動が顕著であり、玄関や窓際に陣取り、外の変化を知らせるように吠える姿は、この犬種の典型的な性格表現の一つです。適切にしつければ「無駄吠え」とはならず、頼れる家庭の見張り役にもなり得ます。

一方で、この犬種の愛情深さは非常に魅力的な特徴でもあります。飼い主に対する忠実さは強く、家の中では常に近くに寄り添い、飼い主の感情を敏感に察知して行動を変える能力を持っています。飼い主が落ち込んでいるときにはそっと寄り添い、楽しいときには一緒に喜びを分かち合う、そんなパートナーシップを築けるのはヨークシャー・テリアならではの魅力と言えるでしょう。

ただし、こうした性格は裏を返せば「依存心の強さ」にもつながります。長時間の留守番が続くと不安が募り、破壊行動や過度な吠えといった問題行動を引き起こす可能性があります。これは「分離不安」と呼ばれる状態で、小型犬に比較的多く見られます。ヨークシャー・テリアは特に家族との一体感を重視するため、留守番の練習を子犬の頃から少しずつ行い、安心して待てる習慣をつけておくことが性格面の安定につながります。

総合的にまとめると、ヨークシャー・テリアの性格は「小さな体に秘めた勇敢さと愛情深さ」が大きな特徴です。穏やかさを求める場合は、十分な遊びや運動でエネルギーを発散させ、精神的に満足させることが前提となります。そうして初めて、落ち着いた家庭犬としての一面が表れるのです。気性は一見激しくとも、正しく理解し、信頼関係を築けば、これほど深い愛情とユーモアを持ったパートナーは他にいないと感じられるでしょう。

病気・けがへの強さ・寿命

ヨークシャー・テリアは小型犬の中でも比較的長寿であることが知られており、平均寿命は13〜16歳程度、個体によっては18歳以上生きるケースも珍しくありません。愛玩犬の中でも「長生きする犬種」としてよく挙げられる存在です。ただし、小柄な体のため骨格や関節が弱く、また小型犬特有の遺伝性疾患や体質的な弱さを抱えやすい面もあるため、寿命を全うするには適切なケアが欠かせません。

まず、病気やけがへの強さという点では、ヨークシャー・テリアは活発で元気な性格を持ち、日常的な運動能力も高いのですが、その体は非常に華奢で、骨折や脱臼のリスクが高いことに注意が必要です。特にソファやベッドからの飛び降り、階段の昇り降りなど、日常生活の中にある小さな段差でも骨や関節を痛める危険があります。実際、臨床現場でも「膝蓋骨脱臼(パテラ)」はヨークシャー・テリアで非常に多く見られる疾患の一つで、膝のお皿がずれて歩行に異常が出たり、進行すると手術が必要になることもあります。小型犬を育てる上では、滑りにくい床材の使用や、家具から飛び降りないような生活環境の整備が大切です。

また、歯や口腔の健康にも注意しなければなりません。ヨークシャー・テリアは顎が小さく歯が密集して生えているため、歯垢や歯石がたまりやすく、歯周病のリスクが非常に高い犬種です。歯周病は単に口臭や歯の問題にとどまらず、進行すると顎の骨にまで影響し、また心臓や腎臓に負担をかけることが知られています。実際に寿命を縮める要因ともなり得るため、日頃から歯磨きを習慣化することが何よりも重要です。歯磨きに抵抗がある場合は、専用のおやつやデンタルグッズを活用しながら、少しずつ慣れさせる工夫が必要です。

さらに、ヨークシャー・テリアは小型犬に多い「気管虚脱」という呼吸器の問題にも注意が必要です。これは気管の軟骨が弱くなり、呼吸がスムーズにできなくなる疾患で、「ガーガー」とガチョウの鳴き声のような咳が特徴です。体重が増えると症状が悪化するため、肥満予防は呼吸器の健康維持にも直結します。また、首輪よりも胴輪を使用することで気管への負担を減らすことができます。

眼の疾患もこの犬種に見られやすい特徴のひとつです。特に「白内障」や「角膜炎」は高齢期に多く、早い段階から目の濁りや涙やけに気を配る必要があります。ヨークシャー・テリアの大きく目立つ瞳は美しい反面、外傷や乾燥にも弱いため、日頃の観察が欠かせません。

寿命の面では、小型犬ゆえに老化が緩やかに進むため、高齢になっても比較的元気に過ごすことができますが、その分「シニア期が長い」という特徴もあります。10歳を過ぎてもまだ若々しく見える一方で、体の中では心臓や腎臓に負担がかかっていることもあり、定期的な健康診断が欠かせません。特に心臓病の中でも「僧帽弁閉鎖不全症」は小型犬に多い病気で、ヨークシャー・テリアも例外ではありません。心雑音が聞かれたら早めに治療を開始することで寿命を大きく延ばすことができます。

まとめると、ヨークシャー・テリアは「長生きできる犬種」ではありますが、それを実現するには日頃の予防とケアが極めて重要です。骨格の弱さからくるけがの防止、歯や口腔のケア、呼吸器や心臓への配慮、そして定期的な健康診断。これらを怠らず行うことで、15年以上にわたり健康で活動的な生活を送ることができるでしょう。小さな体に宿る生命力を最大限に引き出すのは、飼い主の観察力とケアの積み重ねに他なりません。

他の犬や子どもとの同居しやすさ

ヨークシャー・テリアは小型犬でありながら勇敢さと自己主張の強さを持つ犬種です。そのため、他の犬や子どもと一緒に生活する際には「相性」と「育て方」が重要なポイントになります。家庭での同居がうまくいくかどうかは、この犬種の特性を正しく理解し、環境を整え、適切な接し方を徹底できるかに大きく左右されます。

まず、他の犬との同居について見てみましょう。ヨークシャー・テリアは元来、単独で獲物に挑むタイプの作業犬として育成された歴史を持ちます。そのため「自分の縄張り意識」が強く、特に同居犬が新たに迎えられる場合には「自分の地位が脅かされる」と感じて攻撃的になることがあります。小さな体ながらも臆することなく向かっていくため、相手が大型犬であっても引かずに挑んでしまうことがあり、思わぬケガにつながることもあります。これを防ぐためには、子犬の頃から社会化をしっかり行い、他の犬と会う機会を増やして慣れさせておくことが大切です。

また、同居犬との関係を円滑にするためには、飼い主が「どちらの犬も公平に扱う」ことが不可欠です。特にヨークシャー・テリアは飼い主への愛情が深いため、嫉妬心を抱きやすい傾向があります。新しい犬を迎えるときは、ヨークシャー・テリアの前で過剰に新入り犬を構いすぎず、先住犬としての地位を尊重することが信頼関係を守る鍵となります。逆に、新入りの犬を軽視するのも良くありませんので、両方に平等に接するバランス感覚が求められます。

次に、子どもとの同居について考えます。ヨークシャー・テリアは愛情深く、人に寄り添うのが得意な犬種ですが、同時に体が小さく繊細であるため、子どもが無邪気に触ったり乱暴に扱ったりすると大きなストレスやケガにつながります。小さな子どもが尻尾や耳を引っ張ったり、抱っこの仕方を誤ったりすれば、犬は身を守るために噛んでしまうこともあり得ます。これは決して「性格が悪い」からではなく、防衛本能による自然な反応です。したがって、ヨークシャー・テリアと子どもを同居させる場合は、必ず大人が間に入り、双方が安心して接することができるようサポートすることが重要です。

ただし、ある程度成長した子どもであれば、ヨークシャー・テリアは良き遊び相手にもなり得ます。特に一緒に遊んだり散歩をしたりすることで、犬も子どもも社会性を学び、強い絆を築くことができます。小学生以上で犬の扱い方を理解できる年齢になれば、ヨークシャー・テリアとの関係は非常に良好になるケースが多いです。大切なのは「犬はぬいぐるみではなく生き物である」という意識を子どもにしっかり教えることです。

さらに、他のペットとの同居にも触れておきましょう。ヨークシャー・テリアは狩猟本能が強く、小動物に対して追いかける習性があります。ハムスターや小鳥、ウサギなどの小動物を一緒に飼うのはリスクが高く、基本的には避けるのが無難です。どうしても同居させたい場合は、常にケージや仕切りを利用し、直接の接触をさせない工夫が必要です。

総合的にまとめると、ヨークシャー・テリアは他の犬や子どもとの同居に向かないわけではありませんが、その実現には工夫と配慮が欠かせません。社会化をしっかり行い、飼い主が公平に接し、子どもには犬を正しく扱うルールを教えることが不可欠です。小さな体に似合わぬ大きな自尊心を持つ犬だからこそ、その気持ちを尊重し、安心できる環境を与えてあげれば、家族の一員として他の犬や子どもとも良好な関係を築くことができるでしょう。

運動量の多さ

ヨークシャー・テリアは体重2〜3kgほどの非常に小柄な犬種ですが、その外見に反して運動欲求は意外に高い犬です。もともとはネズミ駆除を担っていた作業犬であり、俊敏さや持久力、集中力を必要とする仕事をこなしてきた歴史を持ちます。そのため、単なる「抱っこされるだけの愛玩犬」では満足できず、適度な運動や遊びを日々取り入れることが、心身の健康維持に欠かせません。

ただし、運動量の必要性を大型犬と同じように捉える必要はありません。ゴールデン・レトリーバーやボーダー・コリーのように1時間以上のランニングや広大なドッグランでの運動が必須というわけではなく、「小さな体に見合った負荷」で十分です。目安としては、1日に2回、各20〜30分程度の散歩が理想的とされます。これに加えて、室内での遊びや知育トイを使った頭の運動を取り入れることで、エネルギーを適切に発散できます。

ヨークシャー・テリアは非常に好奇心が強く、外の環境に刺激を受けやすいため、散歩は単なる運動の機会というより「精神的な刺激の時間」としての役割が大きいです。さまざまな匂いを嗅ぎ、他の犬や人と出会うことで、社会性を養い、無駄吠えや神経質な行動を防ぐ効果も期待できます。特にこの犬種は警戒心が強いため、外の世界に慣れさせることは精神面の安定に大きく寄与します。

一方で、体が小さいため運動のしすぎには注意が必要です。過度な運動やジャンプを繰り返すと、膝や関節に負担をかけ、「膝蓋骨脱臼」や「関節炎」などを引き起こしやすくなります。散歩中も無理に走らせる必要はなく、あくまで犬のペースに合わせて軽快に歩かせることが重要です。段差や階段を避け、舗装の硬いアスファルトよりも土や芝生の道を選ぶのが理想的です。

また、天候にも気を配る必要があります。ヨークシャー・テリアは被毛が細くシングルコートであるため、寒さや暑さに弱い体質を持っています。冬の散歩では洋服や防寒具を着用させ、夏場は気温が下がった朝や夕方に散歩するようにしましょう。真夏の日中に散歩をすれば、熱中症のリスクが高まるだけでなく、アスファルトの熱で肉球を痛めてしまう可能性があります。

室内での運動や遊びも重要な要素です。ヨークシャー・テリアは非常に頭の回転が速い犬種であり、単に体を動かすだけでなく「知的刺激」を必要とします。ボール遊びや引っ張りっこはもちろん、パズル型の知育玩具やおやつを使ったゲームは脳を刺激し、ストレス解消に効果的です。運動量が不足すると、過剰な吠えや破壊行動といった問題行動につながりやすいため、日常生活の中でいかに楽しく動ける時間を確保するかが鍵になります。

さらに、運動は飼い主との絆を深める時間でもあります。ヨークシャー・テリアは飼い主に強い愛情を示す犬種であるため、散歩や遊びを通じて「一緒に楽しむ」経験を積むことで安心感を得ます。これが精神的な満足感につながり、無用な攻撃性や不安を抑える効果もあります。

まとめると、ヨークシャー・テリアに必要な運動量は「小さな体に合わせた適度な散歩と遊び」であり、過不足なく与えることが健康と性格の安定に直結します。運動を軽視すれば問題行動を生みやすくなりますし、過剰にすれば関節や体力に負担をかけます。大切なのは「無理なく楽しめる運動習慣」を作ること。これを実践することで、ヨークシャー・テリアは長寿で快活な生活を送り、飼い主にとっても最高のパートナーであり続けるでしょう。

体の特徴・被毛・毛色の特徴

ヨークシャー・テリアは世界中で最も有名なトイ犬種のひとつで、その体の小ささと華やかな被毛によって「動く宝石」とも呼ばれてきました。見た目の愛らしさから愛玩犬の代表格として知られていますが、体の特徴や被毛の性質を正しく理解しておくことは、日々のケアや健康管理のためにも欠かせません。

まず体格についてですが、ヨークシャー・テリアは体重2〜3kg前後が標準とされる超小型犬です。ショードッグでは体重制限を設けている国際基準もあり、その華奢さが際立ちます。骨格は非常に細く、脚も繊細で、抱きかかえると驚くほど軽やかに感じられるでしょう。しかし小さい体であっても筋肉はしっかりしており、俊敏に動き回ることができます。この「小ささと活発さの両立」がヨークシャー・テリアの魅力のひとつでもあります。

次に被毛の特徴についてです。ヨークシャー・テリアの毛質は犬種の中でも特に特徴的で、絹のように細く柔らかいシングルコートを持っています。一般的な犬種の多くはアンダーコートとオーバーコートの二重構造を持つ「ダブルコート」ですが、ヨークシャー・テリアはアンダーコートを持たないため、抜け毛が非常に少ないのが特徴です。そのため「犬アレルギーの人にも比較的飼いやすい犬」として紹介されることもあります。ただし、アンダーコートがない分、寒さや暑さに弱く、体温調節が苦手な面があります。そのため衣服や室温管理によるサポートが不可欠です。

ヨークシャー・テリアの被毛は成長とともに大きく変化します。子犬の頃は黒っぽい毛色にタン(黄褐色)が混じった姿ですが、成長するにつれて被毛が伸び、光沢のあるスチールブルーとゴールドの毛色へと変化していきます。この色の移り変わりはヨークシャー・テリアならではの特徴であり、成犬になると流れるように長い被毛が全身を覆い、非常に優雅な印象を与えます。ショーに出場する犬では、床に届くほどの長い毛を整え、光沢を保つために念入りなグルーミングが欠かせません。

毛色については、国際的な犬種標準において「スチールブルー&タン」が基本とされます。頭部から胸、脚先にかけては鮮やかなゴールドやタンの色合いが入り、背中から尾にかけては青みがかった光沢のあるスチールブルーが広がります。このコントラストが非常に美しく、ヨークシャー・テリアの大きな魅力となっています。ただし、家庭犬として飼われている個体の中には毛色の濃淡や分布に個体差があり、黒っぽさが強く残る犬や明るめの色合いに仕上がる犬もいます。いずれにしても、その光沢のある被毛は日々のケア次第で美しさが大きく変わるため、飼い主の手入れが重要となります。

手入れについても触れておきましょう。ヨークシャー・テリアの毛は伸び続ける性質を持っており、トリミングを行わなければどんどん長くなります。ショードッグのように長く伸ばすスタイルもあれば、家庭犬では「パピーカット」や「サマーカット」と呼ばれる短めのスタイルに整えることが一般的です。長く伸ばした場合は毎日のブラッシングが必須で、絡まりや毛玉を防ぐために専用のスプレーやオイルを併用することも推奨されます。短くカットしても月に一度のトリミングが必要であり、美しい毛並みを維持するには継続的なケアが欠かせません。

また、シングルコートであるため皮膚の状態が毛並みに直結します。食事の栄養バランスや皮膚の健康状態が被毛の質に影響しやすく、脂質不足やアレルギーがあると毛艶が失われたり、フケやかゆみが出ることがあります。高品質なドッグフードやサプリメントで栄養を整え、定期的なシャンプーやスキンケアを心がけることが、毛並みを美しく保つ秘訣です。

まとめると、ヨークシャー・テリアの体は「小さくも華奢で繊細」、被毛は「絹のように細く光沢を持ち続けるシングルコート」、毛色は「成長とともに変化するブルー&タン」が最大の特徴です。その美しさを維持するには日々のケアと飼い主の努力が欠かせません。つまり、ヨークシャー・テリアの魅力的な外見は自然に保たれるものではなく、飼い主との共同作業によって完成されるものだと言えるでしょう。

里親・ブリーダー・値段

ヨークシャー・テリアは世界的に人気のある小型犬の一つであり、日本でも愛玩犬として長年高い需要を保ち続けています。そのため、ブリーダーからの購入やペットショップでの販売に加え、保護犬として里親募集に出ているケースも少なくありません。飼育を検討する際には、それぞれの入手経路の特徴と注意点を理解しておくことが大切です。

まず値段についてですが、ヨークシャー・テリアの子犬の価格相場はおおよそ20万円から40万円程度が一般的です。ただし、血統や容姿、ショー向けか家庭向けかによって大きな差が生じます。特に、毛色の発色が美しく、体格や顔立ちが犬種標準に沿った個体は高額になりやすく、50万円を超えるケースも珍しくありません。逆に、家庭犬として迎える場合であれば、標準から多少外れていても健康で性格の良い子を選ぶ方が多く、価格も比較的抑えられます。注意すべきは「極小サイズ(ティーカップ)」をうたって高額販売されるケースで、これは本来の標準から外れた繁殖の結果であり、健康面のリスクが非常に高いので慎重に考えるべきです。

次にブリーダーから迎える場合です。信頼できるブリーダーは親犬の健康管理や性格の安定に重きを置いており、子犬も健全に育てられています。そのため、遺伝性疾患のリスクが低く、性格的にも安定した子を迎えられる可能性が高いです。優良なブリーダーは、見学時に親犬や飼育環境を見せてくれることが多く、食事内容や日常のケア方法についても丁寧に説明してくれます。反対に、犬舎の環境を見せたがらない、価格を強調するばかりで犬の性格や健康について説明が乏しい場合は注意が必要です。ヨークシャー・テリアは先天的な膝蓋骨脱臼や歯の問題が出やすいため、繁殖の段階で健康を意識しているかどうかが重要な判断基準となります。

一方で、里親として保護犬を迎える選択肢もあります。小型犬で人気が高いため、ブリーダーの繁殖引退犬や飼育放棄された個体が保護団体に引き取られ、里親募集されるケースも少なくありません。保護犬を迎える場合、成犬や高齢犬であることが多く、子犬のような長い育成期間は必要ない一方で、しつけのやり直しや医療ケアが必要なこともあります。しかし、すでに性格が分かっている場合も多く、自分の生活スタイルに合うかどうか判断しやすいという利点があります。また、保護犬を迎えることは命を救う行動でもあり、社会的な意義も大きい選択です。

ペットショップでの購入についても触れておきます。ヨークシャー・テリアは日本のショップでも広く取り扱われており、比較的簡単に出会える犬種です。ただし、ショップによっては過剰な繁殖を繰り返す「パピーミル(子犬工場)」から仕入れられていることもあり、健康リスクを抱えた子犬が販売されていることもあります。信頼できるショップかどうかを見極めるには、親犬の情報を提示してもらえるか、ワクチン接種や健康診断が適切に行われているかを確認することが不可欠です。

また、迎えた後の医療費についても考慮する必要があります。ヨークシャー・テリアは長寿である反面、歯科治療や関節疾患の治療などで通院する機会が増える傾向があります。子犬の購入価格だけでなく、長期的にかかる医療費やトリミング費用も見込んでおくことが大切です。

総合すると、ヨークシャー・テリアは「入手経路が多く、価格帯も幅広い犬種」であるといえます。ブリーダーから迎える場合は健康管理に力を入れているかを重視し、里親から迎える場合は成犬ならではの性格や既往歴を理解した上で受け入れることが重要です。どの方法を選んでも、犬を迎えるということは「その命の一生を預かる」責任を伴います。ヨークシャー・テリアの可憐な見た目に惹かれるだけでなく、その背景やケアに必要な費用や時間を十分に理解した上で迎えることが、この犬種と幸せに暮らすための第一歩となるでしょう。

ヨークシャー・テリアの動画集

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ヨークシャー・テリアの動画 その1

ヨークシャー・テリアの動画 その2

ヨークシャー・テリアの動画 その3

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