【硬派で無双物な日本犬】

甲斐犬の基本情報(性格・しつけ・病気など)

 
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甲斐犬
[英記]:Kai Ken

    ◇基本データ
  • ・サイズ: 中型犬
  • ・体高:40cm~55cm
  • ・体重:12kg~18kg

  • ◇起源・歴史・沿革・系統:
  • 甲斐犬は、原産は日本国内となる日本犬の一種になります。起源としては、チャウチャウ、 北海道犬などと同様と言われており、南アルプス(山梨)で飼われていたイノシシ等を相手にしていたこの猟犬が、 この甲斐地方の地名に由来し『甲斐犬』と名付けられました。
    昭和9年に天然記念物に指定されています。

    現在でも、一部では猟犬として飼われていますので、一般家庭でペットとして飼う犬種としては、 飼いにくい部分も多々あります。

    尚、甲斐犬は体格でタイプ分けされるものが2通りあり、 スマートな柴犬タイプとがっちりとした体格の秋田犬タイプが存在します。
    また、最近では優れた猟犬を必要とするヨーロッパでも人気があります。


    ◇こんなスタイルで犬を飼いたい方・こんな状況の方との相性Good!!
    ・責任をもって、甲斐犬の人生に最初から最後まで一緒に付き合ってあげれる
    ・しつけは得意、または根気強く頑張ってできる
    ・最初は多少大変でも、忠誠心の高い犬を飼いたい
    ・飼い犬の健康面が心配要らない状態が良い
甲斐犬のメイン写真 甲斐犬の特徴評価グラフ

しつけのしやすさ

甲斐犬は日本の天然記念物に指定されている日本犬の一種で、特に山梨県を原産とする犬種です。日本犬の中でもとりわけ独立心と忠誠心が強く、飼い主との絆を何よりも大切にします。その一方で、甲斐犬は非常に頭が良く、周囲の状況をよく観察して行動を選び取る特徴を持っています。このような性質が「しつけのしやすさ」という点に大きく影響してきます。

まず、甲斐犬は学習能力が高いので、基本的なしつけや命令の理解は比較的早い部類に入ります。座れ、待て、おいでといった基礎コマンドは、飼い主が一貫した態度と方法で教えることでスムーズに習得していきます。ただし、ただ機械的に繰り返すだけでは甲斐犬は飽きやすく、興味を示さなくなる傾向があります。学習意欲を持続させるためには、遊びやご褒美を取り入れながらトレーニングを行うことが重要です。

一方で、甲斐犬はとても自立心が強く、飼い主の言うことをただ盲目的に従うタイプではありません。時には「自分で判断した方が正しい」と考えることもあり、特に狩猟本能が強く出る場面では、指示よりも本能的な行動を優先することもあります。例えば散歩中に小動物を見つけた際などは、飼い主のコントロールが効きにくい場合があるのです。ここが甲斐犬のしつけで最も注意すべき点で、幼犬期から「呼び戻し(リコール)」を徹底的に練習しておく必要があります。

また、甲斐犬は非常に繊細で、飼い主の感情を敏感に察知します。怒鳴ったり叩いたりといった強制的なしつけは逆効果であり、信頼関係を損なう原因になります。信頼を築いた飼い主に対しては驚くほど素直に従いますが、不信感を持つと心を閉ざしてしまうため、しつけの進み具合が大きく変わってしまうのです。したがって、しつけを行う際には「信頼関係の構築」が最優先であり、叱るよりも褒めることを中心に据えるのが理想です。

さらに、甲斐犬は「一代一主」と呼ばれるように、一人の飼い主に強く絆を結ぶ傾向があります。そのため、家族全員でしつけに関わる場合でも、指示の出し方やルールを統一することが不可欠です。誰か一人だけが甘やかしたり、命令の言い方がバラバラであったりすると、甲斐犬は混乱し、しつけの定着が遅れてしまいます。家族全員が協力して一貫性を持たせることが、甲斐犬のしつけを成功させる秘訣です。

社会化の重要性も忘れてはいけません。甲斐犬は警戒心が非常に強い犬種で、知らない人や犬に対して距離を取る傾向があります。これは番犬としては長所ですが、家庭犬としては過剰な警戒心や攻撃性につながる恐れがあります。そのため、幼犬の時期に積極的にさまざまな人、犬、環境に触れさせ、安心できる体験を積ませることが欠かせません。社会化が不十分だと、成犬になってから初めて出会うものに強いストレスを感じやすくなり、問題行動につながる可能性が高まります。

まとめると、甲斐犬のしつけは「一貫性」「信頼関係」「社会化」の三本柱が鍵になります。頭が良く学習能力に優れる一方、独立心や警戒心が強い性質を持っているため、しつけを容易にするには飼い主側の根気と理解が求められます。しっかりと愛情と信頼を持って接すれば、甲斐犬は頼もしく忠実なパートナーへと成長し、家庭でも素晴らしい存在となってくれるでしょう。

気性の穏やかさ・性格

甲斐犬は日本犬の中でも特に野性味を残している犬種として知られており、その気性や性格は一言で表すことが難しいほど多面的です。元々は山梨県の山岳地帯で鹿や猪を狩るために育成されてきた犬であり、自然の中で自立して行動し、飼い主と共に狩猟を行うための性質が色濃く残っています。そのため、他の愛玩犬とは一線を画す気質を持っているのです。

まず大きな特徴は「忠誠心の強さ」です。甲斐犬は「一代一主」と呼ばれるように、特定の飼い主に強く心を寄せ、一度信頼関係を築くと生涯にわたって従順であり続けます。特に家庭内で最も信頼する人に対しては、非常に愛情深く、常に寄り添おうとする姿を見せます。甲斐犬のこうした性格は、飼い主にとって強い安心感を与えてくれるでしょう。

しかしその一方で、甲斐犬は非常に警戒心が強い性格を持っています。見知らぬ人や環境に対して慎重に振る舞い、すぐには打ち解けません。このため「気性が荒い」と誤解されることもありますが、実際には不用意に攻撃的になるわけではなく、あくまで用心深さの表れです。信頼できると判断した相手に対しては、次第に打ち解けて穏やかな面を見せるようになります。

家庭内では非常に落ち着いており、普段は無駄に騒がず静かに過ごす傾向があります。ただし、外部からの異変には敏感で、番犬として高い能力を発揮します。例えば、不審な人物や見慣れない動物が近づいた際にはすぐに警戒態勢に入り、吠えることで飼い主に知らせようとします。こうした行動は甲斐犬が持つ防衛本能の強さを示しており、家庭を守る頼もしさにもつながります。

甲斐犬はまた、非常に粘り強い性格を持っています。狩猟犬としての背景から、一度目標を定めると執拗に追い続ける執念深さがあり、この集中力は日常生活でも現れることがあります。例えばお気に入りのおもちゃや遊びに対して長時間熱中する姿を見せる一方で、興味のないことには素っ気ない態度を取ることもあります。この二面性を理解することで、甲斐犬の行動をよりスムーズに受け入れることができます。

性格的に穏やかな側面もありますが、それは「飼い主や家族との関係が安定していること」が前提条件となります。信頼する相手には心を許し、とても従順で優しい一面を見せますが、不安やストレスを感じる環境では神経質になりやすく、攻撃的な行動に出る場合もあります。つまり、甲斐犬の気性の安定度は飼い主との関係性や育て方によって大きく左右されるのです。

また、甲斐犬は他の日本犬に比べて「孤高の気質」が強いとも言われます。群れでの行動よりも単独行動を好み、過度にべったりと甘えるタイプではありません。しかしながら、家族の中で特に信頼する人にはしっかりと甘える姿を見せることもあり、そのギャップが魅力の一つともいえます。

総じて、甲斐犬の気性は「忠実」「警戒心が強い」「粘り強い」「家庭内では落ち着いている」といった特徴にまとめられます。愛情と信頼をもって接することで、その忠誠心と穏やかさは存分に発揮されますが、信頼関係が築かれない場合や社会化が不十分な場合には、神経質で扱いにくい性格として現れてしまうこともあります。したがって、甲斐犬を迎える家庭にとっては「信頼関係の構築」と「安心できる環境作り」が何よりも重要となるでしょう。

病気・けがへの強さ・寿命

甲斐犬は日本の山岳地帯で鹿や猪といった大型獣を相手に狩猟を行ってきた歴史を持つため、もともと頑健で健康的な体を備えています。自然環境に適応しながら育種されてきた犬種であるため、他の洋犬と比べても遺伝的な疾患が少なく、丈夫で長生きする傾向があります。平均寿命は12〜16年ほどとされ、日本犬の中でも比較的長寿な部類に入ります。環境や食生活、適度な運動を整えることで、さらに健康寿命を延ばすことが可能です。

まず、甲斐犬の強みは「病気にかかりにくい体質」であることです。原産地である山梨県の厳しい山岳環境に適応する中で、無理なく淘汰が進んできたため、免疫力や体力に優れた個体が多く存在します。そのため、他犬種にありがちな遺伝性の皮膚疾患や心疾患、骨格異常などは比較的少ないとされています。特に短頭種に見られる呼吸器系の問題や、過度な改良が行われた犬種に多い椎間板ヘルニアなどのリスクも低いです。

ただし「丈夫だから病気知らず」というわけではありません。甲斐犬に多く見られる注意すべき点としては、まず「皮膚疾患」が挙げられます。ダブルコートの被毛を持ち換毛期には大量の毛が抜けるため、通気性が悪くなると皮膚炎や湿疹の原因となります。特に高温多湿の夏場には蒸れやすいため、定期的なブラッシングやシャンプーによるケアが不可欠です。

また、甲斐犬は活動量が非常に多く、山野を駆け回るような運動を好みます。そのため「関節や靭帯のけが」に注意が必要です。膝蓋骨脱臼(パテラ)や股関節形成不全など、激しい運動に関連する整形外科的トラブルは全く無縁ではありません。特に若齢期には急激な運動を控え、徐々に筋肉や骨格を育てていくことが予防につながります。

さらに、甲斐犬は食欲旺盛でエネルギー消費も多いため、食事管理が適切であれば肥満にはなりにくいですが、室内での生活が中心になると運動不足から体重が増加することもあります。肥満は関節疾患や糖尿病、心臓疾患のリスクを高めるため、バランスの取れた食事と日々の散歩や運動が大切です。

寿命に関して言えば、甲斐犬は適切な飼育環境下で15年以上生きるケースも珍しくありません。特に外で飼う場合は、夏場の熱中症や冬場の極端な寒さ対策が重要になります。屋外飼育が多い犬種ですが、近年は室内飼育も増えており、温度管理や健康管理が徹底されることで長寿化が進んでいます。

また、甲斐犬はストレスに敏感な犬種でもあります。精神的なストレスが積み重なると、食欲不振や免疫力低下につながる場合があるため、飼い主との信頼関係や安定した生活リズムを保つことも健康維持に直結します。健康診断を定期的に受け、早期発見・早期治療を心がけることで寿命を延ばすことができるでしょう。

総じて言えば、甲斐犬は「丈夫で病気にかかりにくく、比較的長寿な犬種」といえますが、それを維持するには被毛や皮膚のケア、関節への配慮、ストレスをためない飼育環境が不可欠です。健康で長生きするためには、日々の小さな配慮が何よりも大切であり、甲斐犬の持つ生命力を最大限に引き出すことにつながります。

他の犬や子どもとの同居しやすさ

甲斐犬は、古くから猟犬として活躍してきた歴史を持つため、他の犬種と比べても独立心や縄張り意識が強く現れることがあります。そのため、他の犬や小さな子どもと一緒に暮らす場合には、特有の注意点と工夫が必要です。ただし、適切な社会化と信頼関係を築けば、家庭内でも調和を保ちながら暮らすことは十分に可能です。

まず、甲斐犬と他の犬との関係についてです。甲斐犬は非常に警戒心が強く、自分のテリトリーに対して敏感に反応します。見知らぬ犬に対しては距離を置くことが多く、場合によっては威嚇行動に出ることもあります。これは「敵か味方か」を瞬時に判断しようとする本能の表れであり、特に同じ性別や自分と似た体格の犬に対しては競争心が強く働く傾向があります。したがって、多頭飼育を検討する場合は、最初の顔合わせを慎重に行い、相性を見極めることが欠かせません。

一方で、幼犬期から他の犬と接する機会を多く与え、ポジティブな経験を積ませることで、社交性を身につけることは可能です。ドッグランや散歩中の交流を通じて「他の犬と一緒に過ごすことは楽しい」と学ばせれば、過度な警戒心や攻撃性を抑えることができます。ただし、成犬になってから新しい犬を迎える場合は時間をかけて慣れさせることが必要で、急な同居はトラブルの原因になりやすい点に注意が必要です。

次に、甲斐犬と子どもの同居についてです。甲斐犬は「一代一主」と呼ばれるように、信頼した人に対してはとても忠実で優しい性格を見せます。そのため、家族の一員として子どもを守ろうとする気持ちが芽生えることもあります。ただし、基本的には警戒心が強く、予測不能な動きをする小さな子どもに戸惑うことが少なくありません。特に、甲斐犬に馴染みのない子どもの突発的な大声や不用意な接触は、ストレスや防衛行動を引き起こす可能性があります。

甲斐犬と子どもが安心して共存するためには、双方にルールを教えることが重要です。子どもには「甲斐犬が休んでいるときは触らない」「無理に抱きつかない」といった基本的なマナーを教える必要があります。そして甲斐犬には「人に対して優しく接すること」を根気よく教え込み、信頼できる関係性を築くことが求められます。特に子どもがまだ幼い場合は、必ず大人が間に入り、犬と子どもの接触をコントロールすることが望ましいでしょう。

さらに、甲斐犬の特性として「自分の群れ(家族)」に対しては深い愛着を示す一方で、外部から来た存在に対しては排他的になりがちです。したがって、家庭内に新しい犬や子どもが加わる際には、甲斐犬が「仲間として受け入れる」過程をじっくり踏ませることが不可欠です。急な変化を押しつけると不安やストレスを生じ、望ましくない行動につながる恐れがあります。

まとめると、甲斐犬は他の犬や子どもと共に暮らすことは不可能ではありませんが、社交的な洋犬種のように自然と仲良くなるタイプではありません。警戒心や独立心が強い性質を理解し、時間をかけて関係を築いていくことが大切です。飼い主が正しいリーダーシップを発揮し、双方に適切なルールと環境を整えることで、甲斐犬は家族に忠実で落ち着いた存在として共に暮らしていけるでしょう。

運動量の多さ

甲斐犬は、もともと山岳地帯で鹿や猪を追う猟犬として育成されてきた犬種です。そのため、非常に高い持久力と瞬発力を兼ね備えており、一般的な家庭犬とは比べものにならないほどの運動量を必要とします。運動は単なる体力消費のためではなく、精神的な安定を得るためにも不可欠であり、甲斐犬の健全な生活に直結する大きな要素です。

まず、甲斐犬の運動欲求は「毎日の散歩」で満たされるものではありません。単なる30分程度の散歩では不十分で、少なくとも1日に1時間以上、できれば朝夕2回、しっかりとした運動時間を確保することが望まれます。しかも「歩くだけ」では刺激が足りず、走る、登る、追いかけるといった多様な動きが求められます。これは、山中で険しい地形を駆け回っていたルーツに由来しており、甲斐犬にとって運動は本能的欲求でもあるのです。

特に好むのは「スプリント(短距離ダッシュ)」や「長距離の持久走」で、野山や広い公園で思い切り走ることで心身ともに満足します。現代の生活では山野での狩猟が難しいため、代替としてボール遊び、フリスビー、アジリティなどを取り入れると良いでしょう。こうした遊びは単なる体力消耗だけでなく、知能を刺激し、飼い主との絆を深める効果もあります。

また、甲斐犬は非常に頭が良く、自ら状況判断を行う傾向が強いため、運動不足になると「いたずら」や「脱走」といった行動問題が出やすくなります。狩猟本能の強い犬種ですから、エネルギーを持て余すと家の中で物を壊す、庭を掘るといった行為につながりかねません。これらは決して「悪い犬だから」ではなく、十分な運動と刺激を与えられていない結果にすぎません。

一方で、運動のしすぎによる関節や筋肉のトラブルにも注意が必要です。特に幼犬期には骨や関節が未発達なため、過度なランニングやジャンプを繰り返すと成長に悪影響を与える可能性があります。そのため、子犬のうちは短時間の散歩を回数多く行う程度にとどめ、成長に合わせて徐々に運動量を増やすのが理想的です。成犬になれば本来の能力を発揮できるため、登山や長距離ハイキングなどを一緒に楽しめる最高のパートナーとなるでしょう。

さらに、甲斐犬は「単調な運動」を嫌う傾向もあります。同じ道を歩くだけでは退屈し、刺激不足に陥りやすいのです。そのため、散歩コースを変える、自然のある場所に連れて行く、知育玩具を活用するといった工夫が必要になります。新しい環境や匂いは甲斐犬にとって大きな刺激となり、心身の健康を保つ効果があります。

都市部での飼育では運動不足に陥りやすいため、ドッグランや広場を活用することが欠かせません。ただし、他の犬との相性に注意しつつ、安全に自由運動をさせられる環境を整えることが重要です。田舎や自然の多い環境であれば、その特性を最大限に生かすことができ、甲斐犬自身も非常に満ち足りた生活を送れるでしょう。

まとめると、甲斐犬は「運動が生活の中心」と言っても過言ではないほど、活動量を必要とする犬種です。適度な散歩だけではなく、走る・遊ぶ・挑戦するという複合的な運動を日常に取り入れることが、健康と幸福につながります。運動を共に楽しめる家庭であれば、甲斐犬はその能力を存分に発揮し、飼い主にとっても最高のアウトドアパートナーとなることでしょう。

体の特徴・被毛・毛色の特徴

甲斐犬は、日本犬の中でも特に野性味を色濃く残した犬種であり、その外見や体格には狩猟犬としての歴史と役割が色濃く反映されています。山梨県の険しい山岳地帯で鹿や猪を追う猟犬として育成されてきたため、全身は機能美にあふれており、無駄のない筋肉質な体つきが特徴的です。

まず体格についてですが、甲斐犬は中型犬に分類され、体高はオスで50cm前後、メスで45cm前後が一般的です。体重は12〜18kg程度とされ、引き締まった体型を持ちながらも力強さを兼ね備えています。胸は深く、脚は長すぎず短すぎず、俊敏さと持久力を両立させるために最適化されています。特に山道や岩場を軽快に駆け抜けられるような身体能力を持っており、現代でもその運動性能の高さは健在です。

顔立ちは日本犬らしいシャープさを持ち、三角形の立ち耳とアーモンド形の目が印象的です。目はややつり上がっており、警戒心と知性を感じさせる表情をしています。尾は力強く巻き尾か差し尾で、全体として引き締まった印象を与えます。

次に甲斐犬を象徴する大きな特徴が「被毛」と「毛色」です。甲斐犬はダブルコートを持ち、外側はやや硬めで防水性のある上毛、内側は密度の高い柔らかい下毛で覆われています。この二重構造により、寒さや雨風から体を守ることができ、冬の山中でも行動できる耐久力を発揮します。換毛期には大量の毛が抜け落ちるため、定期的なブラッシングが不可欠です。

毛色は甲斐犬ならではの特徴であり、「虎毛(とらげ)」と呼ばれる模様を持つことで知られています。虎毛は黒地に赤褐色や茶色の縞模様が入る独特の毛色で、成長に伴って模様の出方が変化していくこともあります。子犬の頃は黒っぽく見えても、成犬になるにつれて虎毛が鮮明に現れる場合が多く、その変化も甲斐犬の魅力の一つです。虎毛には大きく分けて「黒虎」「中虎」「赤虎」の3種類があり、黒虎は全体的に黒が強いタイプ、中虎は黒と赤褐色がほどよく混じるタイプ、赤虎は赤褐色が優勢に見えるタイプです。いずれも精悍な印象を与え、自然の中でカモフラージュとしても役立っていたと考えられています。

また、甲斐犬の被毛は季節によって印象が大きく変わることも特徴です。冬毛の時期にはふっくらと厚みを増し、野性的な力強さが際立ちますが、夏毛になると毛が短くなり、すっきりと引き締まった姿を見せます。この季節ごとの変化も甲斐犬の魅力の一部と言えるでしょう。

さらに、甲斐犬は日本犬の中でも特に「山の猟犬」としての機能美を備えているため、無駄のない体型と俊敏さが強調されます。他の日本犬(柴犬や秋田犬など)と比較すると、やや野性的で精悍な雰囲気が強く、都会的なペットというよりも自然と共生する犬という印象を与えることが多いです。

まとめると、甲斐犬は「中型で筋肉質な体格」「立ち耳と巻き尾」「虎毛の被毛」という独特の特徴を持ち、日本犬の中でも特に個性的で存在感のある犬種です。その姿には狩猟犬としての歴史と実用性が凝縮されており、まさに機能美と自然美を兼ね備えた犬であると言えるでしょう。

里親・ブリーダー・値段

甲斐犬は、日本の天然記念物に指定されている犬種であり、飼育頭数は柴犬や秋田犬などと比べると少なく、希少性の高い存在です。そのため入手方法や価格帯、さらには里親制度を利用する場合の注意点には、ほかの犬種とは異なる特徴があります。

まず入手経路についてですが、甲斐犬を迎える際に最も一般的なのは「ブリーダー」からの購入です。甲斐犬は天然記念物に指定されているため、保存団体や愛護会によって血統の維持が大切にされており、血統書を持った純血の甲斐犬は限られたブリーダーでしか繁殖されていません。特に山梨県を中心に活動している甲斐犬保存団体や、長年甲斐犬の繁殖に携わっている専門ブリーダーから入手するのが安心です。信頼できるブリーダーは、犬の健康管理や社会化教育に力を入れており、購入後の飼育相談にものってくれる場合が多いです。

価格帯に関しては、甲斐犬の子犬の相場はおおよそ15万円〜30万円程度が一般的です。ただし、毛色(虎毛の模様の出方)や血統の良さ、展覧会向けかどうかといった要素で価格は大きく変動します。特に保存会で評価の高い血統を持つ子犬や、模様が美しく出ている個体は高額になることがあります。逆に、家庭犬向けで血統にこだわらない場合には比較的手頃な価格で譲渡されるケースもあります。

次に「里親制度」についてですが、甲斐犬は他の人気犬種に比べると保護犬として出回る数は少ないものの、ゼロではありません。特に猟犬として飼われていた個体が猟を引退した後に手放されるケースや、飼育放棄によって保護されるケースがあります。ただし、甲斐犬は非常に忠誠心が強く「一代一主」の気質を持つため、成犬になってから新しい飼い主のもとに移ると、最初はなかなか心を開かないこともあります。そのため、里親として迎える場合には時間と忍耐が必要となり、初心者よりも犬の扱いに慣れた経験者の方が適していると言えるでしょう。

また、甲斐犬は「ブリーダーによる計画的繁殖」が基本であり、ペットショップで見かけることは非常に稀です。仮に販売されている場合でも、信頼できる繁殖元かどうかをしっかり確認することが重要です。無理な繁殖や管理不足による健康リスクを避けるためにも、保存会や信頼できるブリーダーを通じて迎えることを強くおすすめします。

さらに、甲斐犬を迎える際には「購入後の生活費」も考慮しなければなりません。中型犬であるため、毎月の食費や医療費、予防接種、フィラリア予防、定期的な健康診断といった費用がかかります。また、甲斐犬は運動量が多いため、飼育環境の整備(広い運動スペース、丈夫なリードやハーネス、遊具など)も必要です。初期費用だけでなく、長期的な経済的負担を考慮しておくことが大切です。

まとめると、甲斐犬を迎えるための主な方法は「信頼できるブリーダーからの購入」または「里親制度の利用」となります。価格は15万〜30万円程度が目安ですが、血統や毛色によって変動します。里親の場合は迎え入れるハードルがやや高いものの、愛情を注げば深い絆を築ける可能性があります。希少な犬種であるがゆえに、迎える前には十分な準備と覚悟が必要ですが、それに応えてくれるだけの魅力と忠誠心を持っているのが甲斐犬です。

甲斐犬の動画集

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